剣の花嫁 第3回リアクションA3個別

「リナとラウラ(7)」より抜粋

高沢和希マスター執筆

Scene.1 「仲直り」より一部抜粋

 さて、ラウラは光剣の町に戻ってからの町人からのプレッシャーに押されて、部屋の中でばかり過ごすようになっていた。これでは逆戻りだと、勇者達はあの手この手でラウラを励まそうとするがなかなかラウラの笑顔をもう一度取り戻すことを出来ないでいた。
「さあ、ラウラさん。ちゃんと見てて下さいよ?」
 レミディス・レイフィールドは手にもった帽子から勢いよくマチュウのぬいぐるみを何個も出して見せた。得意の手品でラウラを励まそうとしたのである。でも、ラウラは笑顔を見せようとはしない。
「ラウラさん?……じゃあ、これはどうです?」
 今度はコインを消す手品を見せる。しかし喜んでいるのはシェリアセレン・クカルサウスだけだった。
「わー、お兄ちやん、すごーい!」
 パチパチと手を叩いて喜ぶシェリアセレン。その横ではプラチナ・クランプがラウラに話し掛けていた。
「ねえ、町の人は嬉しいだけなんだよ。ラウラの姿を見れるだけで幸せになっちゃうから、集まっちゃうんだよ」
 まだ子供なのに、一生懸命に励ましてくれるプラチナやシェリアセレンの姿を見て、ラウラは笑わなくてはと思う。しかし、町の人からのプレッシャーの他に彼女にはもう一つ問題があった。仲違いしたままのリナとのことである。すると。
「……おまえ、リナ!」
 扉の向こうでラウラの護衛をしていたイリー・スランバードの声が間えてきた。ラウラがピクリと反応する。ややあって扉が開く。入ってきたのはリナであった。
「イリー様、ありがとうございます」
 ラウラにペコリとお辞儀をされて、彼は赤面してしまう。
「いや……俺はラウラの護衛だからな」
 訳の判らない返答である。しかしこの入出に反対の声があがった。
「なにしに来たの?」
「またラウラお姉ちやんいじめに来たの?」
 プラチナとシェリアセレンである。ラウラは二人をそっと手で制止てリナに歩み寄った。
「ありがとう、リナ。来てくださって嬉しいわ」
「別に……。周りがうるさいからきただけよ」
「私はあなたに謝らなくてはいけません。本当に……」
「謝んないで!謝られたらもっと当たっちゃうじゃんか!」
 その台詞がリナの本心であった。誰かに八つ当たりしたくて、謝ってくれる人がほしくてラウラに当たっていた。でも、本省はそんなことしたくなかったのだ。二人は仲のいい友人だったのだから。
「……リナ……これからは、私とお話してくださる?」
「……気が向いたらね……!でも、まだ許したわけじゃないから!」
 あいも変わらず素直になれないリナ。それでもこうして二人が歩み寄れただけでも大さな進歩であった。しかし。
「仲直り記念に、ラウラ王女様に秘密を教えてもらったら?」
 突然入ってきたロリィ・ディスティオールはそう言って、消えた火をまたおこそうとする。リナはロリィとラウラを交互に見やる。
「秘密って……?」
「ねえ、ラウラ王女様。鏖帝の支配下になるほうがマシな犠牲って、なーに?」
「それは……」
 ラウラはその質問に答えることができない。その姿をロリィは面白そうに眺めていた。
「こっちはさラウラ王女様に協力してあげてるんだよ?なら秘密はなしっこじゃない?リナちゃんもそう思うでしょ?」
 ロリィはリナに同意を求める。しかし、
「そうね、それを聞かせてもらうのを仲直りの条件にするのもいいけど。でも、ねえロリィ、あなたがしらべてきてくれない?」
 リナの思いもしない反撃にあってしまう。当ての外れたロリィはしぶしぶと部屋から出て行く。
「ありがとう、リナ」
「言いたくないなら言わなくてもいいけど。でも、そのうち教えてね?」
 そこに軽やかなノックの音が間えてくる。
「さあ、皆。お茶にしましょう!」
 サイナが午後のお茶を持って来たのだ。そしてその場にいたラウラ、リナ、勇者達は和やかな時間を共に過ごしたのであった。

【NPC一覧】

【RA一覧】

【PC一覧】

●プレイヤー注釈

「ロリィは、ラウラ王女様のことをカキザキ様を巡る恋敵だと勝手に思いこんでいるのでキライ。リナお嬢様にも潜在的な近親憎悪を抱いている」
 ……と書いたら(ただ、実際にはもうちょっと違う書き方でしたけどね)、ストレートにヤな奴っぽい描写になっていて、プレイヤーの方がちょっと引きました(汗)。……悪役PCのつもりであったので、まあ構わないんですけど。
 何というか……表面的には良い子で、一生懸命にみんなを思って行動しているんだけれど、実は心の奥底には抑圧された心の闇を飼っていて、そのせいで「トモダチ」を独占しようとしてしまって、せっかくの友情を台無しにしてしまったり、そんな自分を許せずに苦悩する……そんなイメージであったんですけどね。例えばもうちょっとシリアスに自問自答したり、自分のしたことに後悔するような。ううむ。


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