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船舶職員法

1総則

1船舶職員法の目的

 船舶の航行の安全を図る。

2船舶職員法の適用船舶

☆船舶職員法が適用される船舶及び適用除外船舶について述べよ。
1船舶職員法が適用される船舶は次の通りである。
 1日本船舶
 2日本船舶を所有することができる者が借り入れた日本船舶以外の船舶
 3本邦の各港間、若しくは湖、川、若しくは港のみを航行する日本船舶以外の船舶
2適用除外船舶
 1ろかいのみをもって運転する舟
 2係留船、その他運輸省令で定める船舶
 3推進機関を有しない5トン未満の帆船(当分の間)

3船舶職員と海技従事者

☆船舶職員と海技従事者とでは、どのような違いがあるか。
1船舶職員法とは、船舶において、船長、航海士、機関長、機関士、通信長、及び通信士の職務を行う者をいう。
2この船舶職員には運航士を含むものとされる。
3海技従事者とは、海技従事者の免許を受けた者をいう。
4海技従事者の免許は、運輸大臣が行う海技従事者国家試験に合格した者について行う。
5船舶職員になるためには、海技従事者の免許を受けなければならないとされるから、海技従事者と船舶職員との違いは、船舶において船長等の職務を行っているか否かという点に求められる。

4船舶所有者

・船舶所有者

・船舶管理人(船舶共有の場合)

・船舶借入人(船舶賃借の場合) 裸傭船契約とも


2海技従事者の免許

1免許

 海技士(航海) 1級 履歴限定 免許年齢         20歳 受験年齢19歳9月

         2級 履歴限定              20歳     19歳9月

         3級 履歴限定 船橋当直限定       20歳     19歳9月

         4級 履歴限定              20歳     19歳9月

         5級 履歴限定              20歳     19歳9月

         6級 履歴限定              20歳     19歳9月

    (機関) 1級 履歴限定              20歳     19歳9月

         2級 履歴限定 機関限定         20歳     19歳9月

         3級 履歴限定 機関限定 機関当直限定  20歳     19歳9月

         4級 履歴限定 機関限定         20歳     19歳9月

         5級 履歴限定 機関限定         20歳     19歳9月

         6級 履歴限定 機関限定         20歳     19歳9月

  海技士(通信)1級                   20歳     19歳9月

         2級                   18歳     17歳9月

         3級                   18歳     17歳9月

  海技士(電気通信)1級                 20歳     19歳9月

           2級                 20歳     19歳9月

           3級                 20歳     19歳9月

           4級                 18歳     17歳9月

  小型船舶操縦士  1級  設備限定           18歳     17歳9月

           2級  設備限定           18歳     17歳9月

           3級  設備限定           18歳     17歳9月

           4級  設備限定  区域出力限定   16歳     15歳9月(湖、川、出力10馬力未満)

*1級海技士(通信)の資格は、海技士(電気通信)の資格の上級とされる。

2免許の要件

☆海技従事者の免許が与えられない場合を2つ挙げよ。
1免許の要件
 1海技従事者国家試験に合格した者
 2運輸大臣が指定する講習の課程を修了した者(小型船舶操縦士を除く)
 3試験に合格した日から1年以内に免許の申請を行う
2免許が与えられない場合
 1免許年齢に満たない者
 2海難審判法4条2項の裁決により、海技従事者の免許を取消された者
 3法10条1項の規定により免許を取り消され、取り消しの日より5年を経過しない者
 4業務停止の処分を受けた者であって、その業務の停止の期間中

3免許の申請手続

☆海技従事者の免許申請の提出期限及び提出先について述べよ。
1免許申請の提出期限は、試験に合格した日から1年以内である。
2海技従事者の免許の申請は、海技従事者の免許申請書に免許講習修了書及び乗船履歴を証明する書類(一級海技士(航海)、一級海技士(機関)、既に履歴限定を解除されている者を除く)を添えて、最寄りの地方運輸局又はその海運支局のうち運輸大臣が指定するものを経由して運輸大臣に提出する。
3なお、試験を受けた地を管轄する地方運輸局以外の地方運輸局又は海運支局を経由して運輸大臣に免許申請する場合は、さらに試験合格証明書を添えて提出する。

4海技免状の有効機関

 1有効期間  5年

 2有効期間の更新

  1乙種の身体検査基準を満たすこと

  2次のいずれかの要件に該当すること

   1運輸省令で定める乗船履歴を有すること

    海技士(航海) 総トン数20トン以上の船舶 船長、航海士、運航士            1年以上

    海技士(機関) 総トン数20トン以上の船舶 機関長、機関士、運航士、外洋小型船の機関長 1年以上

    海技士(通信・電子通信)      船舶 通信長、通信士               1月以上

    小型船舶操縦士          小型船 船長                    1月以上

   2運輸大臣がその者の業務に関する経験を考慮して、前号に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認定した者

   3運輸大臣が指定する講習の課程を修了した者

  3海技士(通信・電子通信)の場合は、さらに次の要件に該当しないこと

   1連続した5年以上の期間、通信長若しくは通信士の職務又は運輸大臣がこれと同等以上であると認定した職務を行わず、かつ当該期間内に運輸大臣が指定する講習の課程を修了しなかったとき

   2電波法48条の2の規定による船舶局無線従事者証明が同法48条の3の規定により、効力を失ったとき

 3更新の手続

  ・有効期間の満了する日以前1年以内

  ・海技免状更新申請書、海技免状、身体検査証明書

  ・乗船履歴証明書又は陸上等の同等業務経験認定書又は更新講習終了証明書を運輸大臣に提出

  ・船舶局無線従事者証明書の提示(海技士(通信・電子通信))

5免許の取消

☆海技従事者の免許が取消される場合を列挙せよ。
1海難審判法上の懲戒としての免許の取消
2船舶職員法上の懲戒としての免許の取消
 1本法又は本法に基づく命令の規定に違反したとき

 2船舶職員として職務を行うに当たり、非行があったとき

3心身故障者に対する免許の取消

6免許の失効

☆免許の効力を失う場合を述べよ。但し、免許取消処分による場合を除く。
1海技従事者が上級の資格について免許を受けたとき、下級の資格についての免許は効力を失う。
2海技従事者が限定免許(船橋当直限定、機関当直限定、機関限定、区域出力限定)の免許を受けているときは、限定免許は効力を失う。


3海技免状

1免状

2訂正

☆海技従事者は、本籍の都道府県名に変更が生じたとき、どのような申請書類を提出しなければならないか。
1海技従事者は、次の場合、登録事項又は海技免状の訂正を運輸大臣に申請する。
 1本籍の都道府県名若しくは氏名に変更を生じたとき
 2海技免状の記載事項に誤りがあることを発見したとき
2このときは、第六号様式による登録事項(海技免状)訂正申請書の他に、戸籍抄本、若しくは戸籍記載事項証明書又は本籍の記載のある住民票の写し(外国人は、本国領事官の証明書)を添えて提出しなければならない。

3再交付

☆海技免状の再交付を申請できる場合を2つ記せ。
1失効再交付の場合(7条の2第5項の海技免状が効力を失った場合)
2滅失等再交付の場合(海技免状を滅失し、又はき損したとき)

☆海技免状の再交付の申請は、誰にするか。
・運輸大臣

☆海技免状の再交付を申請する際の提出書類を全て記せ。
1失効再交付の場合
 1海技免状再交付申請書
 2身体検査証明書又は身体検査甲種合格証明書、若しくは身体検査乙種合格証明書(場合により医師の診断書)
 3失効再交付講習の課程を終了したことを証明する書類
 4海技免状用の写真票
2滅失等再交付の場合
 1海技免状再交付申請書
 2滅失の事実を証明するに足りる書類
 3海技免状用写真集

4返納

☆海技免状を返納しなければならない場合を5つ挙げよ。
1次の場合には、速やかにその事由を記載した書面を添えて、海技免状を運輸大臣に返納しなければならない。
 1 8条2項に規定により、免許の効力が失われたとき
 2 10条1項又は2項の規定により、免許の効力が失われたとき
 3 前各号の他、免許の効力が失われたとき
 4 7条の2第2項の規定する海技免状の有効期間の更新を行わず、又は7条の2第4項各号の1に該当することにより、海技免状の効力が失われたとき
 5 10条の規定により海技免状の再交付を受けた後、又は4項の規定により届出をした後、失った海技免状を発見したとき
2次の場合は、交付を受ける海技免状と引換えに運輸大臣に返納する。
 1上級の資格についての免状を受けたとき
 2限定免許を受けた者が、同一資格についての限定のない免許を受けたとき
 3 4条の2第3項、9条、9条の5の2第2項、9条の5の2第3項の規定により、海技免状の交付を受けるとき
 4海技免状をき損したために再交付を受けるとき
3海技従事者が失踪宣告を受け、又は死亡したときは、同居の親族又は海技免状を保管する者は、1の手続をしなければならない。


4海技従事者国家試験

1海技従事者国家試験の目的及び種類

 1目的

☆海技従事者国家試験は、どのような目的で行われるか。
・試験は、船舶職員として必要な知識及び能力を有するかどうかを判断することを目的として行う。

2種類

☆海技従事者国家試験の種別を列挙せよ。
1資格別による種別

海技士(航海)1級  1身体検査

       2級  2学科試験(筆記・口述)

       3級(英語につき口述のみの場合も)

       4級

       5級

       6級(学科につき筆記のみの場合も)

       船橋当直3級

海技士(機関)1級  1身体検査

       2級  2学科試験(筆記・口述)

       3級(英語につき口述のみの場合も)

       4級

       5級

       6級(学科につき筆記のみの場合も)

機関当直   3級   1身体検査

内燃機関   2級               2学科試験(筆記・口述)

       3級(英語につき口述のみの場合も)

       4級

       5級

       6級(学科につき筆記のみの場合も)

海技士(通信)1級               1身体検査

       2級               2学科試験(筆記)

       3級

海技士(電子通信)1級             1身体検査

         2級             2学科試験(筆記)

         3級

         4級

小型船舶操縦士1級               1身体検査

       2級               2学科試験(筆記)

       3級               3実技試験

       4級

  湖川小馬力4級

2試験期日による種別

・定期試験(2/1, 4/1, 7/1, 10/1)と臨時試験

3内容

・身体検査(甲種合格、乙種合格)

・学科試験(筆記試験、口述試験)

・実技試験(小型船舶操縦士のみ)

4試験の免除等

 1身体検査の省略

 ・身体検査甲種合格証明書 1年以内に申請

 ・身体検査乙種合格証明書 3月以内に申請

 2筆記試験の免除

 ・筆記試験合格証明書(航海、機関)15年以内に申請

 ・筆記試験合格証明書(小型船舶)  2年以内に申請

3筆記試験の一部免除

☆船舶職員法施行規則第53条によれば、海技従事者国家試験の筆記試験の一部が免除されることになっているが、どのような条件がそろえば筆記試験の一部が免除されるか述べよ。
1海技士(通信)、海技士(電子通信)、小型船舶操縦士以外の種別の資格において、
2全部の試験科目の筆記試験を受け、
3その一部の試験科目について基準点に達した者が、
4筆記試験科目免除証明書を添えて申請したときは、
5当該試験と同種別の試験に限り、その基準点に達した試験科目について、免除される。
6但し、2年以内であること(開始期日から起算し、開始期日まで)。

・筆記試験科目免除申請書 2年以内に開始

4乗船履歴による学科試験の免除(上級の資格を受験)

5 6級海技士(航海・機関)の特例(小型船舶操縦士の資格者の受験)

6小型船舶操縦士の試験の免除

7海技士(通信)、海技士(電子通信)試験についての学科試験の免除

8船舶職員養成施設の課程を修了した者に対する学科試験の免除

 ・船舶職員養成施設の発行する修了証明書(小型除く) 5年以内に申請

                    (小型)   1年以内に申請

☆運輸大臣が指定した第一種養成施設とはどのようなものか、説明せよ。また、その種類を列挙せよ。
1運輸大臣が指定した船舶職員養成施設の課程を修了した者については、運輸省令で定めるところにより、学科試験又は実技試験の全部又は一部を免除することができるものとされている。
2船舶職員養成施設の指定は、第一種養成施設と第二種養成施設に対してなされている。
3第一種養成施設は、第二種養成施設と異なり、当該試験を受けるに必要な乗船履歴を有しない者を対象にしている。
4一定の基準により運輸大臣の指定を受けて船舶職員の養成を行う。
5第一種養成施設の種類には、次のようなものがある。
 3級海技士(航海)第一種養成施設
 4級海技士(航海)第一種養成施設
 5級海技士(航海)第一種養成施設
 船橋当直3級海技士(航海)第一種養成施設
 3級海技士(機関)第一種養成施設
 機関当直3級海技士(機関)第一種養成施設
 内燃機関3級海技士(機関)第一種養成施設
 内燃機関4級海技士(機関)第一種養成施設
 内燃機関5級海技士(機関)第一種養成施設
 1級小型船舶操縦士第一種養成施設
 2級小型船舶操縦士第一種養成施設
 3級小型船舶操縦士第一種養成施設
 4級小型船舶操縦士第一種養成施設
 湖川小馬力4級小型船舶操縦士第一種養成施設

2小型船舶操縦士試験機関

☆小型船舶操縦士試験機関とは、どのようなものか説明せよ。また、この試験機関として指定されている団体の名称を記せ。
1小型船舶操縦士試験機関とは、運輸大臣が申請により指定し、小型船舶操縦士の資格についての試験の実施に関する事務(特定試験事務)を行わせるものである。
2指定試験機関は、小型船舶操縦士試験員に試験を行わせ、また特定試験事務の開始前に試験事務規程を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。
3運輸大臣は、役員の選任、解任、予算、事業計画につき監督し、特定試験事務につき、監督命令をすることができ、その休廃止についても監督する。
4指定試験機関の名称は、財団法人日本モーターボート協会である。

3受験資格

 1受験年齢(19歳9月、17歳9月、15歳9月)

 2乗船履歴(但し小型船舶操縦士試験を除く)

  1一般受験者に関する

  2海事関係学校卒業者に関する

   *異なる乗船履歴の合算は、それぞれの期間の欄に定める最短乗船期間の比例により、いずれか最短乗船期間の長いほうの履歴に換算して通算する。

 3乗船履歴についての制限

☆乗船履歴として認められない履歴とは、どのような履歴か述べよ。
1 15歳に達するまでの履歴
2試験開始期日からさかのぼり、15年を超える前の履歴
3主として船舶の運航、機関の運転又は船舶における無線電信若しくは無線電話による通信に従事しない職務の履歴(但し、3級海技士(通信)試験又は4級海技士(電子通信)試験については除く)

☆船舶職員法施行規則第32条の規定により乗船履歴の証明方法としてどのようなものがあるか。解答欄に4つ列挙せよ。
1船員手帳、又は地方運輸局長の船員手帳記載事項証明書
2船員手帳を滅失・き損した者は、
 ・官公署の所属船舶 当該官公署の証明
 ・その他の船舶   船舶所有者又は船長の証明*
3船員手帳を受有しない者は、
 ・官公署の所属船舶  当該官公署の証明
 ・その他の船舶    船舶所有者又は船長の証明*

*の場合
 ・船舶検査手帳の写しを添える。
 ・当該船舶に乗込んだ旨のその居住する市町村の長、又は他の船舶所有者の証明がなけれならない。

4試験の申請手続

☆海技従事者国家試験申請に添付する書類をあげよ。
1海技従事者国家試験を申請する者は、海技従事者国家試験申請書(11号様式)に写真2葉、手数料の額に相当する額の収入印紙を貼った納付書(16号様式)に次の書類を添付して、試験を受ける地を管轄する地方運輸局を経由して、運輸大臣に提出しなければならない(小型船舶操縦士試験については管轄する指定試験機関の事務所。)
2添付書類は次の通り。
 1戸籍抄本,又は戸籍記載事項証明書、又は本籍の記載のある住民票の写し
 2海技免状の写し(海技従事者)
 3無線従事者免許証及び船舶局無線従事者証明書の写し(海技士(通信)又は海技士(電子通信)の資格の試験の申請者)
 4卒業証書の写し、若しくは卒業証明書又は修了証書の写し、若しくは修了証明書及び修得単位証明書(学校卒業者)
 5乗船履歴の証明書
 6予備身体検査証明書(身体検査を省略する者、湖川小馬力4級小型船舶操縦士試験を申請する者以外の者)
 7講習の課程を修了したことを証明する書類
 8身体検査甲種合格証明書又は身体検査乙種合格証明書(身体検査の省略を受けようとする者)
 9筆記試験合格証明書(筆記試験に合格している者)
 10筆記試験科目免除証明書(筆記試験の一部免除を受けようとする者)
 11乗船履歴の証明書(実技試験の免除を受けようとする者)
 12船舶職員養成施設の発行する修了証明書(学科試験の免除を受けようとする者)


5船舶職員

1船舶職員の資格及び員数

2船舶職員の資格及び員数の特例

☆船舶職員として船舶に乗り組ますべき者の資格について述べよ。
1船舶所有者は、船舶職員として船舶に乗り組ますべき者に関する基準(乗組み基準―配乗表)に従い海技免状を受有する海技従事者を乗り組ませなければならない。
2但し、船舶職員として乗り組んだ海技従事者の死亡その他やむを得ない事由により船舶の航海中に欠員が生じた場合はその限度で適用されない。この場合は、遅滞なく運輸大臣に届け出る。
3運輸大臣が、乗り組み基準によらなくても航行の安全を確保しうると認めた場合には、乗込み基準によらないことを許可しうる。


6監督

1航行の差し止め

2報告等

3外国船舶の監督

 1資格証明書等の審査

 2船舶の乗組員に対する知識、能力の審査

 3資格を有する乗組員の配乗命令

 4航行停止命令等

 5即時強制