聊斎志異より 「侠女」 2/7

そのうちに親しくなろうから、ここは焦らずにと考えた母親は、顧に、たびたび食べ物を向かいの家に持って行かせたのでした。
ところが、娘は米などを受け取っても愛想笑いは勿論、礼ひとつ言いません。
そのかわりに毎日顧の家に来て、嫁同様に家事の手伝いをしてくれるのでした。
顧は娘に出会うたびに何とか気を引こうとこころみるのでしたが、娘はまるで相手にしてくれません。
 
顧(こ)は書や絵を売って何とか食いつないでいたのでしたが、ときどきその絵を買いに来る美少年があって、何度か会ううちに親しく話を交わすようになりました。
娘には相手にされず、欲求不満の顧は、たわむれに少年を抱きよせてみるとあまり嫌がりませんから、もう何でもえぇ!!とばかりに、ついに性的関係??を結んだのでした。
それからはいっそう親密になって、少年はたびたび顧の家に出入りするようになったのです。


その後、顧の母親が隠し所に腫れ物ができてひどく苦しんだのでしたが、向かいの娘は傷を洗って薬を付けたりと、汚れをいとわず毎日実の娘以上に親身に看病してくれるのでした。
感激した母にうながされた顧は、床にひれ伏して娘に拝礼したのでしたが、
「母やわたくしが助けていただいたとき、わたくしはお礼はいたしませんでした。どうしてあなたがそんなにされることがありましようか」
そう娘に言われて、顧はますます娘を敬愛するようになったのでした。