剣の花嫁 第6回リアクションA1共通

「立ち上がれ、勇者」より抜粋

奈月瞬マスター執筆

Scene.7 「救国党に立ち向かえ」より

「さて、もう少しで完成だな」
 グリフィス・フィクサーは完成間近の孤児院を見ながら、呟く。ラウラ女王の呼びかけで救国党の貴族に金を出してもらおうと思ったのだが、あっさり断られた。国民に対する建前などおかまいなしだ。もっとも、少し前に貴族が次々と賊によって殺されるという事件があったので、その処理に追われていたと言うのもあるが。
「なぁに?まだできないの?」
 グリフィスの隣に立つたのは妻でもあるリナ・ゴールドスミス
「もう少しですよ。でも、まさかラウラ女王がすでに借金を返していたのは驚いたよ」
「まあ、いろんな人がいるから……」
 リナは呆れたように呟く。
 実は、ラウラを使ってマチュウ酒を造るという手段に出た者達がいたのだが、これが売れた。なぜか利益は借金の倍額。いきなり金持ちである。
「あら、こんなところにいたんですか?」
「げ!?せっかく逃げ切れたと思ったのに」
 リナの花嫁修行を行っていたウルズ・クォーラの出現に、リナが引く。結婚後も、つきっきりでコーチしているのだ。いろいろと。
「そうそう、ウェディングドレスが出来たんだけど、試着してみます?」
 ウルスは執事のK.Dを呼ぶと大きな箱を持ってこさせる。だが、二人は服よりも執事の名前の方が気になったようだ。
「なぁ、なんで“K.D”なんだ?」
「だって、略さないと危険なんですよ☆」
 その言葉に、二人はあえて突っ込むことはなかった。非常に気になるところではあるが。
 そして、3人+執事はそのまま孤児院の完成を持っていた。ウルズがいつまでくっついているのか、と聞いてはいけない。「最後まで」と答えるに決まっているから。

「……どうだ?悪い話ではないであろう?」
 部屋の前を通りかかったロリィ・ディスティオールは、その怪しげな会話を耳にした。
「しかし、救国党を裏切ると言うのは……」
「……なあに、話してるのかなぁ?」
 ロリィが部屋に入ると、貴族の男をラウラ側に引き抜こうとしているフィナ・クイーンがいた。
「ち、違うんだ、ロリィちゃん!」
「……ロリィちやん!?」
 フィナが驚きの声をあげる。
「ほらほら、こぉんなオバサンの言葉聞いてちゃダメだよ?ね?」
 ロリィはそう言って貴族の頭をなでた。
 フィナの眼前で展開する異様な光景に、ただただ呆然とするだけだった。
 ロリィは失恋のショックから援助交際に走っていたのだ。しかし、11歳のロリィに手を出したのか?この貴族のオヤジは……。
(うーん、そろそろ潮時かなぁ)
 ロリィはオヤジの相手をしながら、そんなことを考えていた。はっきり言って、退屈になってきたのだ。
「これは、悪い夢だ。ここまで腐っているとは」
 フィナはそう言い残して、ふらふらと部屋を出て行った。後に残ったロリィも部屋をでると、再び内部情報の調査を始めた。多分、こっちが本当の目的なのだろう。
 ……誰も自信をもって言い切れないが。

 そんなことがあった中、ミスターBは貴族の代表としてキルゴア侯爵に意見を言いに来ていた。……のだが、偶然にもキルゴア侯爵の命を救ってしまった。結果、ミスターBはおだてられて救国党のトップの座につくことになる。もっとも、これを機会に夫婦の仲は悪化して喧嘩が絶えなくなるのだが……。

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●プレイヤー注釈

 久しぶりに共通入り。
 レガリアを乗っ取ってしまった悪の貴族集団、救国党のメンバーを「魅了の瞳」の能力でたぶらかして取り入り、組織に潜入して内部調査。仲間に情報を流す……というアクションでした。リア中では「援助交際」とか書かれてますけど……。
 それにしても前回のリアと続けて読むと、ロリィの失恋相手ってリナお嬢様?と読めてしまいますね。違うんですけれど……。

 これまで謎に包まれていた、ゴールドスミス家の執事の名前について言及されています。頭文字だけ。何か版権か何かでヤバい名前なのでしょうか……?


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