「大皆触」

アルカイを救わんと、地上へ降臨せし者。
罪を浄化せんと、地上へ降臨せし者。
22の偉大なる使徒。
名をアルカナ。

光り輝く刃を以って、闇の鎖を断ち切らんとす。
光り輝く姿を以って、希望の星を地上に示す。

闇の鎖は退けられ、反動により再び戻る。
アルカナのもたらした祝福によって。
闇のもたらした呪いによって。

全ての者は地に堕ちた。
アルカナもまた砕かれた。

希望の星は、地に堕ちた。
地上は再び罪に満ちた。
罪の大地、「大皆触」
希望の大地、「大皆触」


 アルカナは、地上に縛られたアルカイ達を不憫に思い、彼らを救おうと地上に降りてきた者たちの総称である。 地上をアルカイの手に再び戻そうと、全力を尽くした者達である。結果として彼らは打ち砕かれ、 闇の鎖の前に敗北を喫する。が、地上に生きる全ての者に希望を与えた、と言う点においては、彼らは完全勝利を収めた。 故に、偉大なる使徒である。

「大皆触」は神話において、最悪の出来事であるとされている。闇の鎖が、使徒を打ち砕いた後、アーの住まう天宮まで進んできたからである。 全てのアルカナは、正確にはほとんどのアルカェウスは地に堕ちた。だが、闇の鎖そのものは、闇と光、「壁」と「存在」によってアーまで届く事は無かった。 アーもまた、闇の鎖を力で退ける事はしなかった。次第に「壁」は元の位置まで帰り、地上は存在の一部まで戻った。 地上にとって救いだったのは、「壁」が戻る勢いで闇の鎖もまた、「壁」の外に吹き飛ばされた事である。 地上が罪に満ちている事には変わりは無いが、以前に比べればマシになったのである。

 アルカナは、運命と言う名の祝福を、全ての生命に宿らせた。闇は因果律という名の呪いを、全ての生命に宿らせた。 生命と生命は因縁と言う形で、お互いに祝福しあい、呪いあった。全ての生命は希望の星の導きにより、闇の鎖の束縛により、 大まかな生き様を決定付けられたのである。

 時代はここを境にして、神から人へ、すなわち英雄へとその中心を移していくのである。 それはまた別の機会に語るとしよう。続いて第二部では、「大皆触」の争いの中心となった使徒、 アルカナを中心に追っていきたい。