24
このこみパ開始までの36時間。
それは熾烈を極め、
俺のマンションは修羅場と化し、
最終的には阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
気楽に参加すると言った玲子ちゃん達は、
自分たちが間違っていたことに気づいただろう。
なぜなら、玲子ちゃん達の考えていたコピー誌と、
由宇と考えていたコピー誌ではギャップがあったからだ。
普通こういったイベント直前に作るコピー誌というと、
直前に発表された最新のネタを扱った物や、
気楽にそれこそ趣味的に作った物だ。
だが由宇の場合、何事にも全力を出す。
妥協という物を一切許さず、
オフセット本として出しても何ら遜色のない物を目指す。
そして今回さらにそれに拍車をかけたのが詠美だ。
このコピー誌を作るのに俺をライバル視し、
今もてる限りの力を全てつぎ込んでいた。
そして俺はと言うと、
少しでも手を抜くと由宇のパンチが飛び、
詠美の罵りを受け、
挙げ句の果てに編集長からのお怒りを受けた。
そんな状況だったから、俺も全力を出さざる得なかった。
俺がこの時描いた題材は、時間もなかったので、
前の短期連載でページの都合上で削ったエピソード部分を描き、
由宇はモモちゃんを題材にお得意のパロディを、
詠美は春に出たRPGのアナザーストーリーを描く様だった。
ちなみに俺の担当は表表紙、漫画8ページ、後書きの計10枚。
由宇は目次カット、漫画8ページ、後書きの同じく計10枚。
詠美に至っては裏表紙、中表紙、イラスト1枚、漫画8ページ、後書きの12枚。
そして、彩ちゃん、玲子ちゃん達が各2枚で計10枚。
この彩ちゃん達が描く枚数が少ないのは、実力的なところと、
俺達のアシスタントをして貰うためだった。
流石にわずか1日程で、きちんとした漫画を8ページも描くのは不可能だ。
だからネームを考えている間に、各自の受け持ち部分を描いて貰った。
スミ入れ、トーン貼り、カケアミ等、
細かなところを彼女たちに任せることで、
俺達三人は、主だったところをどんどんと完成させていく。
この間、瑞希達は何していたかと言うと、
瑞希と千紗ちゃんは食事や飲み物を作り、
南さん、編集長、長瀬さんは仕事があるので家に帰った。
ただ、仕事が終わった後、色々とドリンク剤など差し入れを持ってきてくれた。
大志は何もしなかったとだけ言っておく。
また、この36時間の修羅場で、千紗ちゃんは家に帰らせていた。
もちろん千紗ちゃん自身は「千紗もお手伝いします」と言っていたが。
親父さん達が心配する事を考えると、これが一番よかったと思う。
ただこの千紗ちゃんを帰らせたことにより、
このコピー誌制作はまた新たな展開を迎えることになったのだが。
俺達の限界を超えたこのコピー誌作りは、
玲子ちゃん達が意識を失うこと3回、
詠美が泣くこと4回、
彩ちゃんがお花畑の幻想を見ること1回、
由宇がドリンク剤のチャンポンで異様なテンションになること2回、
俺が逃げ出そうとして由宇に殴られること5回の結果、
何とか原稿の完成を迎えた。
その時の開放感は言葉では言い表すことは出来ない。
後はコピーをしてホッチキス止めをするだけ。
だが俺達は燃え尽きたように眠りに落ちていた。
●25へ●
●戻る●