試 乗 記 録 (特別編) 21世紀「大乗り鉄ツアー」
取材期間 2000年12月31日(日)〜2001年1月4日(木)
Pege 9 4日目(その1)
さて、大晦日から続いたこの乗り鉄ツアーも、いよいよ今日が最終日となった。 今日は、上野から乗った山手線
から降りた、ここ新宿から旅が始まる・・・。 朝6時台の新宿駅は、今日から仕事始めの会社もある事から、普段
の様に通勤客がいるかと思ったら、そういった姿は殆ど見られなかった。 まあ4〜5日を挟んで、6〜8日と連休に
なるので、8連休を楽しむ方も多いのではなかろうか?
新宿駅で発車を待つ 国鉄色「あずさ81号」 |
そんな休日の様な新宿駅の中央線特急ホームに上がってみる。 この中央線特急ホームである5番・6番線に
は、7:00発のE351系「スーパーあずさ1号」が既に入線を済ましていた。 一方その隣りの5番線には、その続
行で運転される臨時特急「あずさ81号」が、懐かしい国鉄特急色を纏って停車していた。
何故、国鉄色の「あずさ」が登場したのか? それは現在「スーパーあずさ」に充当されるE351系が、工場に入
場している関係で、一部運用が183・189系の代走となっているが、これに伴い長野・松本所内では、臨時枠の充
当車両が不足気味となっている。 この為急遽、同じ183系を運用している幕張電車区より、車両を充当してこれ
に当てる事になった。 その為、懐かしの国鉄色「あずさ」が、新世紀の新宿駅に顔を見せる事になったのである。
なお、普段は房総特急を中心に運用している幕張電車区の183系であるが、去る12月改正にてグリーン車の連
結が中止された事もあり、今回の臨時「あずさ」運用で、一時的にグリーン車が復活する点も見逃せない。 今回の
試乗ではちょっと奮発して、このグリーン車に乗車して信州松本を、目指したいと思う。
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(左) グリーン車 サロ183形の車内 (右) 「特急あずさ 松本」 を表示した方向幕 |
朝の新宿駅特急ホームを埋め尽くすE351系と183系。 この二つの特急車の並びは、何かミスマッチな気もす
るが、意外にも自然と両者は並んでいた。 そんなホームで撮影を行っていると、つい最近、見掛けた方がいる事
に気付いた。 1月1日の夜に、大阪駅で一緒に写真を撮った方であった。 偶然とはいえ、こんな所での再会とな
った。 しかし我々の趣味では、こういった機会に何度も同じ方と、お会いする事が多い様に思われる。 やはり基
本行動パターンや、撮りたい物が一緒(逆に言うと限られている)だったりするのでは? と考えてしまった・・・。
結局、その方と世話話をしているうちに、発車時刻が迫ってきたので別れの挨拶をしてから、車中の人となった。
発車は「スーパーあずさ1号」が出て行った2分後の7:02で、定時発車となった。 発車するとすぐに「鉄道唱歌」
のオルゴールが流れ、車内放送が始まった。 まさに雰囲気抜群である。 さて中野付近を通過すると、いよいよ日
本2位の長さを誇る直線区間へと足を進めていく・・・。
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(左) 早朝の都内を走り抜け、 信州を目指す・・・ (右) 初狩付近の車窓 |
今日は6号車に連結されたグリーン車、サロ183−3に乗車しているが、今回の旅では最終日になって一番豪華
な座席に座る事が出来たようである。 ピンク系の色合いの座席は、色合いこそは軽薄であるが、座ってみると
その風格が伝わり充実感がある。 勿論、乗り心地と言う点では昨今の新車の座席や、グレードアップ改造された
在来車に叶わないが、このじっくりとしたシートは、国鉄時代生まれの味を色濃く残している。 こんなグリーン車に
は私を含め、2名しか乗車していなかった。
車内改札が終わった直後に、車内販売がやって来たので早速サンドウイッチを調達して、朝食にした。 そんな
事をしている内に、列車は立川に到着していた。 立川を出ると多摩川の橋梁を渡り切り、しばらく走ると八王子に
到着した。 この両駅でも、目立った乗客の変動は見られなかった。 さて、八王子を発車し高尾を過ぎると、いよ
いよ中央東線らしい山岳線区に突入である。
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この辺で車内を回ってみた。 当列車は「スーパーあずさ」の続行で走る臨時列車であるが、思った程乗車率が
無く、各社とも5人前後の乗車率で閑散としていた。 しかしこの列車は、喫煙車両が自由・指定席車とも1両分し
かない為、喫煙車両のみ乗車率が高くなっていた様である。 (と言っても、10名強しか乗車していなかった。)
また乗客の変動も殆ど無く、新宿から信州方面への直通客が殆どであった様に見受けられる。
ところで列車は、小仏峠を越えて神奈川県内に入ってきた。 車窓には相模川(桂川)に沿う様になり、いよいよ
車窓に変化が見られる様になってきた。 そして上野原付近で山梨県内に足を踏み入れ、さらに列車は進んでい
た。 さて、撮影名所ともなっている鳥沢〜猿橋間に掛かる「新桂川橋梁」を渡りきると、いよいよ大月が近くなる。
やはり今日も、この地点には多くのファンが詰め掛けていた。
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河口湖方面への富士急行が分岐する大月駅には8:02分の到着で、新宿発車から丁度一時間で到着した。 大
月駅を出ると今度は、笹子峠を目指して急勾配をまた登る旅となる・・・。 この付近は、スイッチバック式の駅が連
続する急峻な道であったが、昭和40年代までには、普通列車の電車化と共にその殆どが改良されている。 現在
でも貨物列車の発着の関係で、初狩駅のスイッチバックが残っているものの、他の駅では、保線用の機材置き場
に化けている以外は、殆ど面影が見られなくなっている。
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さて列車は、笹子〜甲斐大和間の笹子峠を 貫通する「笹子トンネル」に吸い込まれていた。 笹子トンネルは、明治時代からあるトンネルで あるが、建設当時は日本でも有数の長大トンネ ルであった。 こんな笹子トンネルを抜けしばらく走り、勝沼 ぶどう郷駅を過ぎた辺りからは、車窓に雄大な 甲府盆地が広がってきた・・・。 |
さてこの付近からの中央本線は甲州街道から一旦離れ、塩山方面に進む訳である。 今日の甲府盆地は天候が
よく、雄大な風景を横目にしばらく走ると、やがて甲府の市街地が近づいてきた。 甲府到着は8:34分である。
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(左) 小淵沢に到着 小海線のキハ110が 停車していた (右) 信濃境〜富士見間の 旧線が車窓から見えた |
この甲府は、しばらく停車の後出発した。 次の停車駅の韮崎までは、比較的平坦な甲府盆地を疾走し、約10分
程で到着した。 さてこの先は、長野県の富士見付近まで、25‰の急勾配を一気に登って行く事になる訳で、いよ
いよ中央東線のハイライトと言った区間に突入である。 この韮崎駅からは殆どの駅が、元来スイッチバック式の
駅構造をしていた駅で、この線区の路線の厳しさを物語っている。 さてこの付近からは、比較的撮影名所と言える
区間が続くので、沿線ではファンの姿も見られる様になってきた。 やがて、車窓に八ヶ岳が見える様になると、
小淵沢に到着である。 小淵沢では、清里方面に向かう小海線のキハ110系が発車を待っていた。
さて小淵沢は9:07分の発車であるが、ここまでは定刻通りの順調な旅が続いていた。 小淵沢から先は長野県
内に入ると共に、JRの支社区分も長野支社管内へと変わる事となる。 長野県内に入ると、若干雲行きが怪しくな
り、やがてサミットである富士見を越える頃には、どんよりとした曇り空に変化していた。 さて富士見付近を通過す
ると、いよいよ諏訪盆地が近くなってきた。
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(左) 下諏訪駅に停車中の 「あずさ81号」 (右) 下諏訪で国鉄色183系と 115系信州色が並んだ |
諏訪盆地に下りて来た「あずさ81号」は、9:20分に茅野駅へ到着していた。 ここから岡谷までは、各駅に停車
していく事になる。 その後上諏訪駅に停車したのち、下諏訪駅で上り普通及び「あずさ56号」と待ち合わせの為、
7分間停車する事になった。 中央東線もこの辺りでは、単線運転を余儀なくされている訳である。 さて下諏訪駅
に停車している間に、車内から出て編成写真を撮ってみる事にした。 この駅には10名程のファンが詰め掛けてい
た。 さて最初に115系の普通列車が到着し、次いで183系「あずさ56号」が通過すると、いよいよこちらも発車
時刻となる。 下諏訪駅発は9:37分であった。
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(左) 岡谷に到着 「浪漫」と並んだ (右) 岡谷付近の車窓から 眺める諏訪湖 |
次の停車駅は岡谷である。 この区間は少し市街地から離れるので、諏訪湖の湖面が車窓からも楽しめる地点
もある。 また、この付近でも撮影に興じるファンの姿が多数あった。 岡谷は9:41分の到着で、約1分の停車であ
る。 ここでは、本日運転される「初詣21世紀浪漫号」に使用される、14系お座敷客車「浪漫」の姿も見えた。
さて岡谷からは、塩嶺トンネルを介する新線区間に入るが、さすがに短絡線として建設された区間なので、非常
に快調な足取りで塩嶺トンネルを抜け出て、松本盆地に足を進めてきた・・・。 やがて左手の山肌に沿って降りて
来る旧線と合流すると、もともとの塩尻駅のあった塩尻大門付近である。 ここを通過し、大きく右手にカーブする
と、塩尻駅に到着となる。 塩尻では2番線の到着で少々停車するが、隣りの3番ホームには辰野周りの旧線区間
で運用されている、クモハ123系が丁度停車していた。 もちろん私は停車時間を利用して、並びを撮影してみた。
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(左) 塩尻では「ミニエコー」 ことクモハ123−1と 並んだ (右) 終着松本に到着 |
塩尻には約4分停車し、9:55分に発車となる。 丁度塩尻駅の出た先で、この後のオフ会をご一緒するメンバー
が撮影されていると言う事で、ちょっと車窓に目を凝らしてみた。 案の定、塩尻駅の構内の先で撮影している一団
を発見。 お互いに手を振り合って、その場は一旦お別れとなった。 塩尻の次は終点の松本である。
この付近はかなり線路状態が宜しいので、183系も全速力で松本を目指し走り抜けていった。 やがて、EF64
に牽かれた貨物列車がたむろする南松本駅を過ぎると、もう松本は目の前である・・・。 ここで新宿以来の「鉄道
唱歌」のオルゴールが流れ、いよいよ松本駅への到着を告げる放送が始まっていた。
松本に到着 DD16−301との並び |
10:04分。 定刻通り国鉄色の183系「あずさ81号」が、松本駅3番線に到着した。 短い間であったが、快適な
クリーン車の旅が楽しめた様である。 さて車内からホームに降りてみると、隣りの4番線には大糸線方面の除雪
を終えたDD16−301が、ゆっくりと入線して来た。 ここでも意外な並びを目にする事が出来、本当に嬉しい思い
をしたものである。 さて、このDD16−301を撮っている最中に、突然塩尻在住のK氏が現れたが、これにはか
なり驚いた。 そんなK氏と世話話をしながら撮影を行ったのち、K氏と分かれて本日のオフ会参加のメンバーと、
合流する事になった。 本日はこの後、本日運転される「初詣21世紀浪漫号」の乗車オフ会となるのである。
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(左) 塩尻を出るEF64 牽引の貨物列車 (右) 松本運転所から 出てきた183系電車 |
さてここで、一緒に「臨時大垣夜行」で年越しをしたS氏と再会したのだが、同じ旅の中で2度も会うとは、非常に
可笑しい感じがした。(苦笑) 他にもSA氏、I氏、T氏がご一緒しており、ここで総勢5名の集団となった。 この後
は松本運転所付近や、南松本・塩尻付近で撮影を行った後、食事を済ませて松本駅へと戻った。