出入国手続実務
1日本の出国手続
1査証(Visa)
・訪問しようとする国の在外領事官が、入国希望者に対して旅券や入国目的の事前審査を行い、入国させても支障がないことを保証したもの。
・通常は訪問国の在日領事官に旅券と申請書を提出して申請する。
・査証の発行は、旅券の査証欄にスタンプを押すものが多い。
・査証相互免除協定がある場合は不要。
・但し、イタリアのように観光客は査証不要でも、添乗員に「クーリエ証明書」の取得を義務付けている場合もある。
・査証相互協定がなくても、通過のための無査証滞在を認める国もある(Transit Without Visa, TWOV)。
2日本の出国手続
・搭乗手続→税関→出国審査→搭乗
1搭乗手続(チェックイン)
1航空券のうち、搭乗用片(Flight Coupon)と引き換えに搭乗券(Boading Pass)が手渡される。
2受託手荷物(Checked Baggage)を預け、引き換えにクレームタッグ(Claim Tag)を受取る。
3受託手荷物はスルーチェックインができることが多いが、搭乗券は、乗継地点で改めてチェックインすることが多い。
4旅券、査証、国際予防接種証明書(イエローカード)等のチェックをすることもある。
5空港施設使用料(PSFC)
2歳~11歳 | 12歳以上 | |
新東京国際空港 | 1000円 |
2000円 |
関西国際空港 | 1300円 |
2600円 |
*但し、2歳未満の幼児、カボタージュの旅客は不用。
2税関
1原則
・口頭による申告でよい(実際には何も行う必要はない)。
2例外
1外国製品の持ち出し
→「外国製品の持出し届」の提示
2輸出免除品の持ち出し
→「輸出証明申請書」2通を提出
3 500万円超の円貨現金の持ち出し
→「支払手段等の輸出・輸入許可申請書」を提出して、大蔵大臣の許可を受ける。
3出国審査
1旅券、出入国記録カード、搭乗券を入国審査官に提出して出国の確認を受ける。 ×出国審査官
2出入国記録カードの右側の「出国記録」を切り離し、左側の「帰国記録」を旅券の査証欄にステープラーで止め、「出国の証印」を査証欄に押す。
3必ず1人づつ審査する。
*カボタージュ(Cabotage)
・国際線の国内区間搭乗
・関西、名古屋、成田間にあり。
・出国手続は、最初の空港ですます。
*免税店
・金額の制限等はなく、円貨、外貨ともに使用できる。
・但し、カボタージュ旅客は利用できないので、搭乗券の提示が求められる。
4搭乗
2日本の入国手続
・降機→検疫→入国審査→受託手荷物→税関
1降機
2検疫
・東南アジアの便、東南アジア経由の便について、複写式2片制の質問票が配布され、過去2週間の旅行先、身体的異常等を記入して、検疫官に提出。
3入国審査
1旅券を入国審査官に提出。
2入国記録カードを回収し、旅券に帰国の証印を押す。
4動物検疫・植物検疫
・検疫の対象となるものの持込みには、輸出国の検査証明書が必要となる。
5税関(通関手続)
1デュアル・チャンネル・システム
・緑のランプの検査台へ(免税範囲内と判断)
・赤のランプの検査台へ(免税範囲外と判断)
2未着となった受託手荷物の別送申告
3簡易税率の適用
品名 | 税率 | |
1 | 1ウィスキー 2ブランデー 3ラム、ジン、ウォッカ、リキュール 4その他(ワインなど) |
1本(750ml)975円 1本(700ml)910円 1本(750ml)300円 1本(750ml)150円 |
2 | 革製ハンドバッグ(貴金属を用いたもの) ゴルフクラブ用のバッグ(革製等のもの) |
15% |
3 | その他の品物(関税が無税のものを除く) | 10% |
*紙巻タバコの特例税率
→ 1本 5円
*関税が無税のもの
→ 税率 3%
・腕時計、貴石、半貴石(取り付けたものを除く)、ゴルフクラブ、テニスラケット、画書、彫刻、写真機、パソコン、テレビ、貴金属製の万年筆
3外国の入国手続
1外国の入国手続
・降機→検疫→入国審査→受託手荷物→税関
*サンフランシスコ、オークランドなどでは受託手荷物を受け取ってから入国審査となる。
1降機
2検疫(Quarantine, Health Control )
・アフリカ諸国の入国、汚染国経由で第三国に入国する場合には、国際予防接種証明書(イエローカード)の提示を求められることもある。
3入国審査(Immigration, Passport Control)
1旅券、入国カード(Embarkation Cardなど)、査証を提示。
2入国カードを回収し、出国カードを返還するなど。
3スイス、イタリア、ギリシャ、オーストリア、ドイツ、ベルギー、オランダ、北欧諸国では、入国カードは不用とされている(フランスも陸路の入国は不要)。
4受託手荷物の引取り(Baggage Claim)
5税関(Customs)
1デュアル・チャンネル・システムを採用する国も多い。
2税関申告書を提出させる国(アメリカ、カナダ、ロシアなど)
3持込通貨の申告を求める国も
4動植物検疫
5ボンド(Bond)
・その国の免税範囲を超える物品を税関に預け、出国時に受取る手続。
2変則的な入国手続
1カナダ、バハマから空路、アメリカに入国する場合
→米国の入国手続は、出発地で行う。
2スイスのジュネーブからフランスに入国する場合
→仏国の入国手続はジュネーブで行う。(バーゼルも)
3ミニ独立国(モナコ、ヴァチカン、サンマリノ、リヒテンシュタイン)
→出国手続はなし。(但しオーストリア~リヒテンシュタインはあり。)
4外国の出国手続
1外国の出国手続
・搭乗手続→出国審査→税関→搭乗
1搭乗手続
2出国審査
・旅券、搭乗券、(出国カード)の提示。
3税関
1所持金の検査をする国では、両替証明書が必要。
2付加価値税(Value Added Tax)の免税手続をなしうる国もある。
4搭乗
2変則的な出国手続
1アメリカの出国手続
→出入国カードを航空会社の係員が回収
2フランスからスイスのジュネーブへの出国
→ジュネーブで出国手続をする。(バーゼルも)
3EU諸国内の出国手続
1出入国審査
・オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル相互間では廃止(シュンゲン協定)。
2税関
・すべて廃止。
3免税手続
・原則として、EU区域内の最後の空港で行う。
*なおスイスはEU非加盟国なので、出入国手続を要する。
5TIMの読み方
*Travel Information Manual
1Passport(旅券情報)
2Visa:Warning(査証:警告)
3Health(検疫)
4Tax(税)
5Customs(税関)
6Currency(通貨)