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港湾運送事業法

1目的・定義(1条-3条)

1目的

 ・港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進すること。

2定義(事業の種類)

 1港湾運送事業

  1一般港湾運送事業 種類、及び港湾ごとに免許

  2港湾荷役事業   種類、及び港湾ごとに免許

  3はしけ運送事業  種類、及び港湾ごとに免許

  4いかだ運送事業  種類、及び港湾ごとに免許 *限定免許あり

  5検数事業     種類ごとに免許

  6鑑定事業     種類ごとに免許

  7検量事業     種類ごとに免許

 2港湾運送関係事業  港湾ごとに届出

☆港湾運送事業とは何か。その種類をあげて説明せよ。
1港湾運送事業法とは、他人の需要に応じて行う行為であって、次のものをいう。
2一般港湾運送事業とは、荷主又は船舶運航事業者の委託を受け、船舶により運送された貨物の港湾における船舶からの受取、若しくは荷主への引渡又は船舶により運送されるべき貨物の港湾における船舶への引渡、若しくは荷主からの受取にあわせてこれらの行為に先行し又は後続する、港湾荷役、はしけ運送、いかだ運送を一貫して行う行為をいう。
3港湾荷役事業とは、港湾においてする船舶への貨物の積込又は船舶からの貨物の取卸、及び港湾においてする船舶若しくははしけにより運送された貨物の上屋その他の荷さばき場への搬入、船舶若しくははしけにより運送されるべき貨物の荷さばき場からの搬出、これらの貨物の荷さばき場における荷さばき若しくは保管又は貨物の船舶若しくははしけからの取卸し若しくは船舶若しくははしけへの積込を行う事業をいう。
4はしけ運送事業とは、港湾における貨物の船舶又ははしけによる運送、運輸省令で定める港湾と港湾又は場所との間における貨物のはしけによる運送又は港湾若しくは指定区間における引船によるはしけ若しくはいかだのえい航を行う事業をいう。
5いかだ運送事業とは、港湾若しくは指定区間におけるいかだに組んでする木材の運送又は港湾においてする、いかだに組んで運送された木材若しくは船舶若しくははしけにより運送された木材の水面貯木場への搬入、いかだに組んで運送されるべき木材若しくは船舶若しくははしけにより運送されるべき木材の水面貯木場からの搬出若しくはこれらの木材の水面貯木場における荷さばき若しくは保管を行う事業をいう。
6検数事業とは、船積貨物の積込又は陸揚を行うに際してするその貨物の箇数の計算又は受渡の証明を行う事業をいう。
7鑑定事業とは、船積貨物の積付に関する証明、調査、及び鑑定を行う事業をいう。
8検量事業とは、船積貨物の積込又は陸揚を行うに際してする、その貨物の容積又は重量の計算又は証明を行う事業をいう。

3港湾運送事業法の適用がある「港湾」

 ・この法律で、「港湾」とは、政令で指定する港湾(その水域は政令で定めるものを除くほか、港則法に基づく港の区域をいう)をいう。

  →政令で指定する港湾(稚内、留萌、小樽等、96港)

  →政令で定める港湾の水域(港湾運送事業法施行令3条、別表2)


2港湾運送事業等(4条-22条の5)

1港湾運送事業

☆港湾運送事業を営もうとする場合に必要な手続きついて簡単に述べよ。
(一覧にしてまとめた)

1事業の開始  免許           5運送約款   認可(掲示)

2休廃止    許可           6譲渡・譲受  認可

3事業計画   提出、変更時認可

4運賃・料金  認可(掲示)

1免許

2免許の申請

 1氏名又は名称及び住所

 2港湾運送事業の種類

 3港湾(検数事業等に係る場合を除く)

 4業務の範囲を限定して免許を受けようとする場合においては、利用者、取扱貨物、その他業務の範囲

 5運輸省令で定める事業計画書

  *免許申請書には、事業の収支見積その他運輸省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。

3港湾運送事業の免許基準

 1当該事業の開始により港湾運送供給量が、港湾運送需要量に対し著しく過剰にならないこと。

 2一般港湾運送事業~いかだ運送事業にあっては、少なくとも港湾運送事業の種類及び港湾ごとに運輸省令で定める施設及び労働者を有するものであること。

 3当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。

 4当該事業を営む者の責任の範囲が明確であるような経営状態であること。

 5当該事業の経理的基礎が確実性を有すること。

 (免許してはならない場合)

  1 1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。

  2港湾運送事業法、港湾労働法、職業安定法に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者。

  3港湾運送事業の免許を取消され、その取消の日から2年を経過しない者。

  4営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者であって、その法定代理人が1~3に該当。

  5法人であって、その役員のうちに1~4に該当する者があるもの。

4検数人等

 1検数人、鑑定人、検量人になろうとする者は、免許を受けた上、登録を受けなければならない。

 2登録料は6900円。

 3地方運輸局長は、検数人等が次に該当する場合には、登録を抹消しなければならない。(1業務の廃止、2死亡、3禁治産者、準禁治産者、1年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者、4禁止行為違反により登録の取消)

5事業開始の義務

 ・港湾運送事業の免許を受けた者は、運輸大臣の指定する期間内に当該港湾運送事業を開始しなけばならない。

6事業計画

☆事業計画について、港湾運送事業法上どのような規制がなされているか説明せよ。
1港湾運送事業を営もうとする者は、運輸大臣の免許を受けなければならないが、その申請書には、運輸省令で定める事業計画を記載しなければならない。
2港湾運送事業者が事業計画を変更しようとするときは、原則として運輸大臣の認可が必要である。
3認可を申請しようとする者は、事業計画変更認可申請書を提出する。
4申請書には、1氏名、名称、住所、2事業の種類及び業務の範囲を限定された事業にあっては、その業務の範囲、3港湾、4変更の内容及び予定変更期日、5変更を必要とする理由を記載する。
5例外として、省令で定める「軽微な事項」の変更は遅滞なく運輸大臣に届出るだけでよい。
6軽微な事項とは、1事務所の数の変更、並びに名称及び位置の変更、2労働者の数の変更、3荷役機械の種類ごとの台数の変更及び一台ごとの能力の変更、4船舶、はしけ又は引船の船名の変更、
5施設に関する一定の変更以外の変更。
7港湾運送業者は、事業計画に定める業務を確保しなければならない。

7運賃・料金の認可

☆運送料金について港湾運送事業法上どのような規制がなされているか、説明せよ。
1港湾運送事業者は、運送料金につき運輸大臣の認可を受ける必要がある。変更時にも認可が必要である。
2港湾運送事業者は、利用者に対し、収受した運賃及び料金の割戻しをしてはいけない。
3港湾運送業者は、認可を受けた運賃・料金、及び港湾運送約款を営業所において利用者の見易いように掲示しなければならない。

8港湾運送約款の認可

 一般港湾運送事業者のみ定立義務

9運賃・料金・港湾運送約款の掲示

10行為規制

☆港湾運送事業法上、港湾運送事業者が禁止されている行為を5つあげて説明せよ。
1利用者に対し、収受した運賃及び料金の割戻をしてはならない。
2その名義を他人に港湾運送事業のため利用させてはならない。
3特定の利用者に対し貨物の多寡その他の理由により不当な差別的取扱いをしてはならない。
4一定の場合を除いて、港湾運送を拒絶してはならない(引受義務)。
5下請の制限

☆港湾運送事業者の引受義務について簡単に述べよ。
港湾運送事業者は、次の場合を除いては、港湾運送を拒絶してはならないという引受義務を負っている。
 1当該港湾運送が、法令の規定、公序良俗に反するとき。
 2天災その他やむを得ない事由による港湾運送上の支障があるとき。
 3当該港湾運送が認可を受けた港湾約款に適合しないとき。

11下請の制限

☆港湾運送事業法における下請の制限について説明せよ。
1一般港湾運送事業者は、各月中に引き受けた港湾運送については、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業、検数事業の種別ごとに、少なくとも当該月中に引き受けた港湾運送のうち当該種別のものに係る貨物量の70%にあたる貨物につき、自ら行わなければならない。
2ただし、次のいずれかに該当する場合で、一般港湾運送事業者がその引き受けた港湾運送を他の港湾運送事業者に下請をさせる場合には、その下請行為は自ら行った行為とみなされる。
 1当該一般港湾運送事業者が、各月中に引き受けた港湾運送につき、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業、検数事業のいずれかの種別の行為を、貨物量の70%にあたる貨物について自ら行ったとき。
 2当該一般港湾運送業者が、当該月中に引き受けた貨物量の50%にあたる貨物量以上の貨物について、コンテナ埠頭、その他の運輸省令で定める施設において、港湾荷役事業又はいかだ運送事業を運輸省令で定めるところにより、自らの統治管理の下において行ったとき。
3港湾荷役事業等の免許を受けた者は、各月中に引き受けた港湾運送については、少なくとも70%の貨物につき自ら行わなければならないが、他の港湾運送事業者から引き受けたものについては、その全部を自ら行わなければならない。
4運輸大臣は、これらの規定に違反していると認めるときは、事業改善命令等を出すことができる。

12事業の譲渡及び譲受の認可

☆港湾運送事業を営む法人の合併について、港湾運送事業法上どのような規制がされているか説明せよ。
1港湾運送事業を経営する法人の合併は、運輸大臣の認可を受けなければ効力を生じない。
2但し、港湾運送事業を経営する法人が、港湾運送事業を行わない法人を合併する場合は、認可等は不要である。
3認可を受けて合併し、合併後も存続する法人、若しくは合併により設立された法人は、免許に基づく権利義務を承継する。

13港湾運送関連事業の届出

☆港湾運送関連事業として届出を要する行為について簡単に記せ。
1港湾運送関連事業とは、営利を目的とするとしないとを問わず、他人の需要に応じて次の行為を行う事業をいう。
 1港湾においてする船舶に積み込まれた貨物の位置の固定、若しくは積載場所の区画、船積貨物の荷造り若しくは荷直し、又は船舶への貨物の積込み若しくは船舶からの貨物の取卸しに先行し若しくは後続する船倉の清掃。
 2港湾においてする船積貨物の整備。
2港湾運送関連事業を営もうとする者は、あらかじめ港湾ごとに運輸省令で定める事項を運輸大臣に届け出なければならないとされ、変更後も同様に届け出を要する。
3事業を休止し、又は廃止したときは、その日から30日以内に運輸大臣に届け出なければならない
4料金は港湾ごとに定め、実施前に運輸大臣に届け出なければならず、変更後も同様に届け出を要する。


3港湾運送事業抵当(23条-28条)

1港湾運送事業財団

☆港湾運送事業財団とは何か。
1港湾運送事業財団とは、検数事業等の免許を受けた者を除く、港湾運送事業者が、抵当権を目的とするため、同一の港湾運送事業者に属し、かつ港湾運送事業に関する一定のものの全部又は一部をもって設定するものをいう。
2財団設定は、一定の不動産が存しないときには設けることができす、また工場抵当法の工場財団に関する規定の準用がある。
3港湾運送事業者は、財団を設定したときは、遅滞なく運輸大臣に届出なければならない。
4財団は、その所有者が港湾運送事業者でなくなったとしても消滅しない。


4雑則(29条-33条の4)

1港湾運送事業法施行令(運輸大臣の職権で地方運輸局長の行うもの)

 略