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ふたりが窓のすきまからのぞいてみますと、鎖と鉄槌(てっつい)を持った男が立っております。
漆を塗ったような顔のその男は、女たちを集めて
「全員そろったか!」
と、にらみつけました。
「そろいました」
女たちが声をそろえて答えると
「下界の人間を隠している者があれば、ただちに申し出よ! 後で発覚すれば無事ではすまぬぞ!」
「ありません」
女たちは、また声をそろえて答えるのでした。
男は信用できないというふうで、鷹のような目をまわりの建物に向けました。
少女はふるえあがって、朱をベッドの下に押し込み、自分は壁の小さな扉から逃げ出してしまいました。
朱がベッドの下で平べったくなっていると、やがて革の長靴の音が部屋にはいってきて、鎖を引きずりながらそこらを歩き回るようすです。
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息を殺してちぢこまっているうちに靴音は遠ざかるようですから、ほっとしていると、今度は部屋の壁をどんどんと叩く音がしますから、驚いた朱はベッドから這い出し、あたりを見まわしました。
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