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宮沢賢治幻燈館 「グスコーブドリの伝記」 36/54 |
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「あゝ、これはもう噴火が近い。今朝の地震が刺戟(しげき)したのだ。この山の北十キロのところにはサンムトリの市がある。今度爆発すれば、多分山は三分の一、北側をはねとばして、牛や卓子(テーブル)ぐらゐの岩は暑い灰や瓦斯といつしよに、どしどしサンムトリ市に落ちてくる。どうでも今のうちにこの海に向いた方へボーリングを入れて傷口をこさへて、瓦斯を抜くか溶岩を出させるかしなければならない。今すぐ二人で見に行かう。」二人はすぐに支度して、サンムトリ行きの汽車に乗りました。 |