ステラマリス・サガ 約束の地の探索者
第1回リアクションHA2

「人知れぬ地にて」より抜粋

榊大悟マスター執筆

リアクション冒頭より

「おーおー、見ろよ。団体さんだ」
 地平線を見つめ、クリフ・カタッツが呑気に言った。
 沈みゆく太陽の向こうからやってくるのは、この地の支配者。鉄の皮膚を持つ獣たち。それが、今まさに地を揺るがし向かってくる。
 それを一匹狩るために 一月山々を探索せねばならぬ、ステラマリスではありえぬ光景だった。
 森も、草原も、木々すらもない荒れた大地である。赤茶けた土と岩、砂が日に入る全て。水の星最大の荒野、アルジャーヌ砂漠であろうとも、お目にかかれぬ荒廃ぶりだ。
 そう、ここは異郷の地。
「むこうのハンターどもに見せてやりたいぜ。この垂涎ものの光景をよ。
 どうする? もうすぐ日も沈む。月夜になれば奴らは荒れるぜ?」
「『クリーチャー』風情に恐れをなすのか? ふ、論外だな」
 クリフの言繋を鼻先で笑い飛ばし、ティアーズ・ベルゼビュートがサーベルを抜いた。
「まったく、みんな働きものやなあ。ぼくは援護しかせえへんからな。せいぜい業務成績上げたってや」
 渋々エイカ・フェリルスターがウイップを取り出し溜め息をつく。
「アル、気張ることはない。相手は鉄項で低能の獣どもだ。楽しんで狩れ」
「ティアーズさんのようにはいかないよ……」
 サディスティックなティアーズの言葉に苦笑を浮かべながら、アル・ヴェルクスも剣を手にした。
「でも……やってみる。早く『グリーン』着たいしさ」
「上等」
「来るわ。数は……三十……二、いえ、三」
 戦術偵察型に調整されたスレイヴ・ドール、セリスタ・モデルノイツェンがその足音から数を割り出した。
「月が出るまであと三十三分十五秒。一頭あたり四十二コンマ三七秒で掃討すれば問題ないわ」
「したら、ぼちぼち始めよか」
 月がのぼり、二十余分が過ぎた頃、決着はついた。
 勝者たちの名は『エグゼクター』。

【NPC一覧】

【PC一覧】

●プレイヤー注釈

 エンタープライズ社保安部門特殊機関『エグゼクター』の候補生部隊『ブルー』たちの活躍を描く物語のプロローグ。この後では『ブルー』たちの日常生活や、どこにあるとも知れぬ謎の大地「スマラグドゥス」へエグゼクターたちを送り込む装置『コクーン』の謎や、秘密に包まれたエンタープライズ社の計画『フライハイト・プラン』の謎、といったストーリーの提示を通して、各PCたちの紹介が挿入されています。

 この回は、プレイヤーアクションなしの初期情報リアです。登場行数は僅かですが、「聴覚に特化した偵察型アンドロイド(スレイヴ・ドール)」という設定を使って格好よく描写してもらえました。


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