■王都炎上 ▲▼■
田中芳樹/角川文庫
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群像劇は、田中さんの十八番ではないかと思います。メインの登場人物がそれぞれに個性的で、それぞれに影響力があるのは読んでて楽しいものです。王子アルスラーンが出生の秘密を抱えながらも、王とは何であるのかを問い掛ける姿は、作者の姿勢のようです。王権と、政治と、民衆と。なかなかに答えのでない問題だと思います。そんな中で、アルスラーンの出会った敵国の騎士見習いエステルの存在は貴重に思いました。「私は、お前の正体を知っているんだからな!」正体不明の自分自身と向かいあわねばならないときに、これほど力づけられる言葉があるでしょうか。少年の背中を押すのは少女なのかもしれません。アルスラーン戦記は、やはりアルスラーンの成長物語だと思うのです。
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