|
|
宮沢賢治幻燈館 「山男の四月」 3/12 |
(ところがここは七つ森だ。ちやんと七つつ、森がある。松のいつぱい生えてるのもある、坊主で黄いろなのもある。そしてここまで来てみると、おれはまもなく町へ行く。町へはひつて行くとすれば、化けないとなぐり殺される。) |
山男はひとりでこんなことを言ひながら、どうやら一人(ひとり)まへの木樵(きこり)のかたちに化けました。そしたらもうすぐ、そこが町の入口だつたのです。山男は、まだどうも頭があんまり軽くて、からだのつりあひがよくないとおもひながら、のそのそ町にはひりました。 |