CMLとは
CMLとは、Coupled Map Lattice の略で、結合写像格子のことです。
カオスの振る舞いを示す非線形関数(カオス要素)を多数並べ、
自分と隣接する要素と相互作用を行わせることによって状態を遷移していくモデルです。
何をつなぐのか
要素としてカオスを生み出すような非線形関数を用意する。
具体的にはロジスティック写像などが用いられている。ここでは
を使いこのような要素をいくつも並べていく。これらの要素が、
CMLではセル・オートマトンのように局所的な相互作用を行う。
次に
適当な初期値を代入(ロジスティック写像を参照)すればカオスが発生する。
CMLでは要素の出力結果を再代入する際に、隣り合う要素の値と自分自身の出力を比重計算し代入する。
比重計算
全体を100%とした割合を重みとしてかける。
たとえば、 (0.8 × A) + (0.1 × B) + (0.1 × C) = .......... というような計算です。
CMLでは結合係数 ε(イプシロン) をもちいて、自分自身の値が (1 - ε),
左右の値がそれぞれ ε/ 2 の割合で再代入されます。
以上より ε の値は、0から1の間の値をとることがわかるでしょう。
CMLの数式
結果
非線形性を表す a と要素どうしの結合係数 ε をコントロールパラメータとして操作し、
それぞれの分類を見ると
非線形性と結合係数が低いうちは、カオス要素は固定された適当なかたまりをつくって振動しています。
非線形性が高まるにつれて、そのようなかたまりは流動的で不安定なものになり、
大きさが変化したり分裂するなどして全体が安定な状態に落ち着こうとします。
さらに、非線形性と結合係数をともに高めていくと、
ある周期振動を持つかたまりと違う位相を持つかたまりと違う位相を持つかたまりの協会では、
不整合により自発的にカオス的な振る舞いが発生します。
これを「欠陥乱流」といいます。
欠陥乱流はネットワーク内を不規則に移動し、他の欠陥乱流と衝突すると消滅するといった特性を持ちます。
そのためネットワークの不安定性が高く、欠陥乱流が多く発生するような状況でも、
ただネットワークが乱れたままなのではなく、それらの乱れた状態がお互いにうち消しあうなどして、
全体としての秩序状態と乱れた状態が行き来するような状態になります。
さらに非線形性を高めると、ネットワークは空間的にも時間的にも、秩序と乱れた状態とを行き来するようになります。
このような状態を「時空間欠性」とよびます。
このように、同じ非線形関数から構成されるネットワークでも、
パラメータの操作により、様々な振る舞いを示すことがわかります。