ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part8

山と水と石灰岩の小国スロヴェニア その2

2004年3月26日〜3月28日

2日目(3/27) --- ブレッド湖,ボーヒン湖

中欧全体地図
行程マップ

(Bled湖に関しては2006年2月の二度目の訪問の旅行記もあります)

[ちょっと慌しい : Ljubljana → Bled]
スロヴェニアは列車は少なく, 公共交通機関としてはバスがメインらしい. Ljubljana駅前にも26両分の中長距離バス停留所が並ぶ. ホテルの朝食が土日は7時からということで, Bled湖へ向かう8時のバスに乗るために7時直に食事へ. 中年夫婦と並んで一番乗り. バイキングでパンとチーズとゆで卵とスクランブルエッグとコーヒー. オレンジジュースかと思ってちょっと飲んだ物体はめちゃめちゃ味が薄くてなんだこりゃ? ちょいと偏ってるな.
10分前に駅前に到着. バスセンターでチケットを購入してから乗車. 約15人ほど客がいたが, 運転手から買っている人がほとんど. まあ値段変わらないみたいだしね. なおバスセンターの入口横と内部には時刻表検索機があり, 行き先/出発地を入力すると出発/到着時刻が表示されるのがあるが, これはwebのシステムと同じ.
乗った乗客は若い大学生くらいの人が多かったが, みんな途中でぱらぱらと降りていった. どうやらオーストリアと一緒で, 学生が週末に実家へ帰省するのではないかな. 確かに日曜には店が休みで街にいてもすることがないのだろうけど. 約1時間でBled湖まで乗ったのは4人. まだ観光シーズンではないものね.
[スロヴェニアの誇る美景だが… : Bled湖]
Blejsko Jezero(ブレッド湖)は絵に描いたようなスロヴェニアの誇る美景と評されているらしい. 確かに湖を中心に湖岸のBled城と教会が並び, その向こうにユリアンアルプスが聳える美しい写真は良く見かける. これだけ見るといかにも山間奥地の静かな景勝地みたいなのだが, 実はこの湖は山間部への入口にあり, 東側は開けている. Ljubljanaから北西のJeseniceへ向かう道路をLesceで西へ外れると, もういきなり高台のBled城が目に入ったりしてちょっとあっけない.
バス停から坂道を一分ほど降りたところが湖の北東端湖岸. 右側にでんでんと教会とBled城が並び, 向こうの方にBled島が見える. 東西に長い湖のこの東側がリゾート地で, ホテルもほぼ全てこちら側にある. 湖岸を少し歩き, Informationのiの時を見つけて入っていくと, officialなinformation centerではなくて, Kompassというこちらの旅行会社のtourist informationだった. 紛らわしい. いや読めば分かるんだけど.
観光スポットそのものがさしてある湖でもないので, 一周約6km, ぶらぶら歩いてくることにする. さすがにシーズンオフの朝で人は少なめ. 時計回りに歩き始めると, すぐ南岸に出て, 教会とBled城がユリアンアルプスをバックに見えるようになる. ああ, この角度でみんな写真を撮るわけね, と納得. しかし上空はよく晴れているものの, あいにく今日はアルプスの上の雲はなかなかきれいに飛んでくれない. ところどころまだ白く輝く山肌が覗いて期待させるのだが, 結局すかっとはいかずにちょっと残念だった.
Blejsko Jezero
もちろんまだ3月末ということで緑豊かな景色ではなく, 枯れ木色の少し寒い色だが, それは気にしない….
しばらく歩いていくと湖の西寄りにあるBlejsko Otok(島)が大きく見えてくる. この島にはCerkev Sv. Marija(聖マリア教会)があり, 客が揃えばボートで渡れるらしいが, ボートのある辺りには誰もいなかったし, これはパス. ぐるっと回っていくだけで少しずつ変わっていく風景は十分絵になる美しさだ. ちなみにこの島は現在スロヴェニアで唯一の島だそうだ. スロヴェニアには一応短い海岸線があるが基本的には内陸国ゆえのことではある. しかしあえて現在と書いたのは, そのスロヴェニア唯一の貿易港であるKoper(コーペル)は, 元は小島だったものを1825年に埋めてつなげてしまっているから.
西岸を回って北岸へ出ると, 自動車兼用道路となり, 人の数がだいぶ増える. おそらくもうちょっとのんびり出てきた人が, 北岸のBled城を見た後こちら側をぶらぶら歩くのだろう. 北岸からはBled城もユリアンアルプスの主稜線も見えないが, Bled湖とその後ろの山並みと, 上流のBohinj湖に続くSava Bohinjka(ボーヒン川)のきれ落ちた谷間が良く見られる. ただし全体的に道は湖畔から一歩離れ, 間に宿が入ったり木々が入ったり, あまり心置きなく湖の風景を, という感じではない.
適当に立ち止まりつつ, 約1時間半で1周し, Bled城へ向かう.
[小山の上の見晴台 : Bled城]
Blejski grad(ブレッド城)は湖の北岸にある約120mの高さの小山の上にあるこじんまりしたお城だ. この山の湖側が崖になっていてすぱっと切れ落ちているため, 湖側から見ると実に絵になる. いくつか登る道はあるが, 湖畔側から標識に従って山道をくねくね上っていくと, 岩をまいて約10分で城の横に出られる. ちなみに裏側斜面はもっと緩やかで, 車でも上がってこられるらしい. 入口で入場料を払って入る. 城そのものはLjubljana城よりさらに小さく, 一応小さなMuseumが付いているものの, 城そのものに関しては見るところは大してない. もちろん何よりも, 崖の上から見る湖の風景が最高だ. 湖周辺はもちろんLesceからLjubljanaの方へ続く盆地もずっと見渡すことが出来る. 残念ながらユリアンアルプスと湖の向きが違うけど…. ここではこちらに来て初めて一人東洋人の女の子を見かけたが, まあ特に話もしなかった.
[カワマスめがけて : Bled → Bohinj Jezero]
12:20のバスでBohinj湖に向かうため, 12:10に城を出て坂道を駆け下りる. まあ間に合わなかったらここで昼飯食べてけばいいかなとは思っていたけれど, Bohinj湖はカワマスが獲れてこれがおいしいらしいので, 出来れば着いてから食べたいなと思っていたが, どうにか間に合って乗車. 客は他に2人. やはり地元の人で, 途中で降りていった. LjubljanaからBohinj湖へ行くバスは基本的に全てBled湖を通過していくようで, ほぼ毎時走っている.
Bled湖を出て南西へバスが入っていくと, すぐ山間の谷間の雰囲気が強くなる. 途中から山や道端の雪がぼちぼちと増えてゆくのも, 奥深く入っていくなあという印象を高める. 山好き人間にとっては, こういうところを抜けていくとハイキング行くぞぉって感じがしてうれしい(笑). 途中で小さな町Bohinjska Bistricaを通過し, 約40分でBohinj湖の湖岸手前のバス停, Bohinj Jezeroに到着. ここはユリアンアルプスの中心であるTriglav山の主稜線を北に, 西側で別れた枝稜線を南に置いて, 谷間の平地の最奥部にあたる. さすがにここまでくるとかなり静か. 道端の雪もだいぶ残っており, 山もだいぶ雪景色を残していてBledより俗化していない感じがいいかな.
[ちょっと奮発 : Bohinjsko Jezero]
Bohinjsko Jezero(ボーヒン湖)は一周約12kmくらいの, Bled湖よりさらに大きくまた東西に長い湖. 私みたいにハイキングだけの日帰りも出来るし, その他Julijske Alpe(ユリアンアルプス)への登山基地にもなり, スキー場やキャンプ場も多く, 今はまだスキー客がちらほら. ハイキングに出る前にまずは昼飯. バス停を降りてすぐのところに4つ星ホテルのレストランがあり, ここで食べられると地球の歩き方に書いてあったので, れっつごー.
エントランスを入ると右側にレストランがあるのだが, ちらっと見ると, なんかテーブルにお皿とナプキンがきれいにセットされてずらり. 思わず一歩引いてしまいました(苦笑). 出てきたウェイターさんにおずおず英語で昼飯食べたいんですけど…というと, OK, OK! Please! とえらく陽気にせかされて食堂へ. …誰もいなかった(苦笑). 貸切かい! "I hear here we can have a good trout?(ここでは美味しいマスが食べられるそうですね?)" と聞くと, "Ah, char is caught from this lake.(カワマスはここで獲れたのですよ)"と言われたので, では, とoven-grilled charを注文. …いや, charって単語知らなかったもので(汗). マスといえば当然塩焼き…と行きたいところだが, さすがにそれは無理(苦笑). 魚の油があるのになにも油で焼かんでもとは思うのだけどねえ. でも美味しかったです. 最初は貸切でびっくりしたけど, 却って回りの人の目を気にしなくていいので(笑), 存分頭と骨と尻尾を残して頂きました. さすがに昼飯にしてはだいぶ高かったが, でも西欧ほどは外食の物価も高くないのでそういう点では助かった.
[雪中ハイク! : Bohinjsko Jezero北岸]
のんびり昼飯を済ませ, 15時頃からハイキングに出発. Bohinj湖の南岸は自動車道路, 北岸がハイキングコースになっているので, 北岸へ向かう. さすがに道路脇の残雪を見ると, コースもすっきり除雪されているとは思っていなかったが…入口が分からなかった! 自動車道路を歩きながらおかしいな, もう入口は過ぎているのでは, と思い始めたところで, 湖沿いから先ほど過ぎた辺りに出てくる母娘(?)を発見. 確かに少し道を戻ると, 踏み跡が残っていた…. さすがに登山靴ではないので行っていいものか少々逡巡したものの, まあ地図を見る限り一応小道レベルのコースで, 高低差もほとんどないはずだし, ということでとりあえず行けるところまで行ってみようかと出発.
Bohinjsko Jezero
北岸へ出ると人もおらず, 対岸の車の音もかなり小さくなって, 非常に落ち着いたたたずまい. 対岸の雪山が澄んだ湖面に逆さに映っていていい感じ. 踏み跡を追っていく限りはそれほど雪は深くなく, 滑らないようにあまり急がず歩けば特に問題なくいける程度だったので, ぼちぼち立ち止まりながらハイキング続行. 約1時間半で途中10人くらいはすれ違ったかな, という程度で, 回りに煩わされずに静かなハイキングが楽しめた. こういうコースになると逆にハイカーも挨拶するようになって, だいたい"Dobro Dan!"と挨拶が来て, 最初はHello!と返していたのだが, まあなんとなくごにょごにょとDobro Danに変更. なんか人によってはDanしか聞こえなかったりするけど(苦笑).
[来なかった? : Bohinjsko Jezero南岸]
Bohinj湖の西岸からもう1時間程歩いていくと谷の最奥となり, そこで平地は終わる. 湖岸から西を見るとだいぶ目の前に迫った山々が平地を塞ぐように聳えていてここからはいよいよアルペンなんだなという雰囲気を伝えている. こういうのを見ると思わず行きたくなるのだが, さすがにこの季節この日程この装備でそれは無理(苦笑).
さて, Bohinj湖行のバスは南岸の道路を通ってこの湖の西端(上流側)まで入る. 帰りはこれに乗ってそのまま帰ろうと思っていた. ハイキングを終えて西岸にたどり着くとちょうどバス10分前. いい感じと思ってバス停の辺りをウロウロしていたのだが…時間になっても来なかった. 確かにスキー客が細い道路脇ずらりとマイカーを止めてしまっていて, ここまで入ってこられるのかな? って首を傾げたくなるようなところにバス停はあったのだが, まあ来なかったものはどうしようもない. しかしこの次のバスは最終で2時間後. ホテルが一軒あるものの, スキー客にまみれているのもなんだかなーだし, 次のバスも捕らえ損ねたらシャレにならんなーと思い, それならと今度は南岸を(自動車道)だけど, 歩いて帰ってしまえ, ということに急遽変更. 標識を見ていると, 車道ぞいに歩行者用の道もついているようなのだが, こちらはどうも踏み跡すらなく, さすがに運動靴では歩けない. 仕方ないので今度は車道をてくてく. 17時前ともなると車もあまり多くなく, 特に危なくはなかったし, 景色は先ほどと逆で, これもきれいではあったが, やはりなんかあまり風流ではない. まったく照明のない道路なので, さすがに薄暗くなる前には東岸までたどり着かねばと言う訳で, 少し急ぎ目で1時間で到着. ああ一日良く歩いた.
もう40分ほど時間を教会の鐘を聞いたり湖の魚を眺めたりしながら時間を潰し, 今度は予定通り来たバスに乗ってLjubljanaへの帰途へ着いた.
ところでBled湖に戻ってきた時にはもう真っ暗だったのだが, Bled城とその下の崖, そして教会は一応ライトアップされているようだ. 普通こちらは赤みがかった照明を使うが, 崖だけは白銀色の水銀灯だかハロゲンランプだかみたいな色で照らされていて効果倍増(笑). 昼のBled湖もいいけど, ここで一晩泊まると素敵な夜の雰囲気も味わえるんだなあとちょっと思った.

1日目(Ljubljana)へ
3日目(Škocjan鍾乳洞)へ
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