SIMCA CINQ berline  DES
 
フランス製トポリーノ

 これは「トポリーノ」の愛称でお馴染みイタリアの「フィアット500(A型)」を、フランスのシムカで生産した車です。フィアット車はヨーロッパの幾つかの国で生産していましたが、戦前にトポリーノを生産したのはこの2国だけだと思われます。キットは、リアサスペンション形式とスチールトップから判断すると最も初期の型のようです。ただし、フィアットと違ってシムカではこのタイプが後々まで生産が続けられたのかもしれません。

 キットのメーカーはフランスのDES。イタリアのモデルビクトリアフィアット500Aトポリーノの傑作キットを出していて、伊・仏、それぞれの自国アイテムながら「同じアイテム」でバッティングといった状況になってます。
 
キット構成

 説明書の写真より。説明書は白黒コピーながら完成モデルの写真を使った見やすい物で、パーツも少なく組立てに迷うことは無さそうです。パーツはこれに透明プラ板が付くのみのオールレジン製。シャシーフレームは車体下部と一体です。

 「DESキット」は比較的古くからあるメーカーで、昔のイメージはあまり良い物では有りませんでした。最近の製品が殆ど日本に入って来ない事もあって出来に不安がありましたが、実際に見るととても良いキットでした。 しかし「あの」モデルビクトリアとバッティングしてるのは辛いです。あちらは最高にキレのあるモールド、良いフィギュア、エッチング、デカール付き。 こちらはライトもムクの古き良きオールレジン製・・・。
 このキットのウリは・・・
 まず、フィアットでなく「シムカ5」であることでしょう 。前後にバンパーが付き、ホイールキャップに「FIAT」文字ではなくシムカのマークが彫られているのがシムカ5です。

 モデルビクトリアとの違いでは、(とても困った事に)ボディラインがこちらの方が「より良い」気がするという事。モールドや品質は断然モデルビクトリアの方が良く絶対お勧めなのですが、ボディライン命という人にはこっちも捨てがたいのです。あと、入手可能かはさておいて、DESには他に2・3種類バリエーションがあるそうです。普通のキャンバストップは有って当然なのですが・・・詳細は不明です。
 
DESキット・・・
 「DESキットは最近日本に入ってこない。」と書きましたが、これは輸入業者のせいではなく、このメーカー自体あまり積極的に活動していない為らしいです。今回のは「ユーロミリテール」向けに、やっと重い腰を持ち上げて抜いた物(その売れ残り?)が入ってきらしいとか。そんなこんなで入手はナカナカ大変そうです。今回、私はマキシムさんに入れていただきました。感謝です。が、お願いして完全に忘れた頃(1年数ヶ月後)に到着しました。来ただけラッキー、そういうメーカーなんでしょうね(笑)。

 結論
 もし、1/35トポリーノが欲しければ、モデルビクトリアをお勧めします。どちらも入手難ですがアチラは成長株のメーカーなので今後ちゃんとした業者が入って状況が改善されるかもしれません。

 ただ、私は以前、この車をスクラッチして、ノーズ形状やフロントフェンダーの形が捉えづらくて困惑した経験があります。ボディ前半は写真ごとに形が違って見える難しい車でもあるのです。 なので、この部分が私のイメージに近いDESのキットは、個人的には愛おしくて魅力的で原型師に共感すら抱いてしまいます。

 まぁ、つまり・・・両キットとも1/35の乗用車キットでは最も簡単に組めるキットだし・・・売っていれば買って損は無いと思うのでした。


 以前スクラッチした物


 モデルビクトリアフィアット500A/キット紹介
 古いフィアット/資料本コーナー
 マキシムさんのHP

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