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センター試験解説
地学IA
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●第1問

問1
 オゾン層といえば紫外線吸収。
 原始大気は、現在の火山ガスとほぼ同じものと考えてよいから、主成分は二酸化炭素だった。火星や金星の大気が二酸化炭素を主成分としているのは、原始大気の組成の名残である。地球では二酸化炭素は海に溶け込み、さらに岩石に固定されることで大気から取り除かれていった。
→正解は2
問2
 地表から約10kmまでが対流圏。その上、約50kmまでが成層圏。その上、約80kmまでは中間圏。その上が熱圏。
 細かいことをいうと、成層圏のなかで特にオゾンが濃いところがオゾン層で、だいたい高度20〜30kmの部分である。
→正解は3
問3
 1について。フロンガスは拡散し、放出された地域から離れたところでオゾン層破壊を引き起こしている。特に南極上空で深刻になっている。
 2について。オゾンの減少は、材料の不足ではなく、生成と破壊のバランスの変化が原因である。
 3について。雪や氷は光をよく反射するので、その面積が大きくなると地球が吸収するエネルギー(太陽からの光)が少なくなってしまう。
 4について。新しいところではフィリピンのピナツボ火山の噴火で全地球の平均気温が下がったことが記録されている。また、浅間山の「天明の噴火」や同時期のアイスランドの「ラキの噴火」が「天明の飢饉」につながる寒冷化の原因とされているし、古生代末の大絶滅を引き起こしたのも火山噴火による寒冷化と考えられている。
→正解は4

問4
 大気中の公害物質といえば代表格は窒素酸化物と硫黄酸化物。最近はダイオキシンも台頭。
 で、窒素酸化物は、自動車エンジン内部など高温のもとで大気に含まれる窒素が酸素と結びつくのが主な発生原因。硫黄酸化物は、石油に含まれる硫黄が、石油を燃焼させるときに酸素と結びつくのが主な発生原因。
 自動車エンジンについては、エンジンの改良によって燃焼温度を抑えたり、排気ガスを触媒に通す等の方法で窒素酸化物の放出を少なくしている。工場の排煙などは、硫黄をカルシウムと反応させて石膏にして回収する技術が確率されている。また、自動車燃料を精製する段階で硫黄を取り除いた「サルファフリー」燃料が使われはじめている。
→正解は5
問5
 大気の対流が盛んなときは、汚染物質は拡散してしまうので濃度は上がらない。逆に対流が少ないときは、汚染物質が放出源の近くに留まるため、濃度が上がりやすい。
 逆転層とは、上空よりも地表付近の気温の方が低い状態になっている部分のことである。上下の対流がおきる原理は「暖かい空気は軽いから上へ、冷たい空気は重いから下へ」ということであるから、逆転層内では対流がほとんどおきない。
→正解は2
問6
 清浄(かつ正常)な雨は、大気中の二酸化炭素を溶かし込んで降ってくるので、pH5.6程度の弱酸性になっている。
→正解は2

問7
 素直にグラフを読みとろう。
→正解は1
問8
 寒い時期には陸上に雪や氷として留まる水が多いので、その分海水が少なくなり、海面が低下する。逆に温暖な時期には海面が上昇する。この時期、対馬海峡は陸となり、大陸と日本列島の間をナウマン象やオオツノ鹿が行き来していた。また日本海は凍結したため、冬の降水量は現在よりも少なかった。
 1の内陸の貝塚は、「縄文海進」とよばれる暖かい時期につくられたものである。また、南西諸島で高い山のない島にハブがいないのは、この時期に水没していたからである。
→正解は2
問9
 素直に計算する。
 2万年前〜1万年前の1万年間で、二酸化炭素濃度は約180ppmから280ppmへと100ppmほど増加している。また、1900年から2000年までの間で100ppm近く増加している。
→正解は3

●第2問

問1
 大陸棚は、寒冷だった時期に陸になっていた部分。だいたい深さ150mぐらいまで。大陸斜面の傾斜は、大陸棚よりは急だけれども30゜もないことは図から読みとれる。また、等高線の切れ込み具合から、海底谷の深さは数百mあることも読みとれる。
→正解は4
問2
 3の流れを「乱泥流」とか「混濁流」とか「turbidity current」とかいう。
→正解は3
問3
 つまり丸い形に盛り上がったような地形である。そして海溝の向こう側(陸から見て)にある。ということは、プレート移動にのってどんぶらどんぶらやってきた山である。
→正解は1

問4
 セメントの原料といえば石灰岩。
→正解は1
問5
 石灰岩の主成分は炭酸カルシウム(CaCO3)。石灰岩は、炭酸カルシウムを多く含む生物遺骸が集まってできる。放散虫や珪藻は、ケイ酸(SiO2)の殻を持つ生物なので、石灰岩の材料にはならない(これらはチャートの材料になる)。
→正解は4
問6
 御影石はカコウ岩やハンレイ岩などの深成岩である。安山岩は「鉄平石」。
→正解は1

問7
 タルクは、ダイヤモンドと逆にすごく柔らかい鉱物。これは覚えておこう。長石も、そんなに硬い鉱物ではない。「コランダム」は、含まれる不純物によっていろいろな色になり、ルビーとかサファイアとか呼ばれて宝石扱いされている。けっこう硬い。
→正解は3
問8
 炭素といえば「炭(すみ)」だよね。備長炭みたいな。その炭素が、地下深くの高圧の条件下でがっちりガッチリがっちり結びついたのがダイヤモンドだ。とても高価なのは、硬いとか美しいとかの理由のほかに、産地が限られているし、産出量が少ないからという理由もある。
→正解は3 
問9
 通信用光ファイバーはガラスでできている。ガラスの主成分は二酸化珪素(化学式SiO2。ケイ酸ともいう)である。その二酸化珪素の結晶が石英であり、石英の結晶のうち美しいものが水晶と呼ばれて宝石扱いされている。
 なお、1と4は「コランダム」の説明になっている。
→正解は2

●第3問

問1
 赤道座標の基本。
→正解は1
問2
 地球上の緯度・経度と同じだよね。赤緯や緯度は南北(図の上下)方向の位置をあらわし、赤経や経度は東西(図の左右)の位置をあらわす。
 ってゆーか、自分の目で「冬の大三角形」を見たことがある人なら、シリウスがどこに見えるか知ってるよな?
→正解は3
問3
 地平座標は、観測者から見てどっちに見えるか、というあらわしかた。
→正解は1

問4
 沈むとき、弦が上になっているのが上弦、下になっているのが下弦。あるいは、昔は新月を一ヶ月の始まりにしていたわけだが、その場合に月の上旬に見られる半月が上弦、下旬の半月が下弦。
 「月齢」は、地球と月(と太陽)の位置関係をあらわすときに使う言葉。
→正解は2
問5
 天球上での太陽の通り道が黄道で、月の通り道は白道。白道は黄道に対して約5゜傾斜していて、天の赤道とも一致しない。天の北極から見た場合、月は反時計回り(地球の自転と同じ向き)に公転しているので、地球から見た月の位置は西から東へ移動してゆくことになる。
→正解は4
問6
 太陽−月−地球(観測地)の順で一直線に並ぶと日食、太陽−地球−月の順で一直線に並ぶと月食になる。何年前だったか、南極で皆既日食が観測され、テレビで見た覚えがある人も多いはず。
→正解は1

問7
 天の北極・天の南極の周囲をということは、地球の自転に関係ある現象。
→正解は4
問8
 日周運動は地球の自転によっておきる現象だから、地球の自転周期(恒星に対する)にあわせてやればよい。
→正解は2
問9
 この角度は、その場所の北緯と同じになる。たとえば赤道上では0゜(地平線上)、北極では90゜(頭の真上(天頂))。
→正解は2 


●第4問

問1
 石油は4の文章のようにしてできる。普通は有機物は腐って、酸素と水(と、若干のその他の物質)になってしまうんだが、酸欠の条件下で腐るとヘドロになり、さらに何万年も埋まって石油になるわけだ。
 そうしてできた石油というのはいろいろな炭化水素の混合物で、分子量が小さいものは沸点が低いから気体になっている。これが天然ガス。したがって、石油と天然ガスはしばしば一緒に産出する。油は水よりも軽いので地下水の上に浮き、さらにその上に天然ガス、と地下でそのような形になっている。
 石油を「精製する」というのは、沸点の違いを利用して成分ごとに分ける作業。
→正解は4
問2
 表の数値から素直に計算してみればよい。全部計算するのは大変なので、最初と最後と、真ん中へんひとつを大まかに計算してみると、いずれも30年とか40年ぐらいの数字になることがわかるはず。
→正解は2
問3
 グラフを素直に読みとる。
→正解は4

問4
 マグマだまりが冷却するにしたがって順次結晶が生成し、沈殿する(IBで勉強する「結晶分化作用」)。その初期に結晶となって沈殿したものが「正マグマ鉱床」、なかなか結晶に取り込まれなかった元素が末期に結晶になってできるのが「ペグマタイト鉱床」。マグマだまりと接していた周囲の岩石との間で反応がおきてできるのは「接触交代鉱床」。マグマに含まれていた水は、最後まで結晶にならず(当然だよな。水なんだから)、いろいろな物質を溶かし込んだ熱水(ま、いわゆる温泉だな。すごく熱くてすごく濃いぃけど)として、地層や岩石の隙間に入り込んでゆく。やがて温度が下がると溶解度が下がり、「熱水鉱床」ができる。
 「残留鉱床」は「風化残留鉱床」とも呼ぶ。
→正解は5
問5
 鉄やクロムは、初期に結晶となる鉱物に多く含まれる代表的な元素。またニッケルは、鉄の不純物として発見されたという歴史もあるほど、鉄と共存しやすい元素。
→正解は4
問6
 1は縞状鉄鉱床。2はペグマタイト鉱床。4は正マグマ鉱床。
→正解は3

問7
 音波(音)は空気のない宇宙からは届きませんがな。「ひまわり」とか放送衛星なんかは常に同じところに浮かんで見えますな。これは赤道上を、地球の自転と同じ周期で回ってるからだす。一方、南極・北極を通るように回っていると、その中で地球が自転しているので、地球を基準にすれば軌道がどんどんずれてゆくことになり、何周も回るうちに広い範囲が見えるということになりますな。
→正解は3
問8
 人工衛星は、遠心力と地球の重力が釣り合うように飛ぶ必要がある。そのためには約7.9m/秒の速さで飛ぶ必要がある。この速さは、高さによって多少違うが、まあ、大きくは違わない。となると、高いところを飛ぶほど一周の長さが長くなるから時間がかかることになるし、24時間で一周になる高さというのは決まってしまうことになる。
→正解は3
問9
 「可視画像」と書いてあるよね。つまり、白っぽい部分は我々が見ても明るい色をしている部分ということ。3の、温度を測る目的では赤外線を使う。
→正解は4 

●第5問

問1
 火山ガスの成分は、山によって、また噴火の度に多少異なるが、不動の1位は水蒸気、2位は二酸化炭素である。
→正解は1
問2
 液体成分があふれ出して流れる活動。
→正解は3
問3
 「粘性が小さい」とはサラサラと流れやすい状態で、「粘性が大きい」とはネトネトしてながれにくい状態。当然、粘性が大きい方が気泡が抜けにくい。黒っぽい岩石になるマグマほど粘性が小さく、白っぽい岩石になるマグマは粘性が大きい。
→正解は3

問4
 bのようなプレート境界でおきる地震を「海溝巨大地震」または単に「巨大地震」と呼び、cのような陸側のプレート内でおきる地震を「内陸直下型地震」または単に「直下型地震」とよぶ。ここに名前が出ている中では、関東地震、南海地震、宮城県沖地震、十勝沖地震が「海溝巨大地震」、三河地震、濃尾地震、福井地震、兵庫県南部地震が「直下型地震」である。名前から、海溝付近か震源が内陸か、だいたい判断できるわな。
→正解は2
問5
 活断層の活動周期は断層ごとに異なっている。そもそも「活断層」の定義が「第四紀(約180万年前〜)に活動した痕跡があり、今後も活動する可能性がある断層」になっているのは、そのぐらいの間を置いて活動する断層もあるから。
→正解は3
問6
 津波は海底の地形が急激に変化するためにおきるものだから、海溝巨大地震こそ津波の警戒が必要。スマトラ沖地震もそうだった。
 軟弱地盤のところでは、地面がぶよんぶよんと揺れたり、地下水が多い砂地では液状化現象がおきて大きな被害を出すことが多い。
 3も間違いではないんだけどねー。「最も適当な」だと2だろうね。
→正解は2

問7
 二つの高気圧から吹き出す、暖かい風と冷たい風がぶつかるところに梅雨前線ができる。
→正解は1
問8
 前線付近には雲ができる。というか、この雲のせいで天気が悪いのが梅雨。
→正解は3
問9
 梅雨は災害につながることも多いが、この時期の降雨は重要な水資源でもある。台風や雪(雪解け水)も、災害につながることがある反面、重要な水資源でもある。降りすぎても、少なくても困るんである。
 低気圧付近では反時計回りに風が吹く。つまり東側では南からの暖かい風が吹き込み、西側では北からの冷たい風が吹きこんで前線をつくっている。
→正解は2