AFさんの問題提起 #5

 2001年1月26日にAFさんの提起した問題その5です。
 なおこのHTMLで書いている事は、解釈を進めるための物であって、 回答ではない、と言う事を踏まえておいてください。 AFさんの提起は以下の通り。


<5:誰が聖痕の真実を知り、誰が知らないのか、について。>
これが曖昧なのが問題かな。 PCを演じる上で、世間に聖痕がどのように 捕らえられているのかがわからない。 おとぎ話の類いとして知られているのか、それともほとんど知られていないのか。 仮におとぎ話として知られているのだとしたら、聖職者が聖痕をどう説明するかで おそらく民衆の反応はだいぶ違ってくると思う。 ただ、唯一神信仰の場合、 ブレカナの聖痕は極めて扱いにくい。 何故なら、それは善にも悪にもなりうるパワーソースであり、 同時に使徒の欠片、言うなれば神の使いを宿したものであるから。 使徒の欠片である以上は、聖職者の立場として、 これを(アピールとして)使わないはずはない。 しかし、教会としては使徒の欠片が悪になりうることを肯定できないだろう。 それをやってしまえば、唯一神の価値が下がってしまう。

 まず、聖痕について確実に知っているかどうかを、人物(?)ごとに分けた表から。

確実に知っている
名前 備考
ガイリング二世 ロヴとエローイーズより教えられている。自分自身に[殺戮者]としての自覚がある。
エロイーズ ロヴが確実に知っている。
サルモン・フィースト ハイデルランド興亡記・外伝及び、付属のキャンペーンを参照。 他にも<秘儀魔法>について、聖痕の力を引き出す魔法なりと言っている。
リザベート コンラッドの知り合い。彼女は確実に知っていなければならない。
フェリックス [殺戮者]。彼は確実に知っていなければならない。
コンラッド 彼は確実に知っていなければならない。
オーレリア 彼女は確実に知っていなければならない。
リヒャルト 彼は確実に知っていなければならない。
アルダ 仲間の聖痕を自ら奪ったため、知っていなければおかしい。
ペナンス 言うまでも無く。
エリノア 何者かに教えられている。
マッケンジー祭司 [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
フィーナ [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
ベルモント [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
ギルガイン [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
クリステン [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
カーネイジ 言うまでも無く。
ゲルダ・シュヴァルツ 父、リヒャルトより教えられている。
ナイアール ベスティア。知っていなければおかしい。
アルーア ベスティア。知っていなければおかしい。
J・P・ペイジ ベスティア。知っていなければおかしい。
ロヴレンド 竜。記述から判断して知っているはず。
ディングバウ・ダハムルティ 竜。竜伯が知っているので知っている。竜は基本的に知っていると考えても良いだろう。
アルサスと、他3名の仲間 アルサスが知っており、リプレイ中でも教えられていた。
アガンラーファ [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
エドワード [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
メルローズ [殺戮者]その台詞の中に、知っている事がうかがえる。
“不死王”カン 最も有名な骨の王。知っていなければおかしい。
魔神 闇より生まれ出でているので、知っていて当たり前。

限りなく知っているに近いグレーゾーン
名前 備考
モルガン・デル・ヘクセ 未来フィニスとアクシスがキー。
ギュスターヴ 未来フィニスと年齢不詳がキー。
ファラウス 魔神を封じようとしている所から、知っていてもおかしくない。
<秘儀魔法>を学ぶ者 <秘儀魔法>の性質上、ある程度学んだ者は知っていてもおかしくない。
<魔術>を学ぶ者 <魔術>の性質上、深く学んだ者は知っていてもおかしくない。
骨の王 知っている可能性はきわめて高い。
ベイレムーヴァ 見てみぬふり…?

限りなく知らないに近いグレーゾーン
名前 備考
ヘルマン一世 雑学としてフィニスを探している。
ヒルデガルド 今は確実に知らない。付属キャンペーンにより知った…かも。
シド 今は確実に知らない。

絶対知らない
名前 備考
マルガレーテ 権力を得る事に走り回っているため知らない。
ゴッタード 金策に走り回っているため知らない。ていうか、知ってたらいやだ…
シャロン そんな余裕は彼女には無い。
低レベルのクリーチャー そんな知性を持ち合わせていない。
ザーグシュノー 彼は今、それどころでわない。

 なお、上の表は、GMのシナリオによっていくらでも変化する事をお忘れなく。 あくまでもルールブックから読み取れるもの。すなわち、現段階においてはこうであろうと思われるものです。 ゲオルグ・シュローダーが入っていないのは、ただの操り人形だから。
(現段階=RoG)

<コンラッドの導き>

 聖痕の存在や、その意味を知るものが多いかのどうかの質問に対し、彼は、 「多くの民は知らないが、世界の知識を多く持つ者は、存在や意味を知る者も多い」 と答えている。世界の知識を知るものとは具体的にどのような人物をさすのであろうか?

 基本的には、聖職者すなわち、真教教会=マーテルと、魔術師、オービスやアクシスがそうであろう。 エフェクトスは、セプテントリオンに所属していれば、知っている可能性はある。 ただし、<元力>そのものが、学ぶ必要が無いと言う性質上、一匹狼では知らない可能性が高い。 コロナの中で、情報を分析できる者や、多くの者と語らう機会を持つ者は、知っていてもおかしくは無い。 デクストラは、神話に関して学ぶ必要が無いので、知っている可能性は低い。

<人口>

 知っていると思われる魔術師たち、すなわち天慧院、セプテントリオン、正真教教会、 ブレダ王国国教会、そしてベスティア。以上の組織の中で確実に知っているのは、 セプテントリオン、ベスティア。以上の二つは確実だが、完全な秘密組織なので、 公表する可能性は極めて低い。

 天慧院は、アクシスの技を学ぶため、深く学んだ者であれば、聖痕に関して知っている可能性は高い。 が、その天慧院自体の門がかなり狭いので、その人数は少ない。1000人受けて5人受かるのだから。

 教会の皆様は、真実の書からある程度は学べるだろう。どれほどかは疑問だが…  真実の書の読み込みその物は、旧派よりも、新派の方があるだろう。 旧派では、真実の書に根拠を持たない教義が、増大しつづけているのが、その大きな理由の一つ。 新派、特にヴァルター族であれば、現在の旧派のあり方に対し疑問をもっているので、 かなり読み込んでいると思われる。

<真実の書>

 真実の書に書かれていると思われる内容は、P.96〜P.98の内容+「盗む無かれ」等の、 道徳的なものと推測される。P.96〜P.98の内容は、かなりドラマティックに編集されている事と思う。 聖書と呼ばれる一群が、かなりそれに近いだろう。道徳的なものに関しては、孫子や荘子老子などに代表される、 漢文の文章が近いだろう。教訓となるような例え話や、抽象的な物と考えて良いだろう。

 さて、真実の書には聖痕に関して、その存在を認めていると思われる個所がある。 では、その扱いはどうか。そのヒントとしてP.98の最後の段落に注目したい。引用に関しては、 F.E.A.R.の文字制限を越えるので、各個人で参照してもらいたい。

「罪を償おうとしない者〜と仰せられた」までの一文から判断するに、 真実の書では転生の為に、罪を償おうとする姿勢が必要であると唱えている。 「転生の救いを取り上げ、闇の[鎖]に捕らわれる」と言う一文は、 「罪と罰」を教え、罪を犯さないように導こうとする意思が読み取れ、いわゆる、教訓的なもののように見える。

 この事から察するに、真実の書の中においては、聖痕の事や、使徒のこと、 あるいは救世母の一生がかかれており、抽象的に道徳をすすめる内容となっていると思われる。 そもそも、真実の書を製作したのはマーテルの弟子たちである。そして、真教を育て上げたのも彼らなのだ。

<根源的思想>

 さて、以上は全て真実の所に書かれている内容、及び真実の書に関する経緯をまとめた物である。 真教教会そのものは、真実の書とは少々異なったスタンスを持っている事はP.99より推測される。

 真教教会は、地上に降臨したマーテルを信仰することで、闇の[鎖]を払いのける事ができる、としている。 闇の[鎖]に捕らわれた地上の者を救う事が可能な存在は、天なる母のみであるとしているのだ。 この場合「天なる母」とは、救世母、すなわち「小母」を指す事は安易に想像できる。 聖痕を開放し、使徒らを復活させる事により、世界から闇の[鎖]を退ける事に関しては、 真実の書にある一文程度に過ぎないのだ。

<注目すべき点>

 聖痕を語る上で無くてはならない存在。それは[聖痕者]と[殺戮者]である。 しかし、真実の書には[聖痕者]の存在は書かれていても、[殺戮者]の存在は書かれていない。 この事が示す事は一つ。真教教会にとって、聖痕を持つ者は誰であれ[聖痕者]であり、 その[聖痕者]は、真実の書の中において現れる使徒の生まれ変わりなのである。 すなわち、[殺戮者]であろうとも、その者は「使徒の生まれ変わり」と扱われる。 むしろ、聖痕云々よりも、その者が人間であるかどうかこそが、一般の信者にとっては重要であろう。

 一般に生活する者にとっては、[聖痕者]や[殺戮者]の起こす[奇跡]は魔法の一種、あるいは、 超絶なる技の一つにしか見えないであろう。それは真教の信者とて同じ事である。 [奇跡]を[奇跡]として認識する者は、聖痕を持つ者のみなのだ。

<特技≪神智学≫と≪伝承知識≫>

 過去マーテルのみが持つ事が出来る≪神智学≫も、聖痕に関して真教教会はあまり公にしていない事を示している。 ≪伝承知識≫も同様で、一般の者は聖痕に関する知識をまったく持っていないと考えて良いだろう。 この二つの特技の存在から推測される事は、「密議」の存在である。 図形や、儀式、ゲームなどを通じ、密かにその真実を伝ているのだ。 この真実に気が付くために、この双方の特技が必要であると考えられる。 もし、一般の者で聖痕を知る者が居れば、その者は、この特技のうちどちらかを保有している者だ。 その位、[聖痕者]が現存する事は知られていないと考えて良い。いや、隠蔽されているといった方が正しい。

 隠蔽されすぎた真実は、やがてその真実を忘れ去られてゆき、ごくわずかの者が「密議」として伝えているのだ。 その一つが上の二つの特技であり、そして<秘儀魔法>である。

<Sigil>

 Sigilではこの問題に対し、「真教教会は聖痕に関して無知である」「例え王侯貴族であれども、大多数の者が聖痕に関して無知である」の二つの解釈を提唱する。 理由は以下の通りである。

真実の書の記述
あまりにも、聖痕に関する事が少ない。また、聖痕の開放などについても教訓的な書き方であり、 真実味に欠ける。何よりも、[殺戮者]の存在がその文章内に見受けられない。

<秘儀魔法>の存在
真実の書を眺めるだけで、[聖痕者]が実在する事が理解できるのであれば、 使徒の紋章を学ぶ<秘儀魔法>その物の存在意義がなくなってしまう。

特技の存在
≪伝承知識≫及び≪神智学≫は一般の者と一般の信者に対し、聖痕の存在を隠している事の証拠。

以上。