問題行動の原因はさまざまですが、まず第一にチェックしなければならないのはその鳥の健康面です。人間と同様、病気や怪我の時に陽気で愛想よくいられることはできません。
あるアメリカの女性鳥行動学者の話しを紹介します。彼女は家庭のインコの問題行動の相談に乗っているのですが、「まったくなつかないオウムがいて、このままでは手離すほかない。」という相談をある日電話で受けました。彼女は飼い主に、「訪問するまでの間、手に乗せない遊び(「インコと仲良く」の部屋参照)でコミュニケーションをとるように」とアドバイスをして飼い主の家へ向かいました。
問題のオウムのいる部屋にはいると、彼女はそのオウムがとても人間が好きで、飼い主に対してとても好意的な行動をとっていることにすぐ気がつきました。オウムは飼い主を見つめ、言葉を真似し、とても愛くるしい動作をしていました。しかし、ひとたびその身体に触れようとすると、オウムは鳥が変わったように攻撃的になったのです。これではオウムを手に乗せるどころか大怪我をしてしまいます。明らかにそのオウムは肉体的な接触を拒んでいたのです。しばらくの観察の後についに彼女はそのオウムの股関節が脱臼をしていてひどく痛んでいることを発見しました。そのオウムは飼い主をとても愛していました。ただその痛みのために飼い主に触れられてほしくなかったのです。
そのオウムはすぐに獣医師のもとでレントゲン写真などの精密検査を受け、適切な治療を施されました。治療後は飼い主に甘えるとても愛らしい家族になったということです。
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