「あら。瑞希さん、この唐揚げ美味しいですね。」
「やっぱ、南さんもそう思うやろ?これは絶品やわ。」
南さん、由宇は瑞希の作った料理を褒めちぎる。
やはり誉められて嬉しいらしく瑞希は照れている。
「まだまだありますから食べて下さいね。瑛美ちゃんもね。」
「もちろんよ。瑞希の料理は美味しいし。」
詠美が瑞希の料理を食べるのは初めてじゃない。
補習で一週間勉強したときに、俺は詠美の分の食事を瑞希にお願いしたからだ。
それ以降、詠美は瑞希に餌付けされた。
つーか、昼とかに集りに来るようになった。
まぁ、食事代は払ってくれるんだけど。
「ふ、同志和樹よ。やはり同志瑞希を仲間に取り込んで正解だったな。」
大志は自分の皿に幾つもの料理を乗せ、ぱくついている。
「そんな幾つも乗せなくてもまだあるだろうに。」
そう言うと大志は皿を俺から遠くの位置に置く。
「いくら同志和樹でも、この料理だけはわたさん。」
マジな顔でにらんでいる。
誰も取ったりしないって。
「お兄さん、これは千紗が作ったです。」
その横を千紗ちゃんが自分の作った料理を皿に載せて持ってくる。
お母さん直伝の焼きおにぎりとか色々だ。
「ありがとう。うん、美味しいよ。」
俺は受け取った料理を食べ、そう言った。
実際に美味しい。
千紗ちゃんは嬉しそうな顔を見せると全員に料理を配り始める。
「そう言えば玲子さん達は何しているんだろ?」
瑞希が俺の横で料理を食べながら聞いてくる。
瑞希と玲子ちゃんは瑞希がモモちゃんのコスプレをした頃から付き合いがあるらしく、
年も近く、そしてこみパで自分が作った一番最初の友達と言うこともあり、
何度か一緒に遊びに行ったりしている。
「たしか、こみパのコスプレ委員会の会議じゃなかったかな?違いました、南さん?」
「ええ、確かにそうですよ。私もそれに出席していましたし。」
春に発足されたコスプレ委員会の中心となっているのが玲子ちゃん達であり、
明後日行われるこみパの定例集会の為、遅れると言うことだった。
「あれ、そうすると南さんは途中で抜け出てきたんですか?」
瑞希は疑問に思ったらしく聞く。確かに同じ集会に参加していて、
南さんだけがここに来ているのはおかしい。
「私は一緒に来ようと言ったんですけど、玲子さん達は
 『パーティするならそれなりの用意をしなきゃね。』
 と言って、家に帰られましたけど。」
「パーティの用意?」
「ええ。」
なんだろう?
パーティとと言っても、ただの宴会な訳だし。
服装もみんな何時も通りで居る。
これで何が必要なんだろうか?
「ええやない、何処かの子と違って迷っとるなんてしとらへんやろうし。」
又由宇がいらないことを言う。
「こぉの、パンダ、子パンダ。何処かの子って誰よ?」
で、お約束通り詠美はその挑発に乗る。
「それは瑛美ちゃんが一ば〜ん知っているんやないの?」
由宇は又意地の悪〜い笑みを浮かべる。
「泣かす、泣かす、超泣かす〜!!」
詠美は箸を持ったままぶんぶん腕を回す。
ああ、又半泣きだ。
「泣かせるもんなら泣かしてみい。返り討ちにしたる。」
由宇はピーカブースタイルの構える。
「こ、こら、危ないじゃないか。」
俺はすかさず止めに入る。
で、その詠美のぶんぶん回した腕に
カウンターを合わせた由宇のパンチが、俺にクリーンヒットする。
「あっ、か、一樹。」
的確にチン(顎先)に入ったパンチは、
俺を脳震盪起こさせるのに十分の威力があった。
その場に崩れ落ちる俺。
それを見て駆け寄る瑞希達を見て俺はこう思った。
(分かっていたんだよ、あの中に入ったらこうなるって。)
だったらするなよ。
そう言うツッコミが何処からか聞こえてきて、俺は気を失った。
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