聊斎志異より 「西湖主」 2/14

陳は哀れに思って、主人に許しを請い、戯れに傷薬を塗ってから水に戻してやりました。
猪婆竜はしばらく浮き沈みしていましたが、やがて水中に見えなくなりました。

翌年、郷里に帰るときに再び西湖を渡ったのですが、湖上で突然の嵐に遭遇、舟は強風にあおられて転覆してしまいました。
陳は浮いていた竹籠にすがって一晩漂流したあげく、夜明け前に水に垂れ下がっていた木の枝に引っかかり、何とか岸にはい上がることができました。
しかし、あたりには人家もなく、通る人もいないので道を聞くこともできません。
しばらくはぼんやり座り込んでいましたが、空腹でたまらず、昼前には濡れた衣類も乾いたので、近くに人家でも見えないかと、湖畔の丘に登りました。