ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part 35

秋色に染まる湖岸の村、ハルシュタット(オーストリア)

2005年10月16日(日)

オーストリア全体地図
行程マップ

[すっかり観光地]
三連続のザルツカンマーグート, 夏が終わり秋に入った今回は, 少しハイキングはおとなしめにハルシュタットの町を訪問. とはいっても, もちろん私がまったくハイキングなしなどという訳はないのだが…. それはともかくこの町も世界遺産指定とともにすっかり観光名所になってしまい, 人がうじゃうじゃの夏場は少々敬遠していたのだが, それでもやはり一度はいっておこうということで人の減る紅葉の季節に訪ずれることにした. なおハルシュタット観光の目玉の一つ, 塩鉱山見学ツアーは, 旅行記には入っていないが他所で既に体験済であり, 基本的にどこも似たようなもののハズなのでパス. 近場の日帰り故, 事前予約の類はなし.


[Hallstatt : 直前に晴れた!]
今日の天気予報は晴れではあったが, もう10月, 既に秋ということで今朝はこの季節特有の地霧が濃く, 道中列車からの車窓風景は真っ白けであった. しかし到着直前に一気に晴れ上がる. 間に合った! すぐに谷間にHallstätterseeの湖面が現れ, 対岸のHallstattの町が見えてくるとすぐにHallstattの駅に到着. 降りたのは3人であった.
そのまま湖岸へスロープを降りてゆき, 待っていた渡し舟に乗り込む. すぐに出発して, 回ってきた船員さんに料金を払い, 後は7分間の素敵な船旅. Hallstattの町を見るのはもうこれで7度目である. さすがに当初の感動はだいぶ薄れてきたが, それでも湖側から眺める朝日を浴びて輝く町は美しい.
Hallstatt aus See
[Hallstatt-Lahn : ゆったりとした]
下船してまず軽く町中を歩く. といっても基本的には一本の道沿い. さすがにこの季節, 朝方はまだ少し寒い. まだこの時間はSalzburgなどからの観光客は着かないし, 団体さんもまだ. いるのは主にHallstattに泊まった人々で, 非常にのんびりした雰囲気が漂う素敵な時間だ. 基本的にこの町は町民, 宿泊者などの関係者以外は町の中に車の乗り入れが出来ないので道も忙しくない. 歴史を感じさせる少し古びた建物と, 観光客向きのちょっとおしゃれな建物の混ざる, 端正でかわいい町だ. 朝日を浴びた建物と後ろの斜面の色づいた木々の葉を見ながら湖岸を南下し, 南側の集落, Lahnまで出る.
[Echerntal : 岩壁の間の]
塩鉱山, Salzbergへ上るケーブルカーの谷駅の脇を抜ける. 緑色のかわいい車両がもう動いているね. つい少し見物.
さてここLahnからはEcherntalという谷が山間を抜けて奥へ続いている. そのままずっと奥へ上ってゆくと, 林道がぐるっと回り込んでSalzbergへ上がる他, 西へは峠を越えて先日のGosauへ, 南へは巻いてDachstein北側の登山口, SimonyhütteやKrippensteinのロープウェイなどへも歩いて上がってゆくことができるが, 今日はそれが目的ではない. 谷の一番奥にあるWaldbachstrubの滝までの軽いハイキングのみ. さすがにシーズンオフの朝では誰もおらず, 一人すたすた林と牧草地の間を歩いてゆく. この谷は両側に岩壁が迫るなかなかカッコいい谷だが, それゆえこの季節この時間は日が入らずちょっと暗い. しかし両側を見上げると岩盤に綺麗に褶曲が見えているのが面白い. しばらく行くと非舗装路となり, 沢の左岸を少し上りながらやがて右へ折れると約40分で滝, Waldbachstrubへ到着. 岩壁の左側隙間から複数段で落ちてくる本沢に対し, 右側の岩壁をもう少し高くて水量の少ない滝が落ちている. なんとなくミニチュア称名滝って感じか? もうこちらに来て2年半, 日本の滝と比べるとどうしても見劣りする滝が多いので, こちらはこちらで楽しむしかないともう悟っているが, その基準ならまずまず端正な滝といえるかな.
[Gletschergarten : 氷河が削りました]
少し沢沿いに戻り, 橋を渡って対岸を再び登りなおすと約20分で今度はGletschergartenへ到着する. 直訳すると「氷河庭園」, といってもいうまでもなくイマドキオーストリアのこんな標高の低いところに氷河がある訳はなく, 最後の氷河期に, 氷河が後退する時に岩を削っていった跡だ. オーストリアにはこういうのがところどころあり, 実態はただのデカイ岩だけだったりするが, ここは氷河が岩をくりぬいて開いた穴を水がちょろちょろ…が覗き込める. まあまったく期待しないで行けばちょっとは…(苦笑). それよりこちら側からは谷の見晴らしが時々開けて湖方向が望めるのがグッド. 氷河庭園の上を走る林道へ出て, その景色と(先のWaldbachstrubの滝も右側の高い滝だけ姿が望める)谷間を望みながら高度を下げていくと再び森となり, やがてLahnへと戻る.
[Salzbergwerk : 同じでしょ]
戻って来た時点で案外時間が発っていてちょうどお昼. これならケーブルカーで上がって上で昼食でもしようかと, ケーブルカーに乗り込む. 当然上にある塩鉱山見学のためのケーブルカーでもあり, コンピチケットも売っているが, 今回は見る予定はないので片道チケットを購入する. 一応15分に一本と書いてあったが, さすがにだいぶ観光客も増えてきたのかすぐにゴンドラがいっぱいになったため, 10分もすると出発した. 進行方向右側がずっと湖側で眺めがいいのだが, 先に乗った人がもう場所を占めていたため, おとなしく左側で先の谷間を望みながら約3分で頂上駅へと上がる.
さて, 頂上駅正面の一段高いところにRudolfsturmという建物があり, ここがレストランになっているのだが, よく見ると張り紙があり, "13時まで貸切, 使えません". …あら, 食事が…. この他は湖岸へ降りるか, 山へ登るか, 塩鉱山の入り口までの周遊路を歩くかしかないので, 当然三番目の選択, 塩鉱山の入り口のトンネルまで往復. ちなみにこの辺りは紀元前から人が住んでいたらしく, 考古学展示と称して道なりに人骨とか展示してあったりする. 谷間にはちょうど日が入り, 色づいた葉も綺麗で景色もよく, ついのんびりしてしまった.
Salzberg
ちなみに今回塩鉱山見学はかなりすいていたにもかかわらずパスしたのは, 単に見たことがあるから. Hallstattではないが, 所詮人の手で掘られたもの, 一度見てしまえばどうせ中身は一緒である(苦笑). まあ一回ならともかくわざわざ二度見るほど面白いものでもなかった, ということでもある….
[ → Hallstatt : 満員]
さて13時過ぎにRudolfsturmへ戻ってくると, あっという間に満席! 考えてなかった…. 13時からということはすべての客はまだ席に着いたばかりということで, すぐに空くとは思えない. 延々と待っていてもしょうがないので, さっさと断念してHallstattの町へ戻ってから昼食に変更. なおこの「塔」の一段下, 崖上に細い通路と展望台があり, ここから真下に少し湖へはみ出したHallstattの町を見下ろすことが出来る. パンフレットなどでお馴染みのアングルだ. そうか, ここから見えたのね. しばし眺めてから下山.
Hallstattへ降りる, 急斜面にジグザグにつけられた道はよく整備されていて, 歩きやすい. ただし林の中の道のため, ほとんど展望はないが. 十数回折りかえすと町の上に出て, あとは斜面に建つ家の間の石段を降りる. って, この石段は道路だったのか! てっきり民家へのアプローチ路だと思っていたら….
[ Hallstatt : うろうろ]
もう14時前ということで, とりあえず食事の出来る場所を探す. 最初港の北側へ歩いていったのだが, どうやらこちらは宿泊だけで, 店はすべて南側らしい. 端まで行って引き返す. 日本人団体とすれ違い, すこし歩くと湖岸のテラスに空席があったので, そこへ収まる. もう歩くところは歩いたし, ビールを一杯やりながら湖のお魚料理ね. ここは15時まで昼食が頼めるということで助かった. もっともこの時間になるとみな来る客はカフェないし一杯休憩の客ばかりで一人でのんびり湖岸の席を占拠しての食事になるが, まあそんなのは気にしない. うんおいしいおいしい. 湖の向こうには昨年上がったPioneerkreuzの送信塔がよく見える. また上がりたいな….
さて, 食事も終わり, 15時ちょい過ぎに出て博物館へ向かうと, 「入場は15時まで」の表示が. あ…. ちゃんとチェックしておくべきであった. 失敗失敗. 後残るは教会墓地にあるBeinhaus(納骨堂)だ. ここは結構最近の人まで含め, びっしり死んだ人たちの頭蓋骨など骨(?)が収められている. 土地がないので一度埋めた人の骨だけあとで取り出してまとめ, お墓は再利用とか. 1Euro払って扉を開け中へ入ると, 即目の前には小屋の壁三面に沿って綺麗に骨が並べられている光景が. 頭蓋骨にはすべて名前と年号が書かれ, 花なども描かれていたり. 化学処理されていててかてかなのであまり生々しさはないが, まあダメな人はやっぱりダメだろうなあ. ちなみに写真撮影可なのだが, さすがにそれは遠慮させていただきました(苦笑).
帰りの列車に接続する渡し舟まであと30分ほどあったので, しばし, 実は道路らしい石段の道をのんびり歩く. 一段高いので当然ながら, 眺めがいいね. 午後遅くなると日が西に回って町は山の陰に沈むが, 対岸側, KrippensteinやObertraunの奥の, 西側斜面や岩壁は日の光が当たり始めて輝き始めるから町からは綺麗に見える. さあ, 後は帰るだけだ.

まあ世界遺産に指定されてむやみに観光客が増えてしまった感は否めなくはないし, あまり期待しすぎるのもどうかとは思うが, それでも絵のような町という評価は伊達ではないと思う.


現地の行程

10/16
(Sun)
Hallstatt Bhf arr 09:35 ÖBB E-Zug ---
dep 09:41 Fähre
(渡し舟)
1.9Euro
Hallstatt Markt arr 09:47
Hallstatt Salzbergbahn Talstation dep 10:10 徒歩 --
Waldbachstrub arr 10:50
dep 11:00
Gletschergarten arr 11:20
dep 11:30
Salzbergbahn Talstation arr 12:00
dep 12:10 Hallstatt Salzbergbahn 5.10Euro
Salzbergbahn Bergstation arr 12:14
Salzberg散策
Rudolfsturm dep 13:10 徒歩 --
Hallstatt Altstadt arr 13:35
Hallstatt町中散策, 昼食
Hallstatt Markt dep 16:15 Fähre
(渡し舟)
1.9Euro
Hallstatt Bhf arr 16:22
dep 16:25 ÖBB E-zug --

参考


Mittel Europa Platzトップへ