1999/7/11(日)                  

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執務室を辞去する(トップページへ)

システム:WARES BLADE(ホビージャパン)
マスター:K.T氏
 

TRPGが好きな人も沢山来てくれているのに、
スパロボしか書かないのも、どうかと思う。
幸運なことに社会人になっても、定期的にTRPGが出来ているのだから、
セッションの記録を「主観的」に残しておこう。
これを読んで「?」と思う人、主観的な見地です。ごめんなさい。


さて、WARES BLADE(以下WB)もすっかり古典である。
かの「ソードワールドRPG」より古く、
RQやSTORM BRINGERと同時期の発売だったと思う。
10年以上前だ。
ジャンルはファンタジーロボットRPG。
千葉暁氏の小説「WARES1092」等のアハーン大陸にて、
冒険を行うゲームである。
ロボット物ということで、挿絵にも幡池裕行氏や岡崎武士氏等を起用して、
発売当時はなかなかの人気を誇っていた。
今でこそ人気はかなり下火になってしまったが、
サプリメントの数なども一時期は多く出版され、今振り返っても
国産ではビッグゲームに分類出来る。
 

このWB、サプリメントの数もあって、世界観はかなり設定されているが、
システムは結構アバウトな物である。
 
 成功判定=能力値基本値+スキルレベル+1D10
 
上方タスクシステム(難易度と達成値を比べて結果を求めるシステム)の
最たる物である。やってることはかのSWとたいして変わらないのだ。

このシステムを個性的に彩っているのが、ロボットである操兵のルールや、
「練法」や「気功術」に代表される術法ルールである。
原作の「WARES1092」が若干オリエンタルな雰囲気を
帯びていることもあり、
WB自体もイラストや術法などはシルクロード近辺の香りを漂わせているのが
なんとなくシル(略)子の好みだ。

このRPGが下火になってしまったのは、BOXタイプという
比較的高額なシリーズであったということもあると思うが、
「ロボットRPG」というビジュアル性に依存するゲームであったことが
個人的には大きな理由だと思う。
かっこいいメカが描ける人がいないと、メカ物RPGは長続きしない。
WBはこの点ではかなり頑張っていて、
ロボットのイラストは、福地仁氏を起用してかなり豊富だが、
やはりオリジナルの存在を出さねばいけないときがやってくる。
そういったときに、オリジナルの自機や強大な敵がどのような姿をしているのか
言葉でしか想像できないのは大変寂しい。


異論のある方、想像して欲しい。
挿絵のないオリジナルロボット小説。(表紙にも絵は無しだ)
主人公のロボットが文字だけで描写されているのはかなり辛い。
スーパーロボット物のアニメがこれだけヒットしたのは、
アニメーションというダイレクトに視覚に訴えるかっこよさが、
あったからである。
あの「マジンガーZ」がテレビアニメじゃなくて、ラジオ番組だったら、
あそこまでヒットしただろうか?
俺はそうは思わない。
ロボットRPGは通常のRPGのように、想像力だけで
自分のキャラの姿や戦闘シーンを想像するのは難しいのだ。

結果的に、WBはメカの描ける人がいないと、真の面白さを発揮できない
システムであるというのがシル(略)子の持論だ。

 
で、今回のゲームだが絵が描ける人はいるのだろうか?という点だが、
バッチリいる。
マスターのK.T氏がバリバリの絵描きだ。

しかも、メカ・クリーチャーは大の得意分野と来ているから
文句の付けようがない。
マスターだから、自分の表現したいものを的確に視覚に訴えてくる。

加えて彼はサービス満点で、PC側の操兵も
乗り手のプレイヤーの要望を聞いて、デザインしてくれる。
彼に絵を描いてもらえるのは、プレイヤー冥利に尽きることだ。
 
NPCの強敵も、彼特有のスパルタンな凶悪さでデザインされているから、
気の弱いシル(略)子なんざ、シナリオボスのイラストを見せられただけで
敗北を覚悟してしまう(笑)。


余談だが、K.T氏、かなりゲームマスターとしてのトータル能力が高い。
俺の知っているマスターの中では、総合力は最高だ。
 
 1:NPCの出演数が多彩。にもかかわらず個性的。
   加えて、思想・行動規範・目的・立場がしっかり決まっているだけに、
   どんなことを尋ねても、会話に矛盾が生じない。
   会話が高いレベルで成立し続けるのは、その世界のリアリズムを
   高めることに大きくつながる。
   また、不測の事態にアドリブを紬だすのにもかなり楽になる。
   彼の世界の全ての住人とちゃんと交渉することが出来るのだ。
   読んでいてあたりまえ、と思うかも知れないが、これを高いレベルで
   こなせるマスターは以外と少ない。
 
 2:愛すべきNPCが多いにも関わらず、
   世のマスター諸君が陥りがちな、「NPC可愛がり」を彼はしない。
   彼の世界は基本的にプレイヤーの為にある。
   PCが「いかに格好良く活躍できるか」を、彼は研究しており、
   NPCと絡むことにより、それを彼は上手く引っ張ってくれる。
 
 3:これだけ世界がしっかりしているのに加え、
   彼は一流のイラスト描きである。
   特にメカや、硬派な男性キャラを描かせれば、知っている限り
   世のゲーマーの中に匹敵する者をシル(略)子は知らない。
   思考的認識に加え、視覚的認識に強く訴えかけてくるから、
   これでワールドへのトリップ度は相当高くなる。

これだけの長所を兼ね備えたゲームマスターが他にいるか?
いるんならシル(略)子に是非紹介して欲しい。

本人が読めば、いささか誉め殺しの感がしないでも無いだろうが、
これがシル(略)子がK.T氏に対する、率直な評価である。
故に俺は彼を「一番のGMの師」と思っているのだ。
 

閑話休題。今回のシナリオだ。
今回のシナリオ、実はキャンペーンの第3話にあたる。
 
シル(略)子は珍しく男キャラだ。「ゲイナー」という風門の練法師である。
黒いロン髪のスカシた兄ちゃんという、いかにも怪しげな奴である。
練法師は通常闇の世界の住人だから、旅の間は楽士に身をやつしている。
練法師というのは・・・簡単に言えば魔法使いだ。
風門というのは字の通り、風や雷系統の術法に長けているカテゴリーの事だ。
WB特有のオリエンタルな雰囲気があるため、
練法師は、陰陽師風のイメージも持っている。
ビジュアルイメージとしては、練法を行使するために必須な
「仮面」をつけた怪しげな術者、というのが一般的なイメージである。
 
他のPCは3名。
 
ギュレイ(どげお氏):
元ダカイト・ラズマ帝国の傭兵操手。トンファー使い。
普段は良い意味で他人に干渉しない(=傷つけない)奴だが、
戦闘時には熱き戦闘マシーンとして、
どんな苦境にも絶対あきらめない頼りになる奴。

エストラゴン(通称:エスト)(そうのすけ君):
俗業盗賊。実はギュレイが操兵操縦能力にシフトしている分、
剣での腕前ではPC1である。守銭奴でケチンボ。
(プレイヤーが喜々として言っているから、問題無かろう(笑))
 
ホウティエン(マキ嬢(あ、入籍したからもう夫人か(笑))):
ソドモン・ペガーナの招霊衝法師。僧侶であり、薬師でもある。
モデルは岸和田博士らしい(笑)。
高齢の男性だけあって、老成した物腰はNPCに安心感を与える。
 
PCは戦士、盗賊、魔法使い、僧侶だから能力のバランスは取れている。
全員男キャラってのも珍しいな。


キャンペーンの舞台はアハーン大陸西方南部、ファインド森林諸国だ。
キャンペーンは、前回、記憶喪失の少女アーシェリアを保護したところから
始まっている。
彼女、どうやら「先祖憑き」にあっているらしく、時々古のティーシャという
魔女の人格が表面化してくるのだ。
イベントで、彼女が体内にティーシャのものと思われる
「練法師の仮面」(正しくは聖刻石だけ)を取り込んでしまい、
混迷を極めたところだったが、
とにかく、彼女を故郷のデルア市に送り届けようとしたところを、
謎の赤い細身の狩猟機(上級の操兵のこと)が、アーシェリアの前に現れ、
「我が神に仇なす者め!成敗してくれん!」みたいなことを言って、
操兵で彼女に襲いかかってきたのが前回の終わりである(オイオイオイ!)。
 
さて、今回のスポットライトとしてはギュレイの愛機「ドルッグ・ロッグ」が
この狩猟機「ヴェルダー・ラーゴット」に立ちふさがったシーンが、
まず挙げられる。

勝負は、なんとギュレイの圧勝で終わった。
ドルッグ・ロッグの大型六角トンファーが4秒(2セグメントだ)で、
ヴェルダー・ラーゴットの左腕を粉砕してしまったのだ。
俺もWBは結構やっているが、
操兵の四肢が使えなくなったのは始めて見た(笑)。
ゲイナーはますますギュレイの操手としての腕前に惚れ込んだ次第である。
ギュレイってPCは、今まで俺が見た操手のPCの中でも
結構ダイス目が良いのか、安定した勝率を誇っている。
 
まぁ結局殴りかかってきた操手も、いささか功を焦っていたところがあり、
ギクシャクはしたものの、シナリオの終わりには協力してくれることになる。
彼は森林諸国の「サガ・ルーダ」という操兵を崇める奇妙な国家の、
王弟デミウス殿下だった。
神託を受けて、魔女ティーシャを討てと言われたというのだから
彼の気持ちもわからんでもない。
 

さて、この魔女ティーシャ、どうやら古代の超強力な生物兵器
「天焦がす者」とやらを復活させたいらしく、サガ・ルーダの人達は
それを防ぐために方策を考えていたところであった。
(デミウスの行動は勇み足(^^;)
デミウス殿下の姉のリダ女王(26歳!)まで、
デルア市にお出でになっていたのにはビックリした。
かなり重大な事態らしい。
 
そのティーシャが「しばしの別れの時をやろう」と言って、人格が引っ込んだ後
アーシェリアと我々が会話をする機会があった。
 
アーシェリアは、かなり思い悩んだようで
「私、生きていてはいけない存在なんでしょうか」などと
聞いていて辛いセリフを吐いてくれる。
各PCは各々の価値観で、彼女の言葉を否定する。(当然だ)

K.T氏のNPCまわしが上手いところは、
この直後にアーシェリアに(PCに)礼を言わせた後、一転して

「私、自分がもし生きていてはいけない存在であっても、
 でもやっぱり、死にたくないんです!!」

と必死のセリフを吐かせたところである。
このセリフは何回も使えないモノだ。一発ズバンと言ってこそ威力を発揮する。
俺はこの瞬間、涙をこらえて必死こいてるアーシェリアの姿が目に浮かんだ。
 
これで彼女の力になってやらないのはカッコ悪すぎるぜ。
 
K.T氏のマスタリング技法の1つに
「ヒロインはPCに自分から助けを求めること」というのがある。
いくら可愛そうなヒロインであっても、「助けて下さい」とも言わないのに
PCに助けてやる義理は無い、ということだ。
 
バッチシ実践しているな。やっぱあんたすげぇよ。
 

で、その後、何と新勢力(謎の金門練法師)が襲撃してくる。

生体兵器「地を這う者」(天を焦がす者の一部でもある)の
制御ユニットでもある、アーシェリアの身体を奪いに、
呪操兵で襲撃してきたのだ。

マジですか。
 
呪操兵というのは、上級操兵の狩猟機に比べてもかなりレアな操兵で、
練法師しか使えないのはおろか、その法力をも相当増幅させるという、
危険極まりない代物である。
街1つ、1つの術法で粉砕することなどいともたやすい。

生身でさえ、多分奴には法力で劣るゲイナー君のこと。
呪操兵なんぞに乗った練法師に何が出来るっちゅーねん。
勘弁してくれヨゥ(笑)。
 
我らがギュレイ君、勇敢にもドルッグ・ロッグで立ち向かってくれるが、
この呪操兵、パワーも相当あり、トータル能力で劣るドルッグ、
一撃目に良いのが入った他は、じりじりと押されることとなる。
 
決定的だったのが、奴の術法、
金門練法レベル7「縛力隔弄」がドルッグに決まったときである。
 
この術法は、指定空間内に強力な電磁結界を作りだし、
回避に失敗すると操兵を始め、あらゆる金属製の物体が
効果範囲内では身動きできなくなる、というものだ。
(超電磁タ○マキ?(笑))
こうなってはさしものギュレイもどうしようもない。
勝ち誇る金門練法師、呪操兵のゴリラのような剛腕から繰り出す二刀流で、
ドルッグをさんざんいたぶり始める。
 
ここでコソコソ隠れていたゲイナー君にやることが出来た。(ラッキー!)
勝ち誇った呪操兵に蹴倒されて、踏んづけられているドルッグにこっそりと、
LUCも使って門外練法レベル4「破術」をかけてやった。
小物だと思って油断していてはいけません。
 
ああ、少しは活躍することが出来た。これで十分満足(^^。
 
結果的には勝負は痛み分けに終わり、呪操兵は転移して退却する事となる。
マスターはアーシェリアをさらわせるつもりだったのを、
PCの活躍で防ぐことが出来たのだから、PCにしてみれば大成功の部類に入る。
 
次回からは、魔女ティーシャの要望もあり、
かの練法師に抑えられているらしい「地を這う者」の本体の場所に
こちらから向かっていくこととなった。
誰もティーシャの為に行くわけではないが。

残念だったのは、ゲイナー君は練法技能が成長したのだが、
WILとSENのロール基本値平均は4.5なので、
増加した練法修得ポイントは4。
欲しい5〜6レベルの術法なんて取れやしねぇ・・・。
世の中の高レベル練法師の偉大さが解った瞬間でした(笑)。

 
次回セッションは、マキ夫人の披露宴&新婚旅行の終わった
8月下旬以降である。
次回もよろしく頼むぜ、K.Tちゃん&みんな!
 
 
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