遠路を心配すると、公子は「明日にでもお送りしますよ」と気楽に受けあうのです。
翌日、孔は公子の父親に黄金百両を贈られ、公子は孔と妻の手を取って
「目をつぶって、下を見てはいけませんよ」
そう言うと、颯颯と風を切って飛行して行くのでした。
しばらくして地上に降り立って目を開くと、そこは故郷の家で、振り返ると公子の姿はもうありませんでした。
そののち、阿松(あしょう)は孔の母に仕え、賢い美貌の妻という噂が遠くまで広まるほどでした。
孔も科挙の最終試験に合格して延安府に役人として赴任したのですが、中央からの巡察の役人に逆らってクビになってしまいました。
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それでその後の指示を待っていたのですが、たまたま退屈しのぎに狩りに出たところ、途中でやはり狩りをしていた若者に行き会いました。
遠目にも見覚えがあるようで振り返ってみると、向こうも馬を止めて見ているのですが、なんとそれが皇甫(こうほ)公子なのでした。
手を取り合って喜び、公子に案内されて近くの村にあるという屋敷に向かいました。
鬱蒼とした陰気な林を抜けて行くのですが、着いてみれば飾り金具の輝く立派な門構えの豪邸なのでした。
聞けば嬌娜もすでに呉(ご)という家に嫁いだということでした。
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