房総における方形墳の研究

――墳丘企画からみた終末期方墳の様相――

研究をはじめた経緯

 房総は古墳の多い地域である。その中でも、特異な形とされる方墳の数が他の地域に比べて非常に多いのが特徴とされている。そして、その中でも墳丘の一辺が80メートルを誇る古墳時代終末期最大の方墳での成田市の竜角寺岩屋古墳の存在がひときわ光っている。私が、この竜角寺岩屋古墳に巡り会ったのは、今から20年以上前のことである。それ以来、私の心の中にはこの我が国最大の終末期方墳について解明をしてみたいという望みがずっと潜んでいたのである。
 今から
10年前の大学時代に、その解明の試みの第一歩として卒業論文としてまとめた。しかし、自分の努力不足から、単なるレポートとしての提出にとどまった。
 このたび、再びこの研究に取りかかったきっかけは、前方後円墳の設計企画論で著名な椚國男先生の教えを受けるようになってからである。椚先生は昭和
51年に前方後円墳の設計企画論に関する研究で第1回の藤森栄一賞を受賞され、以来現在まで、清新な研究を続けておられます。椚先生の設計企画論は、前方後円墳の主軸の八分比から導き出された方式で、非常に単純明快なものです。ふつう一般の前方後円墳の設計企画は、前方後円墳のみに適用するもので、他の墳形には適用しないものがほとんどです。しかし、椚方式はもともと、古墳時代の竪穴住居の設計企画から導き出されたもので、すなわち方形住居址の設計企画の応用だったのです。……ということは、当然方墳にも応用できるのではないか、という考えが私の頭の中に浮かんできたのです。
 そこで、このたび再び、方墳の研究にもどってきた、というわけなのです。素人の思いつきという非難があるかも知れませんが、暖かい目で見守っていただきますようお願い申し上げます。


研究の目的と方法

 今回の研究の最終目的は、ズバリ、なぜ房総にわが国最大の終末期方墳が築造されたかです。この疑問を解明するために全力を尽くします。

 方法としては、次の順序を計画しています。

1,全国のおもな方墳の実測図を集める。
2,全国のおもな方墳の集成図を作成する。
3,2で集成されたものを使って分布状況を把握する。
4,本論

  その1…前方後円墳の設計企画についての概略を知る。
      (関東前方後円墳研究会シンポの聴講)
  その2…椚方式についての学習
  その3…椚方式の方墳への適応について
       椚方式は方形の設計企画からはじまっているので、適応するものがあるのではないか。
  その4…椚方式以外に適応するものはないか
       現状では10種類以上の設計企画論がある。
       現状で方墳に適用出来る設計企画はないか。 
  その5…前方後円墳と方墳の設計企画の相違について
       前方後円墳の設計企画がそのまま方墳にも適用することが出来るのか。
  その6…尺度の問題について
       適応する尺度について
       度量衡の研究の状況
       尺度を求める研究(西村淳氏の研究の学習と検討)
  その7…実際の設計における精度と施工の問題について
  その8…棋盤を用いた正方形方眼研究について
       考古学上の出土品に棋盤はあるか。
       伝世品についてはあるか。 


5,設計企画から導き出された終末期方墳の様相についての考察
  
その1分布状況から推理する。
  その2…設計企画の共通性と大王権の関係。
  その3…蘇我氏の東国支配の状況と方墳。

 

 予定期間は1年を予定しています。


お願い

 大変厚かましいお願いなのですか、私のこの研究に対する興味のある方のメールをお待ちしております。また、前方後円墳に限らず、あらゆる古墳の設計企画に興味をお持ちの方、設計企画を研究するのにパソコンをうまく利用する方法などをご存じの方はお知らせいただければ幸いです。
 また、方墳の詳細な実測図をお持ちの方、または図面の入手方法について詳しい方もお待ちしております。

 連絡先 ロクジ(RXE12761@nifty.ne.jp) 


研究の進捗状況のご報告

方墳研究史

 


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