聊斎志異より 「嬌娜」 3/9

「もし、そうしていただけるのなら、ぜひ香奴のような人をお願いしたいですね」
「あなたは本当に欲がありませんね。この程度でよろしければ話は簡単ですよ」
公子はそう言って笑うのでした。 そんなふうに半年ほどたった夏の盛り、ひどい暑さのせいか孔は体調を崩して胸に腫れ物ができ、それがしだいに盛り上がって椀ほどにもなり、息をするのにも差し支えるありさまで、いくらか涼しい庭のあずまやにベッドを移して寝たきりになってしまいました。
看病してくれる公子も、見舞いに来た父親と顔を見合わせてため息をつくばかりです。
「嬌娜(きょうだ)なら、たぶんなおせるはずです。おばあさんの所に使いを出してあるので、今日あたり戻るはずなのですが」
父親にそう言った公子が、
「私の妹ですが、いくらか医術のこころえがあるのです」


と孔に説明しているうちに、屋敷の方が騒がしくなってきました。
「お嬢様がお帰りです。阿松(あしょう)様もご一緒です」
侍童が取り次ぐうちに、十三四歳ほどの天女のような美少女がはいってきました。
兄弟同様の方だからと兄の公子に言われて、嬌娜はベッドに寄って孔の脈を診るのでしたが、そのほっそりとした容姿、すばらしい香りに、痛みなどまるで感じなくなってしまったほどです。