1999/9/12(日)                 


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執務室を辞去する(トップページへ)


システム:WARES BLADE(ホビージャパン)
マスター:K.T氏
 

達人マスター、K.Tちゃんのワース4回目だ。勿論、7/11の続き。
粗筋は、前回の日記を参考にしてもらうとして、早速思い出に残った点を綴ろう。

あ、参加者は当然
ギュレイ  (凄腕の操手。カスタム型重操兵「ドルッグ・ロッグ」を駆る。)
      :どげお氏
エストラゴン(卓越した手練士(盗賊)。金に対する執着ならお手の物(笑)。)
      :そーちゃん
ホウティエン(薬草士だが、その実体はソドモン・ペガーナの高位招霊衝法師。)
      :マキ夫人
あとは、俺の「口先だけ(笑)」練法師ゲイナー君。
場所はそーちゃんが、あるお方に「目煮物」見せてくれるために(笑)彼の家で。
親御様、お邪魔いたしましたm(__)m。

まあ、前回から約2ヶ月経ってしまっているが、
K.Tちゃんのプロットのしっかりしたキャンペーンを
欠員の出たまま進めたくない。
社会人が多いから、全員集合するとなると、どうしてもこうなっちゃうんだよね。
まあ、8月にはマキ夫人とBER.氏の結婚式もあったし、こんなもんでしょ。

第一このメンバーは、プレイヤーも
キャラクタープレイと、常識感覚のバランスの取れているという意味では、
かなりのレベルを持った連中だから、欠員を出して進めたくはなかったのである。
勝手ながら、俺が携帯やメール、ICQで音頭を取らせてもらっていて、
みなさんにはホントご迷惑をおかけしていますm(__)m。

えー、あとK.Tちゃんのイラストを楽しみにしている皆様、
今回は彼が多忙のため、ラフでのイラストが多く、
まだみなさんに公開できるレベルのものはほとんど無い、と言うことで、
掲載は見送りとさせていただきます。
彼のイラストを見たい、という方はendra@yahoo.co.jpまで
リクエストを下さいませ。
このシル(略)子が責任を持って彼にお伝えします。


さて、ホントに本編。
K.Tちゃんのシナリオは話の組立が厚い、というか話の密度が濃いので、
粗筋を列記していては分量が膨大になるなぁ・・・。

アーシェリア(ティーシャ)を連れて「地を這う者」を封印or滅ぼすため、
とりあえず、元いたダンワム市に向かったPC達。
PC4人に加え、アーシェリアとデミウス王子&ヴェルダー・ラーゴットという
頼りになる仲間も加えての出発だ。

夜中、なんとゲイナーの所属している練法師匠合「蒼き尖塔」の仲間で、
練法使いのアルムトという同期の男が接触してくる。(初登場!)
彼は幾つかの情報をゲイナーに教えてくれる。

1:前回の終盤に登場した謎の呪操兵はジグ・ルクスーザという。
  呪操兵にも関わらず、白兵戦にも長けたパワータイプの機体らしい。
2:ジグ・ルクスーザの操手は「久遠なる大地」という大規模練法師匠合の
  一派閥に属する金門のアズベルクという男らしい。
3:「久遠なる大地」はもともと土門系の匠合だったが、
  現在は匠主不在のため内部抗争中である。
4:4日ほど前、ここから北の南部旧王朝諸国上空に「高く舞う者」が
  こちらに向かって飛行しているのが目撃されている。

敵ボスと渡り合うのは自信ないが、情報をこねくり回してあれこれ
小細工を打つのは人一倍自信のあるシル(略)子。
情報を貰えるのは、何よりも嬉しい。持つべき者は同期。ありがたく感謝する。

情報だけでなく、アルムトは自分の大事な聖刻器(マジックアイテムだな)の
黒い革手袋「イスタルの星」をゲイナーにくれるという。
なぜ?と思うが、アルムトはこれから練法師弾圧の厳しい
北部テーラタイン諸国へと任務で向かうらしい。
恐らく顔を合わせるのも今生では最後となるだろう、とのことだ・・・。

会ったばかりなのに、これでお別れか・・・。
俺は奴に何も報いてやれてない・・・
少なくともこの「イスタルの星」は、必ず役立てる。
ちなみにこれは「遅練杖」の上位聖刻器で、練法の術法を
3つまでチャージしておけるという便利なものらしい。

すまんなアルムト・・・しかし俺はこの戦いに役立てるほど、
有効な術法は修得できていないんだよ・・・。
敵の力は、俺の手にはあまるほど強大なんだ。
他のPCの3人なら、それぞれ対抗できる力を身につけつつあるが、
今の未熟なゲイナーに力で何が出来るのか・・・。


閑話休題。
ダンワム市に到着すると2機の狩猟機の感応板に反応がある。
市の城壁の内部に複数の操兵反応、それも7体!

しずしすとやってきたのは、南部旧王朝諸国2大国の一つ、
西方南部における聖拝ペガーナの本山のあるシャルク法王国の狩猟機等である。
ちなみに聖拝ペガーナというのは、神聖ペガーナと並んで、
数あるアハーン大陸西方の宗教の中でも最も勢力がある宗教である。
アハーン大陸がヨーロッパとするなら、神聖ペガーナがカソリック、
聖拝ペガーナがプロテスタントとイメージしてくれればいい。
この2大宗教に比べれば、ホウティエンのソドモン・ペガーナは
ジプシーの口伝くらいのものだ。
勿論、この2大宗教は政治的・軍事的にも相当な力を有している。

狩猟機達を率いるのは、シャルク聖拝騎士団に所属する、
マティウス=サリエール卿。鋭い眼に口髭を生やした武人だ。
彼等は、アーシェリアに対して丁寧に騎士の礼を取る。
流石に一行、ビックリした。
どのように居丈高に来るかと、内心身構えていたからだ。

マティウス卿らは、シャルク法王国にアーシェリアを同行し、
大僧正自ら、魔女ティーシャの霊体を引き剥がす為の秘儀を行えるという。
どうやら、「地を這う者」そして「天焦がす者」の脅威は
全世界的に憂慮されているらしい。
これが真実であればありがたい話だが、
ここでPC達の間で意見がバラバラになった。

ギュレイとエストは、アーシェリアをシャルク法王国に連れていくのは反対。
何と言っても、ティーシャは彼等の言う所の妖術師なのだから、
わざわざ秘儀など面倒なことを行わなくても、
PC達と引き離し、アーシェリアを押し込めて殺してしまえば済むこと。
世界宗教なのだから、PC達をその前後に片づけて、
情報操作で隠蔽することなどは簡単なことである。

2人の言うことは、至極最もである。だが俺は、シャルク同行案を押した。
確かに上記のような危険がつきまとうが、
ついていかないと以下のようなデメリットが生じる。

現在、魔女ティーシャ(地を這う者)、「久遠なる大地」のアズベルクと
実力の未知な敵対勢力2つを相手取っているのに、
ここで聖拝ペガーナに敵対を表明して、強引な手段に出られたくない。
つまり強大な敵勢力をこれ以上増やしたくない、ということである。

逆に上手く聖拝ペガーナを味方につけ、利用する事が出来れば、
強力な法力と操兵軍団を有する世界宗教である。
その保護下にあれば、おいそれと練法師匠合も手を出せない。

ギュレイは「果たして聖拝ペガーナの内部に入って、そう上手く事が運ぶか?」
と懸念している。当然のことだ。俺だって完全には自信はない。
これは大変卑怯なのだが、完全にプレイヤーとしての読みであった。
本来は練法師であるゲイナーが天敵である宗教勢力を信用するなどおかしいのだ。

K.Tちゃんのシナリオは今までの経験からして、
俺は話の分かるNPCと分からないNPCは、一発で区別がつく。
彼の世界はきちんと理路整然としているから、高い地位についている者は
それなりの経験を積んでいて、人格者であるはずなのだ。

トオグ・ペガーナやゴオル宗のような邪教なら論外だが、
仮にも「人類愛」「平等」「弱者救済」を唱う世界宗教のトップである。
その教義から大きく外れて、その地位に立てるわけがない。
勿論その個人によって、どれだけの度量があるかは未知数だが、
仮にも前述のような教義を持った宗教のトップが、
いきなりアーシェリアを連れてくるなり、
火炙りだの無法な振る舞いをすることは、彼のマスタリングでは考えづらい。
現実の宗教(中世キリスト教等)ではそうでも無かったかもしれないが、
彼の世界くらいは宗教の善性を信じたい。

勿論、妖術師狩り等をやっているのだから、
当然そう言ったタカ派の派閥もあるだろう。
そういった勢力は、当然ギュレイの言うとおり
アーシェリアの謀殺を狙ってくるだろう。
しかし、それを上手くくぐり抜け、大僧正に面談できたなら、
彼を説得して、アーシェリアの味方にする自信はあった。
そうすれば、アハーン大陸南部での安全は保障されたも当然である。


この話し合いは、それなりに時間がかかった。
俺はどうしても自説を通したいわけではなかった。
結局集団行動をしている以上は、皆の意見に従うべきだし、
どのような道を選ぼうとも、ここにいるプレイヤー達ならベストを尽くすはずだ。
俺だってそうだ。
ただ、今自分の思ってる意見を言わないで、あとで後悔するよりは、
ここで思ったこと全てを言っておいて、その上でみんなに決めてもらおうと思った。

コンヴェンションなどと違って、内輪でやることの楽しさは、
他のプレイヤーの判断力も全面的に信頼できることだ。
俺は今回、反対意見が2人いたため、
言いたいことは言って、その上で却下されても、
その道でベストを尽くそうと思っていたが、
なんとギュレイ自ら、俺の意見を採り上げてくれるとの判断をしてくれた。
これは俺が他のプレイヤーを信用しているのと同じく、
どげお君が俺を(ギュレイがゲイナーを、かな?)信用してくれたからだろう。
「そのかわり、難しい交渉はゲイナーに任せるぜ。」との言葉。
責任感は重いが、その分嬉しいやりがいはある。


しかし、シャルクへ行くことは当分無さそうだ。
大物が攻めてきた。
なんと「地を這う者」自らがティーシャを迎えにダンワムにやってきたのだ。
どういうわけだ? アズベルクは上手く封印していたんじゃ無かったのか?
・・・どうやら聖拝ペガーナの別働隊が、アズベルクの留守中に
「地を這う者」の本体を成敗するために封印場所に向かっていたらしい・・・
浅はかだぞ、そんな簡単に邪神に等しい化物が倒せるかよ・・・。

しかし、ティーシャがキーでなければ、動けないんじゃなかったのか?
そう思ったゲイナーに、ティーシャモードに入ったアーシェリアが答える。
まだ数十パーセントの力だがな、と。
ちくしょー、このばばぁ、楽しんでやがるな。
他のプレイヤー達は、ティーシャに「憎たらしいが、愛着が湧いてきた」なんて
言ってるが、俺はそんなこと無い。
こんな婆さんに取り憑かれて、良いようにもて遊ばれている
アーシェリアが不憫なだけだ。
くそー、アーシェリア、絶対救ってやるからな。


さて、「地を這う者」だ。こんな化物に対抗できるのは
ドルッグ・ロッグだけだが・・・
あれ、シャルクの狩猟機が宙高く舞ってるよ・・・。

・・・
「地を這う者」はK.Tちゃんのイラストだけあって、
相変わらずのスパルタンさなのだが、超絶なところが一つある。
フォルムは凶悪なのだが、彼のラスボスの中で、
特別際だっているということはない。
ゴリラをフォームのモチーフに、黒いゴム上の皮膚に生体パーツをぶち込み、
竜風の頭部をつけて、両肩からは本物のメタルドラゴンの頭が2つ生えている、
と言った風情だ。(ああ、俺のつたない文体じゃ上手く説明できんわ)

問題は、単体の絵ではピンとこないその大きさだ。
ドルッグ・ロッグの身長が横に描いてある。
・・・体高にして1.5倍・・・ドラゴンのヘッドまで入れれば2倍以上だ・・・。
横幅は相当なものがあるので、
質量に換算すればドルッグ・ロッグの10倍はあるだろう。
プロレスラーと幼稚園児くらいの差がある・・・。

!!?
パワーというものが、白兵戦の至上の勝因要素である以上、
単純にこの怪物はドルッグの10倍の戦闘能力を持っていると思って良い。
ティーシャが融合してないので、完全にその機動性や特殊能力は発揮されない
とは言え、その超絶なパワーは健在だ。
現に狩猟機が撫でられただけで、天高く舞っているではないか。
パワーが売り物のドルッグ、このパワーで上回る怪物にどう立ち向かうのか!?

 
このドルッグ・ロッグ、得体の知れない力を秘めた古操兵などではない。
狩猟機ガレル・ブライア(こいつには何か隠されているかも知れんが)のフレームを
最強の軍事国ダカイト・ラズマの、しかもあらゆる意味で一目置かれている
ローマス家の技術を持ってカスタムメイドしたものである。
戦い方は、操手の技術と根性、ガレルのパワー、ローマスの特殊ギミックで
渡り合うことになる。

ギュレイはすぐに、パワーでは勝負にならないことを悟った。
そのゴリラのような剛腕である。正面から殴り合っても強力な両腕の盾に
たやすく阻まれるどころか、強烈にはじき飛ばされるだけだ。
ここは頭を使うしかない。
幸い「地を這う者」は頭脳であるティーシャを欠いているため、
それほど高度な戦術が取れるわけではない。
せいぜいそれこそゴリラ以下であろう。

ドルッグはその特殊ギミックの一つである、「ワイヤー付き射出ハーケン」を
「地を這う者」の左目に打ち込む。
痛みに吼える「地を這う者」だが、ギュレイはその暴れる中を
上手く「地を這う者」の背中に這い登り、
ワイヤーを奴の首に巻き付けることに成功する。
これで奴の力も利用しつつ、首をねじ切ろうというわけだ。

しかし、「地を這う者」も邪神の分身と言うべきまでの生命力を持っている。
猛烈な乱打により、インディアン・デスマッチとなったドルッグ・ロッグは
避けることも出来ずにものすごい打撃を受けることとなる。
ギュレイも衝撃で操手漕の中で重傷を負う。

これを見ていることしかできないゲイナーは歯がゆかった。
確かに正面に立って戦っているギュレイが一番大変なのだが、
それにも増して、使える術がせいぜい「蒼電迅」程度のゲイナーは
手助けさえも出来ない。(「蒼電迅」は操兵レベルには効かないのだ)
我ながら、自分の非力さをふがいなく思う俺。

そのゲイナーにどこからか「遠話」が飛んでくる。
なんと金門練法師のアズベルクからだ。
やつも自分の留守中に、聖拝ペガーナに「地を這う者」を奪われたことを
後悔しているらしい。
その絡みもあって、アーシェリアを渡せばギュレイを手助けしてやろうというのだ。
うまい話を言う。もともとは手前の管理不行き届きだろうが。
そう言いたいところだが、確かにアズベルクの強力な練法は捨てがたい。
現にギュレイは圧倒的な攻撃に晒されていて、「地を這う者」の首をねじ切るまでに
機体が持つかどうかは分からない。

しかし、ここでアズベルクの要求を飲むことが正解なのか?
ゲイナー、お前はどこまでもギュレイの力を信じると己に誓ったのではないか!?
ギュレイを数百年に一度の風雲児と信じ、彼という素材を元に、
己の知謀を持って、世に自分の力を試すと誓ったのではないか?
まだギュレイは敗退したわけではない。
アズベルクの力を借りるということは、
ギュレイの力を信用していないということだろう!

俺はギュレイに思いっきりやらせてやりたかった。
だから、アズベルクの申し出ははね除けたのだ。
「ギュレイが敗退した時に、お前の要求は受け入れよう」と。
だが、奴は負けたわけではない。
奴がこの程度で終わるような人間ならば、俺は初めから奴に賭けてなどいない。
奴を信じることは、俺自身の眼を信じることでもあるのだ。

ギュレイと「地を這う者」は血みどろの血戦を繰り広げた。
デミウスのヴェルダー・ラーゴットも気闘法で援護するが、致命傷には届かない。
ドルッグの装甲板が飛び散り、フレームがひしゃげるが、
ギュレイはその手を離さない。

ギュレイの意識が出血の為、霞み始めてきた頃、
彼の努力は報いられ、激しく体液を巻き散らかしながら、嫌な音で
「地を這う者」の首がねじ切れ飛んだ。
「地を這う者」は一時的にその機能を停止した。
このときドルッグ・ロッグの機体耐久度はなんと1だった。(マジで)


「地を這う者」は究極の生体兵器のユニットであるため、
これで破壊されたわけではない。
現に、切り落としたはずの首は再生を始めている。
1時間ほどで再生は完了するだろう。
あとはどこかで見ているアズベルクに、癪ではあるが任せるしかない。
我々は、一旦ドルッグの修理のためデルア市に戻ることにした。

帰る途中、エストが懐かしい人物と再会する。
第1話で世話になった、ラズマの灰色の軍団の構成員ラインの相棒、
東方人の美女で間者のエリシアである。
彼女の報告によると、ラインは「高く舞う者」の撃退に失敗し、
イルマ女史も「深く眠る者」の封印には失敗したらしい。
「地を這う者」の機能停止には成功したというものの、
全体的に見れば事態は最悪である。
1時間機能停止させるだけで、主人公機が大破していては割に合わない。

現在、ラインやイルマ女史はこちらに向かって合流を目指しているらしい。
なんと我々に「力を貸して欲しい」というのだ。
しかし、この大破した狩猟機と重傷の操手、
手練士と招霊衝法師こそ健在だが、へっぽこ練法師に何ができる?
次回風雲を告げつつ、今回のシナリオは幕を閉じる。


帰りの車の中、ゲイナー達があまり活躍できなかったせいか、
K.Tちゃんは「辛口で日記に書いてくれて良いよ」と言っていた。
でも、俺的には彼のシナリオに参加していて、口先で吼えられれば
十分に楽しいので、別に彼のシナリオにはケチはつけない。
彼のマスタリングにいちいちケチをつけていたら、
他の人のマスタリングにはもっとケチをつけなきゃならんわ。

ただ、我ながらゲイナーの実力の無さにふがいない思いはある。
あの「地を這う者」を前にして、ただ眺めているだけだったんだから・・・
ごめんよギュレイ、何一つ援護することができなくて。
ごめんよアルムト、お前の期待通り頑張れるか、俺自信無いわ・・・

 
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