■ BOOK REVUE vol.2 ■
[Contents/vol.4/vol.3/vol.2/vol.1]


■サラマンダー殲滅 ▲▼
梶尾真治/ソノラマ文庫NEXT
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家族をテロリストに殺され、生きることを放棄した娘を「生かす」ために溺愛する父親が人工的に「復讐の戦士」をつくりあげる…なんだか殺伐とした話ですが、内容はさらに殺伐としてます。女戦士もテロリストも半端じゃない迫力です。しかし、同時に流れる物語は、甘くせつない「純愛」なのです。戦いの中、見つめることしかできない想い…!究極の状況でしか、究極の想いは生まれないのかもしれません。 [TOP/Contents]

 



■ソリトンの悪魔 ▲▼
梅原克文/ソノラマ文庫NEXT
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現在は梅原さんはSF作家と呼ばれたくないそうですが、この話はSFです。海洋アクションでもあります。海に生きる未確認のソリトン生命体とのファーストコンタクトの物語です。ただ、ちょっとひっかかったのは同時に展開する離婚騒動の顛末…旦那も問題だけど、嫁さんも何だかなー…。 [TOP/Contents]

 


■ライト・ジーンの遺産 ▲▼
神林長平/ソノラマ文庫NEXT
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未来SFハードボイルド。飲んだくれの人造人間が、飲み代を稼ぐために人工臓器がおこす事件にかかわりあいになります。突然、臓器だけが死んでいくという世界設定は、ちょっとこわいものです。それでも人間はしぶとく図太く生きてますが、人造人間のほうが繊細に生きてる感があります。
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■星虫 ▲▼
岩本隆雄/ソノラマ文庫
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未来のノスタルジィ。ジュブナイルという本気が感じられます。ヒロインが優等生っぽくもありますが、人間にはりつく「星虫」というアイデアが秀逸。自分も星虫を育ててみたくなります…かなり危険ですが(笑) [TOP/Contents]

 



■星のパイロット ▲▼
笹原裕一/ソノラマ文庫
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地味な話なのですが、すてきれないものがあります。新米女性パイロットがシャトルパイロットになるお話。とにかく周辺描写が詳しく、もう好きでなければ描写できないって感じです。趣味への愛情にあふれた物語です。 [TOP/Contents]

 



■エイリアン刑事 ▲▼
大原まり子/ソノラマ文庫
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大原まりこのSFは古びない感があります。現実がおいつけないイマジネーションがあるのかもしれません。しかもこの話は、小難しい理屈はいらないアクション映画感覚です。人間刑事とエイリアン刑事のバディ・ムービー。とくにエイリアンが人間の振りをする描写にわくわくします。[TOP/Contents]

 



■獅子と薔薇の銀河 ▲▼
水沢蝶児/ソノラマ文庫
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じつは絶版なのです…しかも未完のまま終わったという…。でも自分的にこの話は好きなのです。似たような設定のSFを見たことがありません。人類がワープ技術を手にいれたのは、眠りつづける赤ん坊(新人類)の超能力で、彼らを導く先行種は女人禁制。その種族的タブーを破って生まれた少女は、眠る赤ん坊(新人類)を導く人類が求めてきた存在なのか…?という設定が好きなのです。もう片方の独立戦争はイマイチなのですが…。 [TOP/Contents]

 



■鉄の由来 ▲▼
吉岡平/ソノラマ文庫
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吉岡さんに、こういう物語がかけるとは意外でした。意志ある隕石がみた歴史の物語。語り手が「鉄」な訳です。鉄の語る連作短編集。味わい深いものがあります。[TOP/Contents]

 



■リバティ・ランドの鐘 ▲▼
秋山完/ソノラマ文庫
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泣けます。もう涙なくして読めません。人間とロボットの決して交われない意識をこれまでか!というほど描写してあって、ぐっときます。また遊園地にたいする憧れを、あざやかに満足させてくれます。ロボットは人間を守るために存在し、無私の奉仕と究極の自己犠牲をみせてくれます…人間が負うには耐え切れないほどの。彼らは人間ではない、もっと聖なる何かかもしれないと思いました。
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■クロノス・ジョウンターの伝説 ▲▼
梶尾真治/ソノラマ文庫NEXT
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純愛の物語です。一歩間違えれば、ストーカーに近い(笑)しかし時間SFには恋愛が相性いいです。過ぎ去っていく時のせつなさ故でしょうか。小道具としての「銀のカエル」が印象的です。美しい物語は、饒舌に語りすぎない余韻があってこそ美しいんだなぁということを、再確認させてもらいました。
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■悪魔と詐欺師 ▲▼
高里椎奈/講談社ノベルズ
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薬屋探偵妖綺談の第三弾。短編連作が、実は…というオーソドックスな形式。しかし、つながりが不鮮明に感じるので、私的にマイナス。薬屋の周りの人々の描写が良かったです。がんばれ、リベザル!秋は…うーん、なんというか作為的に胡散臭いのがなぁ…今一つ好きになれません。[TOP/Contents]

 



■黄色い目をした猫の幸せ ▲▼
高里椎奈/講談社ノベルズ
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薬屋探偵妖綺談の二冊目。一冊目よりも面白くなってて一安心。猟奇殺人と散らばる花々に、作者が女性なのだとしみじみ感じました。どっちも残酷な印象があります。妖怪三人組の個性らしきものが、出始めてます。個人的にリベザルとザキが好きかなぁ。秋はいまいち好みじゃないのです。
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■銀の檻を溶かして ▲▼
高里椎奈/講談社ノベルズ
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妖怪三人組みが経営する薬屋。そこに事件が持ち込まれ、彼らが解決を担当することになる…お話。妖魔夜行にイメージが似ています。あとコバルトとか、ファンタジア文庫とかそっち系です。でも講談社ノベルズ。なんか、こう、奇妙な印象があります。
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■星界の紋章 ▲▼
森岡浩之/ハヤカワ文庫JA
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アーヴの設定がいい。空間種族である必然性と異種族性がはっきりしていてわかりやすいです。それがゆえに翻弄される主人公に共感できますしね。しかし主役ジントは不幸の嵐。なまじっか姫君ラフィールが魅力的なばっかりに…。[TOP/Contents]

 



■敵は海賊・海賊版 ▲▼
神林長平/ハヤカワ文庫JA
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海賊と海賊課刑事の戦い!…とゆー展開はおいといて。やはりこのシリーズはアプロでしょう。黒猫型宇宙人、歩く非常識、無限の胃袋、必殺技は感情凍結!それでもナンセンスにならないSF設定がスゴイです。
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■邪神帝国 ▲▼
朝松健/ハヤカワ文庫JA
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邪悪なるクトゥルフと、邪悪なナチスドイツ第三帝国の物語です。全編を覆い尽くす闇と、光明の見えないストーリーはクトウルフ神話ならではの者を感じます。それぞれが暗い短編連作は、元気があるとき向けです(笑)バイオリズムが低下してると、外なる神々に連れ去られてしまうかもしれません。
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■無明の闇 ▲▼
椹野道流/講談社ノベルズ
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鬼籍通覧第二弾。大阪府高槻市O医科大学法医学教室を舞台に、展開される物語。運び込まれた死体と解剖と事件。それらにからむ、常識では判断できない、不可解な出来事の数々。物語の死体が平気な方には、オススメです。椹野さんのホワイトハートのシリーズは、ベタベタしてて読めないんですが、こっちのシリーズはドライな感じでGOODでした♪[TOP/Contents]

 



■暁天の星 ▲▼
椹野道流/講談社ノベルズ
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鬼籍通覧一作目。大阪府高槻市O医科大学法医学教室を舞台。事故死した被害者たちには、奇妙な符号があった。法医学教室の面々は首をかしげ、独自に調査をはじめるが…。ミステリーかと思って読み始めると、ラストに不服を感じること間違いなし。[TOP/Contents]