「さうですか。もうぢきです。」三人は向ふを向
　　　　　　　　　　やうらく　　　　　だいだい
きました。瓔珞は黄や橙や緑の針のやうなみじか
　　　　　　　　　うすもの　にじ
い光を射、羅は虹のやうにひるがへりました。
　
　そして早くもその燃え立った白金のそら、湖の
　　　　　うぐひす　　　　　　　　　　　　　　　　　と
向ふの鶯いろの原のはてから熔けたやうなもの、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　き　　ん
なまめかしいもの、 古びた黄金、 反射炉の中の
　
朱、一きれの光るものが現はれました。
　
　天の子供らはまっすぐに立ってそっちへ合掌し
　
ました。
　
　それは太陽でした。厳かにそのあやしい円い熔
　
けたやうなからだをゆすり間もなく正しく空に昇
　
った天の世界の太陽でした。光は針や束になって
　
そゝぎそこらいちめんかちかち鳴りました。
　
　天の子供らは夢中になってはねあがりまっ青な
じやくじやういん　　　　　　　　　　　けいしや
寂 静 印の湖の岸、 硅砂の上を かけまはりまし
　
た。そしていきなり私にぶっつかりびっくりして
　
飛びのきながら一人が空を指して叫びました。