聊斎志異より 「労山道士」 2/5

さっそく次の日からは兄弟子たちについて山中にたきぎ取りに行かされました。
修行といつても炊事、洗濯、たきぎ取り、水くみといったことで、一か月もするうちにうんざりして、もうやめて家に帰ろうと考え出したのでした。
 
そんなある日、山からもどって来ると、道灌にふたりの道士が来ていて、主人と三人で酒を酌み交わしています。

「だいぶ暗くなってきたようぢゃな」
主人は灯りを持ってこようとする弟子を止め、紙をまるく切り抜いて壁に貼り付けました。
「月光のもとで酒をくむのもまた風流ぢゃて」
それはしだい銀紙のように明るくなって、煌々と室内を照らすのでした。
「こんな、いい月夜はみんなで楽しもう。おまえたちも飲みなさい」
客の道士に言われて、弟子たちは杯を探し、先を争うように酒を注ぎました。
壺はひとつきりですから、酒はすぐに終わってしまうだろうと思ったのです。
ところが不思議なことに、いくら注いでも酒の量はまるで変わりません。
「せっかくの明月の下で黙りこくって酒を飲んでいるというのも芸がないではないか。ひとつ嫦娥(こうが/月宮殿に住むという美女)でも呼んで舞わせてみよう」
客のひとりがそう言って、箸を取ると月の中に投げ入れたのです。