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| 「ほ、ホントに着るの?」 もう一回だけ聞いてみる。 私の手にはモモちゃんの衣装がある。 そして他のみんなには玲子ちゃん達から渡された衣装が。 「もちろん。パーティなんだからみんなで盛り上げよ。」 盛り上げるにしてもコスプレをしなくても・・・。 「何であたしがしなきゃいけないの?」 詠美ちゃんは半泣き状態で聞く。 「だって、面白そうだし。」 お、面白いの言葉一つで・・・。 そう言えばこういうときに頼りになりそうなのは・・・。 私は由宇ちゃんの方を見る。 由宇ちゃんは手渡された衣装を見てわなわな震えている。 お、怒ってる? そして両眉をつり上げ、玲子ちゃんにその衣装を返す。 「うちにこれを着れっちゅーの?」 やっぱり怒ってる。 でもこれで着なくてもいいかも。 詠美ちゃん、彩ちゃんも似たようなことを考えたのか 希望を見つけたような表情をする。 わたしも同じ表情をしているはず。 でも、わたし達は甘かった。 「うちはこの衣装より、そっちの方がええ。」 由宇ちゃんは、誰にも手渡されていなかった衣装を手に取り、着替え始める。 「ゆ、由宇ちゃん、着るの?コスプレするの?」 「一回してみたかったんや、コスプレちゅーのを。いい機会やしな。」 「千紗、こういう服初めてです。」 千紗ちゃんも由宇ちゃんのとなりで着替え始める。 千紗ちゃんが手に持っているのはお姫様のような服だった。 「これで6対3。多数決で決定だね。くすすすす。」 「うにゅう。このパンダの裏切り者。」 「別に裏ぎっとらへんやん。うち一回も嫌って言っとらへんし。」 もう、いつものオーバーオールを脱ぎ、下着姿になっている。 「でも、恥ずかしくないの?」 一応聞いてみる。 「何言っとるの? そら、うちかてこみパの会場でしろって言われたら躊躇するわ。 でも今日はこの中のマンションの一部屋だけの世界やで? ええ機会やないの」 「でも・・・。」 「瑞希ちゃん、ちょっと聞くけど、 あんた一回こみパでそのモモちゃんの衣装着たんやろ?」 「うっ。」 「あそこでそれ着るに比べたら、全然オッケーやと思うんやけどな。」 「うう。」 「ほら、あっちの方も承諾したみたいやで。」 「えっ?」 由宇ちゃんが指さす方を見ると、 詠美ちゃんが半ば無理矢理的に着替えさせられていた。 「ああなりたくはないやろ?」 「・・・鬼・・・。」 「そう言わんといてな。うちかて恥ずかしいんやから。 ただ、みんなでやってしまえば怖いことあらへんやろ? 実を言うとな、まだまだ騒ぎたいんや。 うちはいつまで漫画描くかわからへん。 でも漫画を描くこと辞めたときには、うちは、うちだけは関西や。 そう、用事もないのに、ほいほい遊びには来れん。 そうなるとこうやって馬鹿したことも思い出になるやろ? 強烈な事すればしただけ、その記憶は濃いもんになるし。」 そこまで言うと由宇ちゃんは俯いてしまう。 赤信号、みんなで渡れば怖くない・・・か。 ・・・。 ふぅ。 「とっても濃い思い出になるわよ、これは。」 わたしは親指を立ててウィンクをする。 渡ってみましょうか、こうなったら。 それもとことんね。 |
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