聊斎志異より 「西湖主」13/14

「十年ばかり会わないうちに、何とこれほどに裕福になるとは……」梁があきれると、
「君は、今だに僕が貧乏書生のままだと思っていたのだろう」と陳も笑ったのでした。
「さっき、隣にいた美人は?」
「女房だよ」
「奥さんと、どこへ行くんだい」
「ちょっと、西の方へね」
陳が合図をすると、笛や太鼓、銅鑼の音が響き、会話ができなくなってしまいました。
梁は周りを取り巻く美しい女たちに目を奪われ、大声で叫びました。
「明允(めいいん)公! 僕にも天上の楽しみをさせてもらえんかね!」
「だいぶ酔ったようだね。それなら、美人も買えるくらいの金をあげるとしよう」
陳は侍女に命じて大粒の真珠を梁に渡しました。
「これなら緑珠(りょくじゅ/古代の富豪が真珠で買い求めた美女)だって買えるというものさ。


せっかくの旧友との再会だが、今つまらない用事の途中で、長居はできないんだ」
と言うと、梁を送り返し、そのまま立ち去ってしまいました。