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| 編集長が来てから、引越祝いは飲み会へと移行した。 この差し入れは美味しかった。 飲みやすく、香りがいい。 これが本当の吟醸酒よと編集長は言っていたがこれほどとは。 でも、まだ彩ちゃんが来ていないのに、酒盛りなんて始めていいのだろうか? 「そう言えば一樹、明後日のこみパには来れるんか?」 由宇が酒に口を付けながら突然そんなことを言ってきた。 「こみパか。ここ最近連載の方が忙しくて言っていなかったからなぁ。 今は一応スケジュール的には空いているとは思うけど・・・。 なぁ、瑞希どうだったけ?」 「え、明後日?」 玲子ちゃん達となにやら話していた瑞希に聞いてみる。 「何もなかったと思ったけど。 ちょっと待って、カレンダー見てみる。 えっと、短期連載も終わったし、 ゲーム誌の挿し絵があるけど、これはまだ先の締め切りだから・・・。 今のところは予定は何も入っていなかったはずよ。」 「だ、そうだ。ン、どうした由宇?」 由宇は何故か唖然としているようだった。 「・・・何で瑞希ちゃんがあんたのスケジュール管理しとるの?」 「なんでって・・・。」 俺は瑞希の方を見る。 瑞希は瑞希で俺の方を見る。 あっ・・・。 お互いに俯いてしまう。 よく考えたら結構恥ずかしいことをすんなりしていたのかも。 「くすすすす、愛ね、愛☆」 玲子ちゃんは面白い物を見つけたかのようにじろじろ見てくる。 「愛がなせる技やったんやな。」 由宇も同様にちゃかしてくる。 「そう、彼女は優秀な『千堂みずき』のマネージャーよ。」 「うわぁ!!」 由宇がいきなり背後から編集長に抱きしめられる。 「彼女が生活面とかでサポートしてくれているから、 和樹クンは漫画を描いていけるの。 ふふふふふ、今じゃ彼は瑞希ちゃんがいないと、 漫画家としてやっていけないわね。 そう言う意味でもベストパートナーよ、彼らは。」 「へ、編集長、分かったから離れてぇや。」 「だ〜め。」 さらに力を入れて抱きしめる編集長。 由宇は必死になってもがく。 「み、南さん、編集長をどうにかしてや。」 「あら、無理ですよ。先輩は一度こうなると潰れるまで離しませんから。 私もこっちに来て再会した時からずっと、 先輩とお酒を飲む度につかまっていましたから。」 「そうなんですよね。いつも編集部で飲みに行くと いっつも一番小柄な子がああいう目に会ってますよ。」 しみじみと長瀬さんも言う。 「うふふふふふふふふふふふふ」 「だぁ、お酒臭い、堪忍やぁぁぁぁぁぁぁ。」 由宇がもがけばもがくほど編集長の腕はきっちりとしまっていく。 「ん、やっぱりパンダは愛玩用ね。そうやっているのがお似合いよ。」 ここぞとばかりに詠美が逆襲をする。 「パンダ、パンダ」と何度も言い続ける。 由宇は反撃しようにも編集長につかまっていてそれが出来ない。 「大バカ詠美ぃ、あんた覚えときぃなぁ。」 「や〜い、ぱんだ、こぱんだ、れっさーぱんだ。」 「あんた、後でどうなるか覚えときぃ。」 「い・や。私はパンダのこといちいち覚えるほど暇じゃないの。 人間になってから話ししてってかんじ。」 「舐めくさりおって、あんた、絶対に泣かしたる。」 「うふふふふふふふふふ」 何やってるんだか、あの二人。 編集長も入れて三人かな? 俺は時計を見る。 針は9時を指していた。 そろそろ来るな、彩ちゃん。 バイトをしている画材屋が終わるのが8時半。 片付けとか移動時間を入れるとそろそろ着いてもいいんだけど・・・。 「ピンポ〜ン」 お、噂をするとって言う奴かな。 俺は玄関へと行く。 |
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