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センター試験解説
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ジェイシー教育研究所製「センターTen」地学の解説は、このページを元に書き直したものです。

●第1問

問1
 地球型惑星とは地球や火星など、岩石を主成分とする惑星で、木星型惑星とは木星や土星など水素を主成分とする惑星。そのため平均密度は木星型の方が小さい。ただし木星型惑星の内部には地球よりも大きな岩石の心があり、この芯の重力で太陽系創生期のガスを引きつけたと考えられている。
→正解は7
問2
 年周視差は、地球の公転に伴って位置が変化するために天体の見かけの位置が変化する現象。
 年周光行差は、地球の公転に伴って運動方向が変化するために天体の見かけの位置が変化する現象。
 フーコーの振り子は、地球の自転によって地面が回転するため、振り子の振動面が見かけ上変化する現象。
 火星の逆行は、地球と火星がともに公転しているためにおきる現象。
→正解は3
問3
 ケプラーの第3法則(調和の法則)。太陽から離れている惑星ほど公転周期が長く、公転周期の2乗は軌道長半径の3乗と比例する。これは、太陽の重力と公転による遠心力が釣り合う速さで公転しているためと解釈できる。
 別の解き方として、問題文中の数字を入れて計算してみる方法がある。1.3の3乗は2.197、1.5の2乗は2.25である。
→正解は1

問4
 HR図上で、左上から右下に整列する恒星が主系列星、右上に位置するものは赤色巨星(たんに巨星ともいう)、左下は白色わい星である。
→正解は4
問5
 5等級の差ということは、100倍の明るさの差ということ。見かけの明るさは距離の2乗に反比例するから、距離は10倍違うことになる。
→正解は2
問6
 スペクトル型は表面温度で決まる。主系列星は、質量の大きいものほど中心部での核反応が激しいため明るく輝く。恒星の単位表面積あたりの明るさは表面温度の4乗に比例し(シュテファン・ボルツマンの法則)、表面温度が同じならば表面積に比例する。種族Iは散開星団などに多い若い星、種族IIは球状星団などに多い古い星。
→正解は3

●第2問

問1
 大気圧は上空へ行くほど小さくなる。したがって、等圧面の上よりも下の方が高圧である。気圧傾度力(たんに気圧傾度ともいう)は、気圧の高い方から低い方にはたらく。
→正解は4
問2
 北半球の、地表面との摩擦が無視できる高度では、転向力(コリオリの力)によって風は等圧線と平行に、高圧部を左に見る形で吹く。風速は、気圧傾度力が大きいほど大きく(速く)なる。気圧傾度力の大きさは、等圧線の間隔をみればよい。
→正解は2
問3
 大気圧とは、それより上にある空気の重さによって生じる圧力である。また、気温が高いと空気は膨張して密度が小さくなるから、たとえば900hPaと800hPaの等圧面は離れることになる。そのように考えると下層の気温が高いところでは高層の気圧が高く(等圧面が高く)なり、下層の気温が低いところでは高層の気圧が低く(等圧面が低く)なることが理解できよう。
→正解は4

問4
 暗記モノですな。水深が十分大きく、海底に邪魔されずに海水が運動しているのは表面波、逆に海底につかえてしまっているものは長波。
→正解は4
問5
 海底に邪魔されない表面波では海水は円運動をする。水深が浅くなるにつれて潰れた形になる。
→正解は6
問6
 問題文中の式からもわかるように、波の伝播速度は波長が長いほど大きい(速い)。また、波長が長い波ほど深いところの海水まで運動するため(概ね波長の半分の深さまでの海水が動く)、水深が浅いところでは、波長の長い波は存在できず、伝播速度は水深で制限されてしまう。(遠浅の海岸で波が徐々に盛り上がりながら押し寄せるのは、底につかえながらやってくる波が、徐々に浅くなるせいで波長が短くなり、伝播速度も小さくなるために、波の後半部が前半部に追いついて乗り上げるためである。強引に解釈すれば、4つの選択肢すべて誤りはない、とも言える)
 なお、1・2の問題文の前半は「波長<水深の場合は」であり、3・4の前半は「水深が浅く、波に伴う海水の運動の邪魔になる場合は」である。
→正解は3

●第3問

問1
 逆帯磁期の磁力線は、図1の磁力線の、矢印の向きが逆になったものと考えればよい。南緯30度付近では、矢印は南向きで、地面に向かって突き刺さっている。
→正解は3
問2
 オーロラは、太陽風を形成している荷電粒子が地磁気に捕らえられ、磁力線に沿うような経路で大気圏に突入しておきる現象。高さ100〜200km程度の大気上層の酸素や窒素と衝突し、それらの原子が発光する。
→正解は2
問3
 地下が熱いところは地殻熱流量が大きい。地下からの熱の主な原因は、海洋地殻の地域では地球深部からの熱の流れ、大陸地殻の地域ではそれに加えて花崗岩などに含まれる放射性元素の発熱。海洋では海嶺が熱く、海溝が冷たい。大陸では、新しい花崗岩が多いところが熱い。
→正解は1

問4
 P波は縦波、S波は横波。P波はS波よりも速く、P波S波とも岩石が硬いところでは速く伝わる。P波は「押し引き」の波なので固体中も液体中も伝わるが、S波は「ずれ」の波なので固体中しか伝わらない。
→正解は2
問5
 適当な(わかりやすい)数字をいれて計算してみよう。たとえば震源から15km離れた観測地点では、P波が届くのに3秒、S波が届くのに5秒かかるから、PS時間は2秒。
→正解は3
問6
 地下の、地震の原因となった場所が震源、その真上の地表の場所が震央。
→正解は2

●第4問
問1 たとえば、砂泥互層と泥岩層の境界線(両側にあるから、どちらかに決めて)が200mの等高線と交わる場所をいくつか探すと、それらは南北方向の直線上に並んでいる。このことから走向がわかる。
 また、150mの等高線で同じことをすると、200mのときの50mほど東で直線上にならんでいる。このことから傾斜の向きと角度がわかる。
→正解は順に、2、1、3
問2
 A層とB層の境界は等高線と平行なので水平とわかる。またその高さはほぼ400mである。
→正解は2
問3
 西側ではC層は西傾斜になっている。また、B層の下部にC層のれきが含まれるのは、堆積が中断し、C層が浸食されたのちにB層が堆積したためと考えられる。
→正解は4
問4
 化石から、B層が堆積したのは新第三紀、D層は古第三紀と考えられる。C・Dが堆積→褶曲→Bが堆積、という順序だから、褶曲は第三期のあいだの出来事。
 センター試験に貨幣石が出たのは初めてじゃないかなあ。とりあえず、デスモスチルスが初期のほ乳類で、第三紀とわかっていれば選択肢の4ははずせる。貨幣石を「ジュラ紀の示準化石」と勘違いしていたら2があやしいけど、それ以外だったら1と2もはずせるよね。
→正解は3
問5
 斜交層理は、川底など流れのある水底で堆積したときにできる構造。なお、片理は広域変成岩の組織。
→正解は1
問6
 級化層理は、いろいろな大きさの砕屑物が一気に供給され、水底に堆積したときにできる構造で、大雨の直後の海底や、海底地滑りなどでできる。
→正解は2

●第5問

問1
 地殻とマントルは岩石、核は金属。核は外核と内核に分かれ、外核は液体で内核は固体。
→正解は1
問2
 地球の構造は、密度の大きいものの上に密度が小さいものが乗った形になっている。有色鉱物を多く含む岩石は密度が大きい。大陸地殻は、海洋地殻の上に花崗岩質の岩石が分厚く乗ったような構造になっている。
 結晶片岩は広域変成岩(「片」の字がそれをあらわしている)。
→正解は3
問3
 チャートは二酸化珪素(SiO2)を主成分とする岩石で、放散虫や珪藻など、二酸化珪素の殻をもつ生物の死骸が主な材料。
→正解は3

問4
 SiO2が52%が安山岩と玄武岩の境界、45%が玄武岩とカンラン岩の境界。こんな細かい知識要求されても、これって教科書によっては出てなかったりするんじゃないか?
 
とりあえず、Bはかなり黒っぽそうだから1・3・5ははずせるし、Aもそんなに白くはなさそうだから6もはずせる。あとはイチかバチかで2か4を選ぶ、ということになる。
→正解は2
問5
 BはAに比べるとMgO,FeOの割合が多く、SiO2の割合が少ない。従って、Bが晶出することでMgO,FeOが効果的に減少し、SiO2はあまり減少しない。
→正解は2
問6
 マグマが徐々に冷却し、結晶分化作用が進むと、マグマの成分(液体で残っている成分)は二酸化珪素や気体成分など「軽い」ものが多くなる。また、長石は初めはCaに富んだもの、つぎにNaに富んだものが晶出する。
→正解は1