ギリシャ神話と薔薇 |
薔薇の誕生: |
[アフロディーテの誕生とバラ]
[エロスのこぼした神酒とバラ] [バラになったローダンテ] [クローリスの愛したニンフ] |
薔薇の棘: |
[エロスと蜜蜂]
[ローダンテの誇り] |
薔薇の色: |
[薔薇を赤く染めたアフロディテの悲しみ]
[青い薔薇は何故無い?] |
沈黙の象徴: |
[アフロディテの秘密] |
アフロディーテは、ゼウスと大洋神の娘ディオーネとの間に生まれた(ホメロス)、或いは、クロノスがウラノスの体の一部を切り取って海に投げたときに、その血と海水が交じり合った泡から生まれた(ヘシオドス)ともされています。
何れにしても、アフロディーテは、生まれると西風の神ゼヒュロスによってキプロスまで運ばれました。そこで、アフロディーテは女神たちに飾りたてられオリンポスの神々のところへ連れて行かれたのです。
そのとき、神々は、バラの花を創造し、美の神である彼女の誕生を祝ったとのことです。
又、その他、アフロディーテが泡から生まれたときにバラも一緒に生まれたという話もあります。
アフロディーテの息子エロスがオリンポス山頂での会議にでるため急いでいたときのことです。慌て者のエロスは、何かにつまづいて手に持っていた神酒ネクタルをこぼしてしまいました。
そのときこぼれた神酒がバラになったということです。
コリントという所にローダンテという賢く誇り高い娘がいました。
あるとき、3人の若者に求婚されたローダンテは、誰を選ぶか困り果ててアポロンとアルテミスの神殿に身を隠しました。若者たちが追いかけてきて神殿の中に入ろうとしたとき、彼女は、彼らの前に姿を現して「ここは神殿です。汚してはなりません。すぐに帰ってください。」といいましたが、その姿があまりにも美しく高貴だったので、若者たちは、「ローダンテこそが我々の女神だ。」と叫びながらローダンテをアルテミスの台座に乗せようとしました。
それを、アポロンが見とがめ、アポロンは、ローダンテが自らの意志で台座に上ろうとしていると勘違いして、彼女に向けて太陽の光を放ちました。
たちまち彼女は、バラの木になり、3人の求婚者は、毛虫と蜜蜂と蝶にされてしまったとのことです。
花の女神クローリスは、愛していたニンフが死んだとき、そのニンフを花の女王といわれるような花に変えてくださいとオリンポスの神々に頼みました。
その願いによってニンフは、バラになったとのことです。
そして、そのバラにアフロディーテは美を、西風の神ゼヒュロスは、雲を払い光の祝福を、酒の神デュオニュソスは神酒を注いで香をつけ、3人の優美の女神は、美と優雅と喜びを与え、クローリス自身も花びらに色を与えました。
こうして、バラは、生き生きとして香高い花になったということです。
エロスがバラの花を摘んでいました。、あまりの美しさにバラの花に接吻しようとエロスはバラに顔を近づけたときのこと、バラの中にいた蜜蜂が、エロスの唇を刺したのです。
母親のアフロディーテは、激怒して蜂をたくさん捕らえさせてエロスの弓に数珠つなぎにしました。そして、蜂の針を抜くと、エロスが怪我をしたのはバラのせいだからと茎にそれを植え付けたとのことです。
アポロンの放った光でバラになったローダンテは、美しくも誇り高き娘でした。求婚者を寄せ付けなかったローダンテの誇り高い性格は、バラになっても棘となっているのだそうです。
アフロディーテは、シリアの王子アドニス(アネモネに姿を変えたといわれています。)を愛していました。アドニスは、狩の最中に猪に突かれて命を落としたのですが、旅の途中で彼の悲鳴を聞いたアフロディーテは、急いで彼のところに帰ろうと茨を踏み、鋭い角のある岩をも気にせずに走って行きました。
その途中で白いバラの花を踏みつけてしまいました。白いバラの花は、彼女の足の血で赤くなったということです。
又は、アドニスの死を知った悲しみのあまり、アフロディーテが流した紅涙に白バラが赤く染まったともいわれています。
愛するニンフが死んだとき花の女神クローリスは、オリンポスの神々に願ってそのニンフを花の女王バラにしてもらいました。
そのとき、クローリス自身がバラの花びらに色を与えましたが、青色は、冷たく、死を暗示するということで青いバラだけは、つくりませんでした。
そのために、今でも青いバラが無いのだそうです。
アフロディーテは、鍛冶の神ヘーパイストスと結婚しましたが、たくましい軍神のアレスに惹かれ夫に隠れて密会を重ねていました。
しかし、その現場を息子のエロスに目撃されてしまったのです。噂が広まるのを恐れたアフロディーテは、沈黙の神ハルポクラテスに我が子の口を封じてもらうのです。
アフロディーテは、そのお礼としてハルポクラテスに紅いバラを送りました。
こうして、バラの花が秘密を暗示するものになったとのことです。
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参考文献:八坂書房株ュ行「花とギリシャ神話」(白幡節子著)