ヨーロッパ週末ぷち旅行記 : Part8

山と水と石灰岩の小国スロヴェニア その3

2004年3月26日〜3月28日

3日目(3/28) --- シュコツィアン鍾乳洞

中欧全体地図
行程マップ

[今日も早起き : Ljubljana → Divaca]

今日からヨーロッパは夏時間に変更ということで, 昨晩は時計を一時間進めてから寝た. 一時間睡眠時間を損した訳だ(苦笑). 起きると昨日とは違いまだちょっと暗め. 同じように7時に朝飯を済まし, さっさとチェックアウトしてまた8時のバスのために駅へ. …その前にLjubljana城の下に寄って, 1日目に雨空でしか撮れなかった写真の青空バージョンも撮影しておく. それで時間がぎりぎりになってしまい, 今日はバスの運転手から乗車券購入. 運転手は大抵英語は話せないが, 料金表の紙を引っ張り出して示してくれるのでスロヴェニア語の数字が分からなくても大丈夫.
今日の目的地はŠkocjan鍾乳洞, バスはスロヴェニアの一番西端Piran行で, 最寄は途中のDivaca. 乗客は10人ほどだが, やはり途中でみんな降りてゆき, Divacaまで乗っていたのは私だけ. ということは途中で誰か乗ってこない限り残り1時間半は客無しでバスだけ走る訳だ….
このルートは一応スロヴェニアの幹線だけに自動車専用道も走っているが, 基本的に全て下の一般道をとろとろ行く. Postojnaの手前はなだらかに丘になっているのか, くねくね道をのんびり上がって降りていく. 距離の割には時間を食ったかなという感じ.

[のどかな散歩道 : Divaca → Škocjan]

Divaca(ディヴァーチャ)の駅前でバスを降りるが, 人気はゼロ. 日曜の朝だからかなあ. ここからŠkocjan鍾乳洞までは徒歩でということになる. 地図を広げて方向を確認し, 周りを見渡すと確かに小さな道案内の標識が出ていた. 最初は自動車道路をてくてく歩き, まもなく細い路地に入ってゆき, やがて未舗装になってすぐ細いハイキング道になった. 今日はやや空が霞み気味だが良く晴れた天気で, ちょっとぽかぽか陽気のなかてくてく緩い斜面を横切るように歩くこと40分. 下が結構岩っぽいのはやっぱり石灰岩なのかなーとか思いつつ, Škocjanの自然教育路と合流する. そしてまもなくある左側の展望台の前には, いきなりどーんと巨大な穴が広がる.

穴の向こう側には教会が立ち, そこがŠkocjan(シュコツィアン)の集落だ. 東から来たReka(レーカ川)はここで初めて集落の真下の地下をくぐって目の前の穴へとすぐ再び姿を現す. この穴の真ん中には崩れ残りのトンネル, というか石門のようなものが残り, そこではもう一度轟々と音を立てながらReka川の水が潜り抜けて流れ落ちている. そしてまさに私が立っている足元から今度こそ地下へと消えていくのであった.

ここからReka川は40kmの間延々と地下を流れ, そのままトリエステ湾へ注ぐ訳だ. そう事前に予備知識を入れてみてみると, 感動が倍増するかな(笑). しばし見とれたのち, もうほんの少し直進すると標識があってŠkocjanのinformation centerかつticket売り場へと到着.

[とりあえず一周 : Škocjan]

到着は10:30. 冬の間3月までの洞窟見学ツアーは10時と13時のため, 次まではまだだいぶ間がある. 前のツアーの客が出たばかりでセンターはがらんとしていた. チケット欲しいのですが? と窓口で声をかけると, まだ次までだいぶあるけどいいの? 今日から夏時間だけど一時間間違えて来たのではないよね? と念を押されてしまった. もちろんそのつもりで来たのだからOK.
チケット購入後, とりあえずこの穴の周りを一周してくることにする. このコースは先の自然教育散策路になっていてあちこちに説明標識があるのだが, 残念ながらスロヴェニア語だけ. スロヴェニアの学生さん用ということらしい. 多少上り下りがあり, 石があちこち飛び出していてちょっと歩きにくいところもあるが, 基本的には整備されていて特に問題のない道. 途中繋いでいない犬に吠え掛かられたりしつつ穴の向こう側へ到着すると, その向こうにはまだ穏やかに流れるReka川が東に延びている. 穏やかに起伏する丘の向こう側にはまだ雪を被った山並みが連なり, のどかな眺めだ. シート引いてそのままピクニックにしたいくらい(笑). 約40分で一周し, センターへ戻る. センターにくっついている食堂でビールとサンドイッチをぱくつきながら時間調整.

[いざ! 地下へ! : Škocjan鍾乳洞]

12時過ぎになると段々人が増えてゆき, 13時には売り場前の集合場所に約60人. さすがに東洋人は他におらず, 聞こえてくる声はほとんどスロヴェニア語. 13:01に若いお兄さんが現れて, 「はいこれから移動します!」と声をかけてツアースタート. そう, この鍾乳洞の入口はチケットセンターからちょっと離れたところにある. ぞろぞろと約10分, 西側の窪みの下へと坂道を下りてゆくと, やがて案内板とやけにコンクリな門が見えてくる. ここでガイドが客層を確認する. やはりほとんどスロヴェニアの人だが, 英語の客は私ともう数人, それから数グループイタリアからの客がいて, ガイドがそれぞれの言語でいちいち説明を行う. ほお, すごいな….
簡単な説明と注意(写真撮影は禁止とか)の後, 鍵をかけてあるゲートを開いていざ中へ. 最初はすっかりコンクリで固めた道を少しの間てくてく. どうももともと開いていたというよりは, 行き止まり洞窟の先端に穴を開けて繋いだように思える. 2分くらい歩くと今度こそ本当に洞窟へ.
最初に入ったのはŠkocjanske Jame(シュコツィアン洞窟群)の支洞であるTiha Jama. いわゆる鍾乳洞らしい鍾乳洞で, あちこちに鍾乳石や石柱がにょきにょき. 洞内で高さによって地層が変わっていたりして, それにあわせて鍾乳石も高さによって色が違ったり, なかなか面白い. 奥へと進んでいくと随分大きなホールなんかもあってすごいな, と思っていたのだが.
これは前半戦. どうやらここの鍾乳洞は照明を何箇所かに分割しているようで, 途中で先が真っ暗に. 「照明点け替えます」のガイドの一言と共に今まで歩いてきた洞窟の照明が消され, 続けてこれから行く先の照明が点けられる. で, この先が本洞のŠumeca Jama. 目の前に広がったのは深く切れ落ちた地下峡谷とその底を流れるReka川の流れ, そしてそのだいぶ上のほうの崖沿いにぽつぽつとライトが見えるこれから歩く通路. 確かに深さ50mの地下峡谷とか事前に知ってはいたのだけど, やっぱり実物を目の前にすると圧倒される. いや感動して鳥肌立ってしまいました. 本洞に入ってからこの出てきた支洞の穴を振り返ると, さっきは大きいと思っていたものがいかに小さいか体感できて思わず絶句.
本洞の崖沿いにつけられた階段を下りていくと目の前に橋が架かっている. これは鍾乳洞の紹介でよく使われている「地面から250m下にある深さ50mの峡谷にかかる橋」 というやつで, ここからReka川の流れはさらに奥へと消えていく(この先はツアーでは入れない). もうきゃあきゃあ言いながら下を見ずに一気に橋の真ん中を抜けていく人やら, かくかく小さな歩幅でおっかなびっくり渡っていく人やら, 平気で橋の真ん中で下を見下ろしている人やら, いろいろだが, 確かにここから下を覗くのは結構怖いものがある. でも岩灰色と青緑の水面の対比が鮮やかで, これを見ないのはもったいない.
その先は最初に上から見た「地下への入口」に向かって崖沿いにずっと戻っていくのだが, 見ごたえ十分. Postojnaの鍾乳洞を諦めてこちらに来た価値は十分あったと思う. 出口まで約1時間半. 楽しかった….
出口からはケーブルでセンターの少し下まで上げてもらえ, そこで解散. インパクト十分で, もうちょっと余韻に浸っていたいところだったのだが, あいにく帰りの列車の時間があるので, そのまま駅に向かって引き返す.

[硬券ですよ : Divaca]

Divacaの駅で列車のチケットを購入. なんと, 切符は硬券だった. 日本でははるか昔に消えうせたあの硬券. ああこの手触り大好き. ほぼ同時刻でバスもあったので, どちらにしようか迷ったのだが, 列車にして良かった(笑). Ljubljanaに戻り, そのまま帰途へ. 3日間尻上りに楽しくなったスロヴェニア旅行でした.

現地の行程

参考

• 1 SIT = 0.539円, 1 Euro = 238 SIT. だいたいSITを半分にすれば円だと思って勘定した. 徐々にトラール安進行中. 観光料金もあちこち徐々に値上がり中で, 最新情報に注意. Ljubljanaでも観光地でも, 大抵のところではATMがあり, そのうち数割は大手クレジットカードでキャッシュが引き出せる. 中心街の銀行の為替レートは覗いた限りではだいたいいい. (手数料は知らない)
• ホテルや一部観光施設などはEuro払いが可能だが, トラールで払うより割高.
• 鉄道ダイヤはスロヴェニア国鉄のサイトSlovensko Zelezniceからも検索できるが, 国際線利用込みなら多分ドイツ鉄道Die Bahnのサイトの方が楽. 同じ距離ならバスより安いことも多いが, なにせ本数が少ない.
• バスのダイヤはLjubljanaのバスセンター東側入口横と内部に検索端末がある. 英語可. 中身はAvtobusna postaja Ljubljana d.d.のサイトと一緒. Ljubljana発着の中長距離(国内線)バスはこれで全部分かると思う. 地方間の路線は分からない.
• 同一路線でも複数会社のバスが走っており, センターでの購入チケットは時刻(会社)指定付. 値段はほとんど一緒でも会社ごとの互換はない.
• Škocjanske JameのサイトはPARK SKOCJANSKE JAME SE PREDSTAVLJA!. 冬はツアーが少ないので時刻注意. Divacaの駅からŠkocjanまではハイキング道路で片道40分程度. ツアーはアップダウンのある徒歩で1時間45分. 歩ける格好で. 一人のガイドがスロヴェニア語, 英語, イタリア語で全て解説していた. 洞内撮影は禁止だが, 平気な顔をしてフラッシュをたいている人もちらほら. 途中でガイドがダメです! と念押ししていたが, ほとんど効果なかったような….
• なお2004年12月のダイヤ改定でLjubljana9:23着/17:25発のICはMaribor始発/終点の列車に変更になった. それぞれGraz-Maribor間のICと接続する.
• Bled湖をはじめ, 北西部ユリアンアルプス方面情報は2度目Bled湖＆Kranjska Goraへの旅行記, Part38も参考にしてください.