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あたしは手元のある同人誌の束を見た。
これらは全て買った物じゃない。
あたしが各サークルの前を通っただけであっちから、
『新刊です。見て下さい。』
と渡してきた物ばっかり。
なのに。
なのにぃ。
「もぉ、なによぉ。あの神聖蔚委員会の鯱宮獏介は。」
あたしはキレていた。
だって、このこみパの女帝、大庭詠美様に向かってあんな態度するなんて。
いくら最近売れてきているからって、
まだまだ足元にも及ばないって事を思い知らせてやるわ。
あたしはから貰ってきた同人誌を開く。
ほら、絵だってまだまだヘタッピだし・・・
・・・あれ?
前ちらっと見たのと絵柄が全然違う・・・。
もっと、劇画っぽかったような気がしたんだけど?
2,3ページ読んでみる。
・・・違う。
絵柄を替えたって言うレベルじゃない。
別人よ、これ。
あたしは「ハッ」と思い、後付を見る。
そこには。
『ブラザー2 千堂かずき』
と書かれていた。
「な、なによ、これは〜〜〜〜!」
あたしはその本を壁にたたきつける。
さらにその本を何度も踏みつける。
もう何度も何度も何度もぉ〜〜〜〜〜。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、
ぜい、ぜい、ぜい、ぜい、ぜい、
ぜい、ぜい、ぜい、ぜい、ぜい
ぜい、ぜい、ぜい、ぜい、ぜい・・・。
許せない。
このあたしをコケにしたのが、名前も聞いたこともないような奴だったなんて。
あんなしたっぱの、したっぱの、したっぱに居るような奴が
このあたしをコケにしたなんて。
・・・。
潰す。
潰して潰して潰しまくってやる。
絶対に潰して、このあたしの前に跪かせて、泣いて謝らせてやるぅ〜〜〜。
あたしはその愚にもおけないような同人誌を
汚い物をさわるような手つきで掴み、ゴミ箱に入れる・・・。
・・・。
あれ?
何で?
何でなの?
何で捨てれないの?
捨てようと思う。
でも。
でも、ゴミ箱の中に入れることが出来ない。
本が手から離れない。
・・・。
の、呪い?
そ、そうね。
これは千堂かずきとか言う奴の呪いなのね?
一度装備したら手放すことが出来ないのね?
うにゅ〜〜〜。
ひ、卑怯よ、千堂かずき!
まともに闘ったら勝てないと思って、こういう卑怯な手で来るなんて〜〜〜。
あたしはその同人誌を捨てることを泣く泣く諦める。
すると。
ストン、と言う音がする。
え?
あたしはさっきまで同人誌が離れなかった手を見る。
あれ?
次に床を見る。
そこにはさっきまで離れなかった同人誌。
・・・。
呪いが解けた?
呪いが解けたのね?
そうなのね、そうなのね?
あたしの強靱な意志があのへなちょこ呪いにうち勝ったのね?
うふふふふふふふふふふふふふふふ。
千堂かずき恐れるに足りず。
この詠美様に呪いをかけるなんて1億光年早いのよ。
あたしはその同人誌を拾い、ゴミ箱に捨てる・・・。
あれ?
うにゅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
何で離れないのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
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