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                 地上脱出のための3条件 (パート3)

 パート3

 条件2 この世の事物に対する執着をできるだけ捨てる
 ロケットを打ち上げる際に、もっとも燃料を消費するときは、地上から大気圏外へ出るまでの間です。つまり、重力に打ち勝って巨体を宇宙空間まで上昇させるために、膨大な量のエネルギーを必要とするのです。宇宙空間に達してしまえば、重力はなくなるので、あとは惰性で進むことができますから、エネルギーはほとんど必要としません。
 同じように、地上から高い霊的世界に上昇するためには、地上の「重力」に打ち勝つ必要があります。その「重力」とは、地上世界の事物に対する欲望です。言い換えれば、物質に対する執着です。肉体(と肉体的な欲望)への執着、お金やモノ、あるいは名誉といったこの世の事物に対する執着は、魂を地上に引き付けてしまう重力です。
 こうした執着を捨てない限り、魂は高い霊的世界に上昇することはできません。ただし、いっぺんに捨てることは難しいので、少しずつ捨てるようにすることです。
 まずは食欲を捨てることです。といっても、肉体の健康を維持するために必要な食事まで制限しなければならない、という意味ではありません。そういう食欲は捨てるべきではありません。しかし私たちは、必要以上に栄養を取りすぎている傾向があります。というのは、食事が娯楽になっているからです。つまり、味覚の快楽を得るための手段になっているのです。そのために、あれこれと美味しいものをあさったり、食べ過ぎたりして、肉体の健康を損ねています。貧しい時代は、食べられなくて寿命を縮めていましたが、今日では、食べ過ぎて寿命を縮めているのです。
 ですから、決して食べ過ぎないようにすることです。腹八分目、できれば七分目くらいにするべきです。お菓子やコーヒーといった嗜好品なども、まったくやめるべきだとまでは言いませんが、健康を損ねるほど食べるべきではありません。タバコは絶対にいけません。酒も微量ならいいですが、なるべくやめるべきです。いっぺんにやめようとするとストレスになりますから、こちらも少しずつ減らしていくようにするべきです。
 性欲も、完全にそれを捨てるのは難しいので、できるかぎり減らしていくようにするべきです。これも少しずつ克服していかなければなりません。我慢して性行為をしないようにすることはできても、頭の中が性欲に支配されているのでは意味がありません。我慢して抑圧すると、そのエネルギーが病的な方面から放出されてしまう可能性が出てきます。
 あくまでも我慢や抑圧ではなく、性欲そのものが生じないようにしていく必要があるのです。そのためには、さまざまな工夫が必要となるでしょう。これについては、この場で詳しく述べることはできません。別の機会にゆずることにいたしますが、いずれにしろ、性欲は物質的な重力の中でも、かなり強力な部類に入ります。それを克服するのは容易ではありませんが、性欲から解放されると、魂は非常に軽くなります。

 名誉欲の克服
 食欲や性欲といった肉体的欲望を克服することは容易ではありませんが、それよりもさらに克服するのが難しい、しかも大きな弊害のある欲望があります。
 それは地上の事物に対する精神的な欲望です。
 その最たるものが「名誉欲」です。具体的には、「自分を認めて欲しい」、「賞賛されたい」、「尊敬されたい」、「崇拝されたり」、「注目されたい」、「偉い人だと思われたい」といった欲望です。
 この欲望は人間を高慢にし、醜悪にして、肉体的な欲望や物欲を煽ります。
たとえば、衣食住に困らない程度で生活をするなら、それほどお金持ちになる必要はありません。しかし私たちは、より多くの金を得たいという、根深い欲望を持っています。それはなぜでしょうか? それは、金は名誉欲を満たしてくれるからです。物質的なものに価値をおくこの地上世界では、金を持っている人が認められ、賞賛され、羨望され、偉い人だと思われます。つまり、そうした名誉欲を満たすために、お金に対する執着、つまりは物欲を強化させてしまうのです。
 ですから、名誉欲を克服できないと、食欲や性欲もうまく克服できません。名誉欲もまた、地上に魂を引き寄せてしまう重力という点で、非常に強力なものを持っています。
 名誉欲という猛毒を解毒するものは、真の謙虚さです。謙虚の徳を真剣に求めることによって克服しなければなりません。

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