-
-
せいひん
マイコン(マイクロコンピュータ)を作っても売れません。新しい製品なので、だぁれも使い方をしらないのです。
まず、使い方をしってもらうために『トレーニング・キット』と言う物を作りました。
1973年ころのコンピュータはとても高くて1台が3億円もしました。
だから、コンピュータを買える人は少なかったのです。
でもマイコンはとても安くて1000円くらいで買えました。これなら誰でも買えるよね。コンピュータはとても便利なので、色々なことにマイコンを使ってもらいたかったのです。
『トレーニング・キット』(TK−80)は、たくさん売れました。
とても安かったからです。
大きなコンピュータは3億円なのにトレーニング・キットは3万円だからね。
勉強用として作ったんだけど、ちゃんとコンピュータとして使えるので、勉強したら、そのまま、ふつうにコンピュータとして使ってしまう人がたくさんいたのです。
勉強用として作ったのに、勉強ではなくて普通に使っちゃうんだよね。
-
-
たくさん売れると、こわれてしまう物もたくさんありました。だって、もともと勉強のために作ったのに、じっさいに使われてしまったのです。
勉強している時は、自分の机の上などで使っているので気温は20℃ていどです。
でも、じっさいに使われてしまうと、人がいないところでも動かすのです。
工場のなかや、人が帰ったあとの工場のせいぎょなどに使っているのです。
こうなると、人が帰ったあと、暖房が切れて気温がさがったり、夏はれいぼうが切れて温度があたったりします。
そうちは、ちゃんと箱に入っていますよね? そうちの箱の中は、温度があがります。だから、勉強のための使い方とは、ぜんぜんちがうんです。
こわれた物を修理する場所が必要になりました。また、もともとトレーニング・キットなので、色々な事を聞きに来る人がたくさんいます。そう言う人たちとお話をする場所をJRの『秋葉原』と言う駅の前に作りました。
ここを『ビットイン』と言う名前にしました。
-
-
『トレーニング・キット』が、あまりにもたくさん売れるので、これを箱に入れてパソコンと言う名前にしました。『PC−8001』と言う名前です。この『80』と言うのはマイコンが8ビットだからです。このあと8002,8003と、色々作ろうとおもってとりあえず『8001』と言う番号にしたのです。
さいしょの『PC』は『パソコン』(パーソナル・コンピュータ)の頭文字をとりました。あんいな名前のつけ方でしょ?
PC−8001も、どんどん売れました。
私たち、半導体をやっている人がパソコンを売ったので、とてもいそがしくなりました。ですからソフト(ソフトウエア)を作っている時間がなかったのです。そこでプログラムは他の会社に作ってもらったのです。
いま、世の中で良く知られている『マイクロソフト』と言う会社が作った『MS−DOS』や『BASIC』と言うソフトなどを使うことにしたのです。
この後『一太郎』と言うソフトを作ったジャストと言う会社のプログラムも使いました。