2001/9/9(日)

TRPG日記メニューへ

執務室を辞去する(トップページへ)


システム:ハイパートンネルズ&トロールズ(角川版)/(安田均・清松みゆき・黒田和人とグループSNE、角川書店) マスター:そうのすけくん お久しぶりです。 最近ではアメリカの国際同時多発テロ(テロとしても史上例を見ない規模だけど)で盛り上がっておりましたね。 今後日本、そしてオイラの生活に多少なりとも影響を与えるのだろーかと心配なシル(略)子でございます。 今月転職したばっかりだってのに、この先どうなることやら〜(><)。 今回の素材はハイパートンネルズ&トロールズ(以下HTT)です。 トンネルズと聞いて、タカさん&ノリさんを思い出すオイラは幼少の頃漫才ブームを迎えています(ゲハ)。 このHTT、社会思想社版が雑誌「ウォーロック」(休刊≒廃刊)の企画で立ち上がり、 1st.Editionが1991年に発売されています。(↓コレね) のっけから脱線しますが、社会思想社版のイラストレータのNicov氏は雑誌「Beep」(廃刊)の 「RPG幻想事典」のときからファンでした。 こんな感じの独特の幻想的なタッチの方で、特にアイテム関係の細かなギミックが大好きです。 この人とか、ちょっと似たタッチで「HIPPON SUPER!」(廃刊)などで絵筆を執っておられた遠藤正輝氏など (↓)は、最近の動向はどうなのでしょうか…… こういった人達にファンタジーTRPG関係のイラスト描いてほしーんだけどなー…… FEAR系はもうタクサンだよ(><)。絵のクォリティもいい加減なのが多いし。 (某末弥氏などは、今では色々な意味で難しそうだしな……) 冒頭の1994年発売の角川スニーカーG文庫版(2nd.Edition)、ご存じの方も多いですが既に絶版です。 当時は「文庫だから絶版はしないだろー」なんてタカをくくっていたオイラ、絶版になって大ビックリです。 今回のHTTのキャンペーンの為に、慌ててヤフオクで500円で買った有様です(ワラ)。 しかしその前の角川版より部数の少なそうな社会思想社版、こっちは絶版ではないようです(笑)。 部数は少ないようですが、直接出版社に注文したら、ひょっとしたら買えるのかも…… (社会思想社の社員じゃないので実態は分からないですが) このHTT、これもご存じの方もいらっしゃると思いますが、米国Flying Buffaro社から出版された、 (手元のExcallibur:(c)大日本絵画によると1979年らしい)「Tunnels&Trolls」(以下T&T)の オリジナル発展型システムです。 日本ではT&Tは社会思想社から1987年に翻訳されて出ています。(これも今でも買えるのか?) 丁度1985年からの、日本でのD&Dやゲームブックのブームに乗った商品ですな。 元々T&TがD&D(r)の名前をパロディにしているものですから、 HTTもAD&D(r)のパロディ的なネーミングなのでしょうか。 T&Tは戦闘システムが、それぞれの戦闘力を単純にサイコロ&能力修正の総数で比べ合い、 その差分を均等に敗北側に割り振るというもので、個人行動の工夫での勝利が難しいという意味では不満の残るシステムでした。 (平原などでの大規模合戦などには向いたシステムだと思うのですが) また一般行動は能力値チェックしかなく、(クラスによる優遇はほとんど無し) 基本的に魔法が使えるかどうか以外は、それぞれのクラスの特色が出ないという不満もあります。 はっきり言ってT&Tって初心者向け……と言えるのかな? ルールが簡単……というより抽象的だと思います。 単に「勝った・負けた」を競うのなら、じゃんけんと同レベルです。 TRPGの醍醐味は「自分で考え、行動を決める」ところが根底にあると思うので、 個人行動を明確に判定できないシステムでは、初心者にとってTRPGの勉強(←好きじゃない表現ですが)には ならないと思うのですよ。 この辺は、個人レベルで戦闘し、クラス毎に出来ることのはっきりしているD&D(r)のほうがずっと 初心者には良い影響を与えると思います。 HTTではこの辺りが改良されました。 スキル制の導入・追加クラス・クラスによって可能な特殊行動の増加などで 他のTRPGに負けないだけの、クラス毎の個性が出せ、個人行動も重視されるようになったのです。 これによって、ようやくシル(略)子的に遊べるシステムとなりました。 (多分T&Tならやらねーだろーな……) さて今回のHTT、キャンペーンの3回目なのです。 詳細はこちら(http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/2819/game/htt/htt-report.html) そうのすけ君のサイト「禁今館」内のコンテンツ、「継承五公国戦記 ラーサ・レ・ラーサ」も併せてご覧いただきたいと思います。
セッションの主観。一応キャラの紹介しておきます。上記ページに顔と概説は載ってます。 PC1:ガルギス=リュンセルン/PL:K氏 K氏と囲むのはこのキャラが初めてじゃないかな……ビジュアルヤンキー系が好きです、彼は。 まだ彼のプレイにコメントするほど彼の好みを見ていないんだけど…… 結構オーソドックスな分かりやすいキャラだと思います。 何だかんだ言って、PLさんは前に出ませんが(ホントは出たいのを抑えているっぽいけど)、 実質のリーダーはガルギスでしょう。 ウレス、ルイン、ライカのPLさん方は押し出し強くないし、俺はうるさいけどPCに明確な目標ビジョンが無いし。 今回のセッションで、目的であった親父探しが、親父の死でクリアされ、 それに絡んで新たに自分の生い立ちを探る目的に変わりそうです。 PC2:ウレス/PL:G氏 G氏はこのキャンペーンに関わっているメンツでは唯一ウェブを見ることが出来ない。 (マンガ喫茶などにも行かないだろーし) だからあんまり勝手なこと書くのは躊躇われるが…… 俺のキャラクタープレイ能力は、自分のPCのアクションをビジュアルイメージで想像し、 それを脳内で発言に翻訳するという作業に依存している。 だから「シル(略)子≠シル(略)子のPC」という図式ははっきりイメージできている。 シル(略)子は腕っ節も強くないし、魔法も使えないし、封建時代の人間でもないため、 価値観そのものから俺のPCとは全然違うのである。 一個の人間が使っている以上、「どうしても譲れない価値観」は共通しているが。 シルヴィアと法田さやかとミレイユは7割方別人なのだ。熱血さとドライさを併せ持つという点は共通しているけど。 この点は何度もG氏には話をしているのだが、こういった「理想のキャラのタイプ」というのは、 恐らく思春期に触れたメディア体験に大きく影響すると思われるため、今更変えようがないと思われる。 まー俺は説教好きだから、また会ったら言っちゃうんだろーけど。 PC3:ルイン/PL:M氏 PCの生い立ち(被差別民族・親を知らない)などのネガティブな点は想像できるのだが、 残念ながら、俺という人間から見てそのネガティブな理由が外に出し切れていないPC。 もっと明確に、外部に分かるように悩んで、理想を主張して欲しい。 悩んではいるらしく、時々NPCとの会話にそれは垣間見えるのだが、 それはあくまでルインとそのNPCで完結してしまう会話なのであって、俺PCの介在する余地はない。 このままでは「何だか分からない悩みを抱えていた女の子」というイメージでキャンペーンは終わってしまう。 もっと自キャラの弱いところを見せてもいいだろう。 PC4:ライカ=F・エルドラント/PL:A氏 知的な♂という結構A氏らしいPC。俺のPCといつも対照的なキャラが多いので結構面白い。 比較的俺が価値観が理解できるため、やりたいことを想像できるのでありがたい。 ミレイユがお役に立てることは、暴力沙汰以外あまり無いけれど(爆)。 戦記もののキャンペーンなのに、失踪・隠遁した師を探すという、 キャンペーンに非常に関わりにくい目的を与えられたため、能動的に動くのに苦しんでいる。 GM、なんとか調整してくれ。 キャンペーンの方向と、ライカの目的のベクトルが一致すれば、とてもよく動けるPCになると思う。 俺PC:ミレイユ=カシュアキーン 使い回し……結果的にそうではあるのだけれど、元々このキャラの構想は僧兵ではなく武闘家であったのです。 そういう意味では初めて原点回帰できたキャラですな。 小柄で格闘家という戦い方から、アクションは陸奥伝承者系(修羅の門・刻シリーズ)をイメージしている。 拳・蹴りを主体に、所々投げと立ち関節技を複合した戦い方だーね。 修羅の門は作者が「逃げ」やがったので印象悪いんだけど。 Wiz外伝IVなどではMonkパンチでぶいぶい言わせていたッス(^^)。 このキャンペーンの戦闘では、ガルギスに耐えてもらっている間に、 敵のヒットを「かい潜って攻撃」というおいしい役どころをもらっている。ガルに多謝。 結構格闘家というクラスは大抵のシステムで好きである。 大剣を持った重甲冑の戦士を、投げ飛ばしや上段蹴りで首の骨をへし折ったり、 オーラ拳の一撃で重甲冑を凹ませるなんてファンタジックなことはゲームでしか出来ないッスから。 でも中華な軟拳型拳法家は好きじゃありません。 オーラパンチで真っ向から重甲冑を貫通出来るシステムがベスト。 結局「女+格闘家」というタイプにすると、レスラータイプでなければこの陸奥型にしてしまうねぇ。 こいつだって思想と顔を変えれば、まんま天羅での寂憐になってしまいます。 寂憐が「人類友愛」と「他者救済」で動くのに対し、こいつは「自己修練」と「義憤」で動くという違いくらいですか。
さてシナリオ。キャンペーンのあらすじはそーちゃんのページを見て欲しい。 最初の難関は、アムリタ城に捕らえられているバッハ卿以下4名のNPCの救出である。 このモードはそーちゃんお得意のボードゲーム。真ん中に広い獄吏部屋があり、それを取り巻く「一方通行」の廊下マス、 (1スクエアごとに小部屋になっており、元いたスクエアには戻れない。Wizなどによくある小部屋群。) その廊下マスから所々入れる、外側の囚人部屋群からなっている。 廊下マスを進むのに幸運度のセービング・ロール(以下SR)で進むため、 1周80マスくらいある廊下を1回に1〜3マスしか進めない。 これはなかなかに無意味?に時間のかかる作業だった。(最後はかなりダレ気味) PC進行のためのSRでゾロ目が出てしまうと、PCが動けず、中央の獄吏部屋から獄吏が追ってくる。 獄吏に追いつかれるとそのスクエアにいるPCとの勝負になり、 負けると死にはしないが、獄吏部屋に閉じこめられてしまう。 結構獄吏は強く、1vs1ならPCが気を抜くと負けてしまう。 一見面白いこのシステムだが、幾つかの問題の積み重ねでイマイチなものになってしまっていた。 1:獄吏部屋に閉じこめられると、自力では出られない(=ずっと休み)。   助けるには誰か他のPCが獄吏部屋に入らなければならない。 2:獄吏部屋への入口は、城入口付近の一ヶ所しかない。 3:周りの廊下群は、一方通行な上、全部で80マスほどある。 4:1ターンにPCは1〜3マスほどしか進めない。 これらを合わせて想像して欲しいのだが、捕まったPCは「誰か他のPCが城を一周するまでゲームに参加できない」のである。 しかも一周すれば、バッハ卿以下4人のプリンセスガードは助け出せてしまうのである。 つまり……「一回獄吏に捕まると、救出パートが終わるまでゲームに参加出来ない」ということなのである! ……俺は獄吏に捕まってしまって、かなりヒマでした(爆)。 改良点としては、獄吏部屋への入口を一ヶ所だけではなく、東西南北の四ヶ所くらいにすべきでしたな。 敗者復活のチャンスを増やせば良かったでしょう。
次にPC達はバッハ卿から情報を聞きだし、イデリータ姫の捕らわれている「処刑だ!」じゃなくてダケイショに向かう。 ガルの親父グラハムと合流出来たし、あまり救出に苦労はしなかったものの、 PC達を逃がすためグラハムが殿軍となって亡くなってしまう。 グラハムは数少ない過去の情報を持つNPCだし、高レベルの戦士でもあるので、見捨てるのは勿体なかった気もする。 ファイナルファンタジー調の強制イベントであっても、 いつもの俺のように「ゴリ押し理論」で介入すれば助けられたような気がしないでもなかったのだが…… まぁ直接俺に関わるNPCでもなかったし、 ガルが諦めてしまうところを無理矢理助けるのもどーか、という気分で見送ってしまった。 本来は諦めムードのガルを、ミレイユが何言ってるんですか!と叱咤して、 二人で助けに特攻すべきだったよーな気もする。 アムリタ城侵入作戦の疲れで、PLの気力が損なわれていたからであろうか。少し後悔の残る選択であった。
んで、アムリタへ姫を護衛して帰る途中上空から襲いかかるのは、今シナリオのボスガーゴイル。 俺はこのシーンで、ガンダムファイト決勝リーグへ急ぐゴッドガンダムに、 上空から襲いかかる翼を広げたマスターガンダムを想像してしまいました(^^;。 まぁボスとしては順当な強さだろう。魔法の武器じゃないと効かないのと、上空への攻撃のためのペナルティを除けば。 上方攻撃のペナを消すため、ライカのアイデアで全員で林の中に逃げ込む。 林内ならばガーゴイルも地上に降りなければいけないからだ。 林の中には、なんだか知らんが、メーテルみたいな魔術師のねーちゃんがいた。 ライカ(のPL)命名、メーテルもどきなので「〆ーテル(しめーてる)」(笑)。 (ホントの名前は「トゥーラ」である) コイツ、典型的なムカツクNPCだった。 一応敵ではないのだが、PC達がガーゴイル相手に苦戦している中、 ライカに「(ライカが)師匠からもらった本を渡しなさい」だのなんだのワケのわかんないことを言って傍観を決め込んで、 PCが不利になるとガルに幸運度のSRを振らせ、気まぐれにちょいと呪文をかけて助ける程度。面白がってんじゃねーよ! 敵じゃないなら全力で助けてくれよ(><)! 助けてくれないなら消えろ! ムカツク(><)! ……まーこっちのサイの目が悪かったのは認める。 よりによって特殊攻撃のSRで、2D6で5以上出せば成功するところ、2回連続で3〜4出すか、俺!? その為、不必要な苦労を他のPL&GMに与えました。ゴメンチャイm(_ _)m。 この時思ったのは、NPCの使い方の難しさ。「NPCはふんだんに情報を与えなくてはいけない」ということ。 「NPCが不用意にPCに手を貸しては萎える」というのは定説だが、貸すべき時に不明な理由で貸さないのはもっと萎える。 そこにはGMの作為が感じられてしまうからだ。一気に現実に戻ってしまう。 「PCの敵ではない」「情報は出さない」「ピンチに手を『半端に』出す」という状態だと、 「お前、PCをからかいに来たんか!?」と思ってしまう。 正体も不明、目的も不明、手を貸してくれる理由も不明では、好感の持ちようがない。 せめてガーゴイル以外に雑魚を出し、その雑魚の掃討をトゥーラがしてくれれば良かった。 その強大な魔力で雑魚を一掃してみせれば、ライカとの交渉もスムーズに行ったのではないだろうか(^^;。 そうしてトゥーラはNPCとして実力をPLに把握させ、PCもガーゴイルを自力で倒した満足感が得られたはずだ。 対ガーゴイル戦に手を貸すならば、思い切ってガーゴイルを強くする反面、トゥーラも全力を出すべきだった。 欲を言えばPLの敵対心を和らげるため、ライカの本と交換に、 これから先の何らかのヒントをくれれば、好感度も上がったかも知れない。 はっきり言って今の状態では、ミレイユにしてみればトゥーラはPCの弱みにつけ込んだドロボーです。 PCの意外なピンチに、NPCが助けを出すかどうかをGMがアドリブで判断するのは難しいのだが、 今回のことを思い返せば、PLのサイの目が悪いのをNPCの手助けでバランス取りをするのはかなり白けた。 それなら、アッサリと死んだほーがなんぼかマシだ。 しかし敵ではないNPCがそこにいるのに、PCを見殺しにするのはもっとムカツクが。 味方NPCがその場にいる以上は全力で助けないと(少なくとも誠意を出さないと)、話の辻褄が合わないのだ。 まーなんとか3回目には特殊攻撃(かい潜って攻撃)を成功させ、ガーゴイル戦に終止符を打つことが出来た。 お疲れ様でした……
イデリータ姫を助け出し、今後の方針を話し合うPC&PL達。 しかし、PLさん達があまり好きじゃないのか、PCが戦略的な話が得意じゃない設定なのか、 みんななかなか戦略的なこれからの意見を出してくれない(><)! ……いや、あの、ミレイユってただの世間知らずの小娘武闘家なんですけど……(--;。 黙って見ていても全然話が進みそーにないので、結局世間知らずの小娘武闘家のくせに、 どんどん今後の攻略拠点、NPCの配置、挙兵計画などを進言するミレイユ……お前知力6だろーに。 バッハ卿とイーヒンにはアムリタにて、クーデター準備を密かに進行してもらい、 アルベルトには首都に向かってもらって、聖闘士のコネでイソラ教会が全面的に敵に回らないように交渉してもらい、 同時に姫の密書を首都近辺の有力貴族・軍人達に渡して、内戦時の味方を増やすべく工作してもらう。 プラタリッサには姫の親書を持たせて、東方の港湾商業都市を味方に付けるべく向かってもらう。 PCらは、第2回のシナリオで好感を持ってくれたであろうハイランダーの勢力を味方に付けるべく、 西方のラスペチアに交渉に向かう予定。 ここを味方に出来れば、ハイランダー勢がアムリタに来れる上、背後の憂いが無くなる。 ラスペチアはリックカルド派だが、百人隊長が正義感の強い人っぽいので、交渉の仕方でなんとでもなるだろう。 後は兄国アルマニア公国へ交渉し、国土を若干割譲してでもイデリータ軍に援軍を送ってもらえば、 リックカルド軍もジリ貧に陥るだろう。 多くの貴族は日和見を決め込むであろうから、大勢が傾けばイデリータ側に着く勢力は一気に増えるはず。 首都近辺でアルベルトの工作した貴族が蜂起し、港湾都市からも首都に軍が向かえば、 足下に火のついたリックカルドは国外逃亡(おそらくはランカスター公国あたりにでも)しか手は無くなる。 まーその場合は、今度はリックカルドを擁した野心豊かなランカスターvsマケドニア・アルマニア連合軍の大戦争になりそうな予想。 ……ってこんなことをミレイユが提案してどーする(^^;。身体動かすことだけが得意のお前が…… まー、PLがカテリーナ(浪人時代のWB)やシルヴィア(大学時代のSW)でこういうのが好きだったから 自然なのかも知れないんだけどさ……
今後の課題としては、姫を救出出来たことでウレスの目標が達成されたため、 「ウレスを助ける」という他のPC達の目的が無くなってしまったこと。 ウレスは、上司のバッハ卿達と共にイデリータを助ければそれでオッケーだが、他のPCがどうするか。 ガルは親父が言い残した、自分の出生の秘密を探るという方針でいくらしいので自力で動けるが、 「ガルに頼まれた」だけのミレイユ、「師匠が行方不明な」だけのライカ、「ウレスが可哀想な」だけのルインが どーにも積極的に動けなくなってしまった。 ガルの目的も、直接イデリータを助けるにはちょいと弱そうだ。 さて、どうすれば今後このキャンペーンが続けられるでしょう? 1:ウレスが他のPC達にキャラクタープレイで「自分たちだけでは姫を助けるのは苦しいので手を貸して欲しい」と頼む。 これが一番ベストっぽいが、かなり難しそう。 なぜならウレスのPLは、キャラクタープレイが得意ではないからだ。 喋るのが苦手なのではなく、こういう方法を自分から思いつけないのだ。 「1みたいにすれば」と言っても「そういうものなんですか?」とすっとぼけた返事が返ってくるのが関の山だからだ。 こんな調子では、それからウレスに言われたところで、言われたPL側がかなり白けるのは言うまでも無いだろう。 キャラクタープレイの上手いPLなら一番良いだろうが、今回では実現性の低い選択肢だ。 キャラクタープレイの苦手な受動的PLが、キャンペーンのキーとなるPCを軽率に持ってしまったことによる失敗と言えるだろう。 「そんなことこだわってどーすんの」と読者諸兄姉は思うかも知れないが、TRPGは周知の通りテンションが重要なゲームである。 PLのテンションが下がったセッションは成功と言えるか!? いや一番の失敗と言っていいだろう。 理屈がどーあれ、スカッとしないセッションなんて、その日の無駄遣いなのである! スカッとしない選択肢で進むことを決めても、その後のPC行動に熱が入るワケがない。 ひいてはダレダレのセッションに繋がるのである。コレがキャラクタープレイの最も重要な点なのである! 2:イデリータ姫が上手くPC達に「お願いです、力を貸して下さい」と頼む。 ポピュラーな方法だ。世間一般でもヒロインのお願いパターンは最もよく使われているだろう。 問題は、イデリータ姫の思想がよくPCに伝わっていないところだ。GMが主張をしてくれないのだ。 博愛・反戦の人なのだろうか? それならばミレイユの献策は、多くの流血を伴う未来であるため何らかの強いコメントを出さなくてはおかしい。 苦しい賛成にしても、徹底した反対にしてもだ。 しかし上記の献策にも、姫は何も言わなかった。これで良いと言うことなのか!? 「良きに計らえ」とかいうボンクラ姫ならば、助ける気も起きねーぞ。 PCのアクションに対しては、重要NPCは素早くリアクションしなくてはならない。 それが「ああ、コイツはPCと同じ世界に生きているんだな」と思える実感に繋がるからである。 実はミレイユはこのリアクションを引き出すべく、「殿下のお考えはどうなんですか?」とカマをかけてみたのだが、 「叔父上と話し合えれば分かってくれるはずです」くらいの、現実を見据えた返事が返ってこなかった。 箱入り娘で世間知らずなのかもしれないが……こんなビジョンを実行に移したところで成功するはずがない。 ここで一発バッハ卿が「姫、それは甘いお考えですぞ!」と姫を大人にしてやればよかったのだが、 残念ながらGMはそこまで考えが及ばなかったようだ。 ……そんな甘ちゃんな予想しかできないガキならばと、PLとして一生懸命助ける気持ちが薄れてしまった。 戦争物のキャンペーンを扱うに辺り、出してはいけないNPCがいる。現実を理解出来ない指導者だ。 それはヒロイン型のNPCであろうとだ。箱入り娘の世間知らずでは、担ぎたがるのは彼女を傀儡にしたがる悪党だけである。 PCが義憤に燃える熱血漢達であるならば、NPCの指導者は現実的なビジョンを高らかに宣言しなくてはならない。 それでこそ、熱血漢はそのビジョンに従い具体的に動く気になるのである。 ここで俺が期待したのは、苦しくとも戦争を選択するのなら、 「私は戦争のことはお恥ずかしながらよく分かりません。  しかし叔父上が私と弟を幽閉した以上、叔父上は私達を亡き者にするつもりなのでしょう。  建前上叔父上との交渉は呼びかけてみますが、恐らく叔父上は大人しく私や弟に王位を渡す気も無い以上、  交渉が首尾良く行くとは思えません。  ……戦いは本意ではありません。血が流れずに済むのであればそれが最も良いですが、  それが現実的では無いことくらいは理解できます。  しかし、私は簒奪者を野放しにしておくつもりはありません。  誰が父上を暗殺したのか、その真相が闇に包まれており、しっかりとした調べもせずに、  私や弟を幽閉するなどとは、叔父上が黒幕としか私には思えません。  ……もし叔父上が父上を殺したのなら、私は叔父上を許せません。しかし私一人ではどうすることも出来ません。  多くの人にお力をお借りしなくてはなりません。しかしそれは私の為に死んで下さいということです。  ……とても辛い選択です。しかし私は敢えて皆さんにお力を貸して欲しいとお願いします。  そのために後世にどんな汚名を着ようとも、正道を貫くためには覚悟する所存です。  戦略に関して私は不勉強ですので、どんどんとお知恵をお貸しして下さい。」 これくらいのことは行って欲しかった。あるいはバッハ卿が叱咤するべきであっただろう。 戦争反対なら、 「叔父上が父上を暗殺したのかも知れません。  しかしそうだとしても叔父上がそれを認めなければ、あるいは開き直られれば、戦争しか道は無くなります。  そうなれば多くの国民の命が無駄に流されることになります。    ……私はそれには耐えられません。それぐらいならば逃げる道を選びます。  皆さん、命の危険を省みず私などを助けて下さってありがとうございました。  私は隣国の(安全な)○○に向かおうと思います。  叔父上が公王となろうとも、それで多くの命が助かるのならば、間違った選択では無いと思います。  皆さん、重ねてありがとうございました。」 これぐらい言えば、PCが焚き付けるなり何なりする気になろうというものだ。 何れにせよ、姫の考えがよく分からん以上、姫の理想を実現する気にもなれん。 3:ガルが、自分の出生の秘密を探るために手を貸して欲しいと他のPCに頼む。 ガルPLはキャラクタープレイも結構するため、実現性は高い。 問題は、それをこの戦争とどう能動的に繋げるかだ。俺にはよーわからん。
今後の課題を多々残したセッションでありましたが、GMもPL方ももう十分に分かっていることばかりだと思います。 改めてそれを掘り起こしたかったのではなく、 次回シナリオにみんなが確認できるように、まとめの意味で書いたと思っていただければ幸いです。 GMさんはシステム的に斬新なエンターテイメント能力を持っているので、 NPCの思想主張など、更に他の部分の技術を高めればもっと素晴らしいGMになれると期待しております。 戦記物小説などを読んで、NPCの言い回しとか、格好いいリアクションとかをもっと増やして欲しいですな(^^)。 次回セッションを楽しみにしております。

TRPG日記メニューへ 

endra@yahoo.co.jpメールBOX