はじめに
この文書は、T・Sさん制作のシミュレーションRPG「魔法少女」の感想です。ネタバレになりそうな記述は避けているので、未プレイの方が読んでも問題はありません。……たぶん。
感想
生々しくダークなシナリオと、それを支えるキャラクターの個性が魅力的な作品。ほのぼのとした、あるいはコミカルな日常パートでなごんでいたら、急転直下の陰惨な出来事でぼろぼろになる主人公たちの姿を見せつけられ、そこから這い上がって希望が見えてきたかと思えば再び……というスパイラルがえぐいです。だがそれがいい。終盤まで閉塞感のある状況が続くだけに、クライマックスの熱い展開は爽快でした。
登場人物の数が相当な数に達するにもかかわらず、印象の薄いキャラクターがほとんどいないのは見事。加入時期が遅い仲間でも、日常パートで意外な一面が見えたりしてなんだかんだで愛着が湧きます。まあ登場人物に愛着が湧くほど鬱パートでどん底に叩きこまれるわけですが。
特に主人公の霧島千代子さんはひどい目に遭う機会も多く、また、かなり人格がぶっとんでいます。仲間の一人が評するとおり「ヒーロー気質」で、我が身を省みないこと甚だしく、必要と思えばなにを犠牲にしてでも行動し、日常生活では家事を除いて壊滅的なポンコツなのに、危機的状況では誰よりも勇猛果敢、という平和な世界にはまったく居場所がなさそうな人物です。ええ、私は大好きですけどね。
戦闘パートは時間こそかかるものの詰まることはなかったので、難易度は低い部類かと思います。制作ツールの古さに起因する不便さはありますが、わりとすぐに慣れました。私はシミュレーションRPG自体ほとんどやったことがないため、比較対象が乏しくてあまり不満を感じずに済んだ感じです。
最後に、細かい部分も含めて気になった点を挙げておきます。
- ときおり文の構成がおかしくて引っかかる。
- 行末の句点がたびたび省かれているため、前後の行を確認しないと文が続いているのか終わっているのか判断できず、戸惑う部分が少なからずあった。
「魔法少女」の基本データ
- タイトル
- 魔法少女
- 対応OS
- Windows 95/98/98SE/Me/2000/XP
- ジャンル
- シミュレーション・ロールプレイング
- 価格
- 無料
- ファイルサイズ(展開前)
- 23,895,471 Bytes
- 制作
- T・S
- 公式サイト
- http://space.geocities.jp/soukobankayamatu/maho.html
- 制作ツール
- シミュレーションRPGツクール95
- ダウンロード
- http://www.freem.ne.jp/win/game/4352