「心脈が動いているのです。だいぶ病状は進んでいるけど、なおすことはできます。でも、しこりが出来ているので切り取らなければ」
嬌娜(きょうだ)は金の腕輪をはずして腫瘍に当て、押さえるようにすると腫れが輪の中にはいって盛り上がってきました。
襟元から取り出した小刀でそれを切ると赤黒い血が流れ、木のこぶのような物が切り取られたのでした。
嬌娜のかぐわしい息を間近にして孔は痛みも感じないばかりか、なるべくは手術が長引くようにと願うありさまです。
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嬌娜は赤い玉を口から出すと、水で洗った傷口にのせ、手のひらで転がすのでした。
それがわずか三回ほどまわるうちに傷口はすっかりふさがり、全身に爽快感が満ちてきました。
「なおりました」
赤い玉をまた飲み込んで足早に部屋を出てゆく嬌娜を、孔は飛び起きて追いかけ、お礼をいったものでした。
こうして腫れ物はなおったものの今度は別の病気に取り付かれてしまい、一日何も手につかず嬌娜のおもかげばかりを慕っております。
すると公子が
「以前、いい人をお世話すると言いましたけれど、その機会がきたようですよ」というのです。
「ほ! ほんとですか!? どなたでしょう、その人は」
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