ユーザーのためにステンシルやテンプレートを設計する場合、使用するスタイルは一貫性を持ち、利用しやすいものにする必要があります。スタイルを使わないと書式設定ができないとユーザーが感じる場合もあるので、必要最小限ではなく、ある程度バラエティを持たせたスタイルをテンプレートに用意することをお勧めします。
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テンプレートで使用するステンシルを作成する場合、スタイルの定義はステンシルとテンプレート ファイルに共通している必要があります。ユーザーがマスタシェイプのインスタンスを作成すると、インスタンスにはマスタシェイプのスタイルが継承されます。スタイルの適用基準は以下のとおりです。
図面ファイルのスタイル定義とステンシル ファイルの定義とが異なる場合、図面の定義が使用されるので、図面内の図形の外観はマスタシェイプの外観と異なるものになります。インスタンスが配置されている図面ページに定義されているスタイルがマスタシェイプ上の同名のスタイルに優先して使用されるため、この動作規則は「現住所優先ルール」と呼ばれます。スタイルの定義を 1 つずつ調べていけば、テンプレートのスタイルがステンシルのスタイルと同じかどうかを確認することができますが、非常に手間のかかる作業です。ステンシル ファイル (.vss) のコピーをテンプレート ファイル (.vst) として保存し、そのテンプレート ファイルからすべてのマスタシェイプを削除します。その後に作業状態ファイル (.vsw) を保存して同じスタイルと色を取得すれば、テンプレートとステンシルのスタイルを統一することができます。
ステンシルまたはテンプレートとして図面ページを保存する場合、シェイプで使用していないスタイルをすべて削除すれば、ファイル領域を節約できます。[書式] メニューから [スタイルの定義] を選択し、使用していないスタイルを削除します。また、デフォルトのスタイルだけを含む新しい図面ファイルを開き、必要なスタイルで書式設定した図形を新しいファイルにドラッグする方法もあります。ステンシルとテンプレートの整理の詳細については、「第 13 章 ステンシルとテンプレートのパッケージング」を参照してください。
図面ページの図形または図面ステンシルのシェイプに使用されているスタイルを削除すると、次のように処理されます。
ステンシルやテンプレートに作成するスタイルに一定の規則に従った名前を指定することにより、そのスタイルがより使用しやすいものになります。「線 2」や「T8L」などの省略形の名前ではなく「8mm 黒線」や「8 ポイント MSPゴシック 左揃え」のように内容を把握しやすいスタイル名を使用するようにします。スタイルは、ツールバー リスト、[スタイル] ダイアログ ボックス、[スタイルの定義] ダイアログ ボックスではいずれもアルファベット順に表示されます。
よく考慮された名前付け規則に従ってスタイル名を決定することにより、関連するスタイル名がリスト内で連続して表示され、使用するユーザーにも便利になります。線、塗りつぶし、テキストのスタイルで属性が似ているものには、同じような名前を指定します。たとえば、幅 1 ピクセルの線に「1 ピクセル線」というスタイル名を付けたら、幅 3 ピクセルの線には「線 3」ではなく「3 ピクセル線」というスタイル名を付けます。使用するときに何を基準に選ぶかでスタイル名を決定するといいでしょう。
ヒント スタイルが [すべてのスタイル] リストの一番上に表示されるようにするには、たとえばハイフン (-) など、ASCII 文字のコード番号が若い記号をファイル名の頭につけます。たとえば「- 標準の線」や「- コーポレート ブルー」のようにします。
米国ビジオ社では、次のようにしてスタイルを定義しています。設計しているソリューションでスタイルを定義する際に、必要に応じてこのガイドラインを参考にしてください。
Windows 95、Windows 98 あるいは Windows NT のユーザーが一般に使用しているフォントを使用します。地図製作用の記号など特別な市場に向けて設計されたものなど、ユーザーが特定のフォントを使用していることが分かっている場合は、定義するスタイルでこれらのフォントを使用してもかまいません。
色については、ユーザーが持っていると思われる最も基本的なグラフィック システムで使用される色だけを使用します。ソリューションのユーザーや、ユーザーに一般的なハードウェア設定によっては、さらに多様な色を使用できる場合もあります。
あるスタイルを基準として別のスタイルを作成すると、それらのスタイル間には階層的な関係が成立します。このような階層関係のスタイルでは、1 つのスタイルの変更がそのスタイルを基準とする他スタイルにもすべて反映されます。この動作が不慣れなユーザーの混乱の元になることもあるので、他のスタイルを基準として使用せずにスタイルを定義した方がよい場合もあります。ただし、Visio を使いこなせるユーザー向けのソリューションでは、この機能を利用してより効率的なスタイルを作成、活用してください。
複数の属性に適用されるスタイルは、不慣れなユーザーの混乱の元となることがあります。ただし、特定のシェイプで、ユーザーが常に同じ塗りつぶし、線、テキストのスタイルを使用していることが判明している場合などには、3 つの書式をすべて含む単一のスタイルを開発してユーザーに提供すると便利です。