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宮沢賢治幻燈館 「グスコーブドリの伝記」 13/54 |
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ブドリはぼんやりあとへ残りました。うちの中はまるで汚くて、嵐のあとのやうでしたし森は荒れはてて山火事にでもあつたやうでした。ブドリが次の日、家のなかやまはりを片附けはじめましたらてぐす飼ひの男がいつも座つてゐた所から古いボール紙の函(はこ)を見附けました。中には十冊ばかりの本がぎつしり入つて居りました。開いて見ると、てぐすの絵や機械の図がたくさんある、まるで読めない本もありましたし、いろいろな樹や草の図と名前の書いてあるものもありました。 |