■ BOOK REVUE vol.3 ■
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■薔薇の埋葬 ▲▼
橘香いくの/コバルト文庫
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有閑探偵コラリー&フェリックスのシリーズ一作目。元気が良くて人情家のコラリーと彼女をキープするためならどんな極悪な手段も平気のへっちゃらな、顔は良いけど口は悪い(正直者ともいう)フェリックスの物語。どっか十八世紀か十九世紀の面影をのこす異世界が舞台です。やはり二人の掛け合い漫才が面白いです。[TOP/Contents]

 



■ふたりで泥棒を ▲▼
橘香いくの/コバルト文庫
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有閑探偵コラリー&フェリックス第七弾!…紹介さぼってますが、2〜6も愛読させて貰ってます♪相変わらずお人好し全開のコラリーが好きです。一筋なフェリックスもいい。今回は、怪盗が逮捕されたりして登場が制限されたためか、二人の仲が接近中です♪がんばれフェリックス。コラリーを逃すと、君に後はないぞ!としみじみ実感した巻でもありました(笑) [TOP/Contents]

 



■マスカレードの長い夜 ▲▼
吉田縁/コバルト文庫
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中世のようなムードをもつ異世界が舞台のロマンス。至高神の絵を描くために声を捧げ沈黙を続ける少女に、一人の学生が恋をする。少女もまた、学生を忘れられなかった。彼女は貧しいながらも「聖の花嫁」と街の人々から呼ばれていた。ほおっておけば消えてしまいそうな、かすかな二人の想いは「俗の花嫁」と呼ばれる高級娼婦の思惑が絡んだことで意外な展開を迎えることに…!正統派のロマンスです♪ハッピーエンドなのがよかった!
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■マリア―ブランデンブルグの真珠 ▲▼
榛名しおり/ホワイトハート文庫
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17世紀、戦乱のドイツを舞台に愛と生きる道をさがす少女マリア。彼女は宰相の庶子として生をうけたが、城主の娘の身代わりとなって落城する城にとどまる。そうして若き選定候にその身を委ねることに…。で、ドラマティックなロマンスが展開されるわけです。わりと作者の方がヒロインに容赦ないので(次々に襲いかかる苦難!というヤツ)、なかなか楽しいです。歴史が背景なだけにがんがん人も死にますしね。甘さを主役の二人に絞ってあるのが良かった。その分、二人はゲロ甘だしー♪
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■魔性の子 ▲▼
小野不由美/新潮文庫
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「自分とは違う存在」に子供は正直に拒否を示します。正直すぎて残酷なほどに。高里少年は、平凡な存在のはずなのに周囲から拒否され、拒否されたことで彼の周りには殺人がおき…最終的に、彼はあるべき世界へと戻ります。幸せな事だと思いました。あるべき世界に戻りたくない存在から見るならば。誰しもが、あるべき世界に戻れるわけではなくて「自分は特別だ」「拒否されたくない」などのアンビバレンツを抱えて、人生は続くのかもしれません。 [TOP/Contents]

 



■月の影 影の海 ▲▼
小野不由美/講談社ホワイトハート文庫
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十二国記の第一巻です。泥沼のように暗い上巻をクリアすると下巻の爽快な気分を味わえるという(笑)主人公陽子の成長物語です。流されるままに自我を持たなかった陽子が、流されていった異界で自我を確立するのです。かっこよく成長する陽子が頼もしいです♪でもこの話が世にでれたのは、ホワイトハート文庫が新創刊されたばっかりだったからじゃないかな…という気もします。少女小説の枠から、かなり外れてますしね(笑)そのおかげというかメインターゲット以外の読者層でブレイクしたような気が。んで逆輸入されたような…もしそうだったら、引き金は挿し絵の山田さんかな?…年齢、上の人にファンが多いから。かくいう私も最初は「あ、山田さんだ」と思って手にとりました(笑)ミーハーなんです(笑)
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■悪夢の棲む家 ▲▼
小野不由美/講談社社ホワイトハート文庫
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幽霊がざわめく家は、殺戮の悪夢の夜に閉ざされていた!ゴースト・ハンターものです。怖かったです。日本家屋にでる幽霊は、なんであんなに怖いのでしょうか。この本以前にも「悪霊シリーズ」が出てますのでオススメです♪ティーンズハートで一人称だしと侮ってはいけません。読み応えバッチシです。ただ悪夢にもいろいろあって、自分が殺される以上に忘れられないこと、忘れられない悪夢の存在が、ラストに胸をうちます。ホロリときました。[TOP/Contents]

 



■氷結の魂 ▲▼
菅浩江/トクマノベルズ
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本格派ファンタジーです。氷の魔王グラーダスに囚われた花の都の王女ガレイラを救うため、泉の国の王子ゼスは旅立ちます。陳腐に思いますか?でもそうじゃないんです。ゼスの旅は冷たい風と雪と氷に覆われ苦難に満ち、そこで彼は、ひかれ逢う恋人と、かなわない恋と、かなわない友情によって成長していくんですね。ヒロインのガレイラもちゃんと成長してるし♪主役以外のキャラも感情移入がしやすいように描写してあって、深みがあります。そうして怒涛のラストシーンは、和製ファンタジーならではだと思います。人と神の関係が鮮やかで、感動しました。
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■美獣 ▲▼
高千穂遙/集英社文庫
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記憶を失い、荒野をさ迷うハリィデール。その身体は筋肉の鎧に覆われ、その手には主神オーディンより与えられしグングニール槍をもつ…美しき獣。北欧神話を舞台にした、正統派ヒロイック・ファンタジーです。とにかくハリィデールが強い!むちゃくちゃ強い!まさしくヒーローにして、進むことだけを思い、うじうじと悩まない!ハリィデールの目的は、自分の正体を知ることなんですが、かかってくる火の粉は打ち払うので、ひたすら戦うのです。神槍を振り回し、魔剣を奮い、素手で狼の首をねじ切る…それだけか、言われたらそれだけなのですが(笑)それだけに徹しているので、気分がすかっとします♪ [TOP/Contents]

 



■石の剣 ▲▼
久美沙織/新潮文庫
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ソーントーンサイクルの一作目。魔女見習いだったジリオンは旅の王子ユルスュールに守り石であるサイトシリンを奪われ、魔女の里から放り出されてしまいます。戻るためにユルスュールを追うのですが、結局、旅の道連れとなってしまいます。同行するのはユルスュールと白馬にされた姫グヴェンドリン。立ちふさがるのは魔王、ソーマの女王ゾヘニア、青狼ゴチェイ。ユルスュールの旅を傍らで見守ることによって、ジリオンは少女から女へと成長していくのです。面白いなと思ったのは、この巻ではユルスュールに振り回されていたジリオンが続刊では反対に振り回してるんですねー。いやー女は怖いです(笑)[TOP/Contents]

 



■薔薇の剣 ▲▼
ゆうきりん/コバルト文庫
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美麗な表紙に騙されると、痛い目をみます(笑)内容的にかなり重い作品です。戦争の描写もすごいですしね…植民地戦争はえげつないです。しかし、この話の一番凄いところは主人公が情けないトコロでしょう!白薔薇の騎士スターリングの情けなさは他に類をみません。赤薔薇の騎士クラウスはカッコイイんですけどね?(笑)そんな親友対決という美味しい設定の割に、BLの匂いがほとんどしないのは作者が男性だからなのでしょう。この話をよんで悩めるヒーローは男性が書くにかぎるな、とか思いました(笑)情けないのと、女々しいのはやっぱり違いますね♪ [TOP/Contents]

 



■機械じかけの神々 ▲▼
五代ゆう/富士見ファンタジア文庫
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本当の勇気とは世界をありのままに見つめ、それを愛すること…とはいうものの、難しいことだと思います。ありのままの世界って、あまり楽しいものじゃありませんからね(笑)だからこその勇気なのかも。異端の容姿をもつ少年スノウの旅は、正しくありのままの自分を見出すための旅でした。異端であること、孤独であること。それをどんな風に癒すのかは、人それぞれなのだ思います。でも最後に自分を癒せるのは、自分だけなのかも知れません。自分自身を受け入れることでスノウは成長します。旅の終わりに、彼は本当の勇気を見出したのでしょう。 [TOP/Contents]