聊斎志異より 「嬌娜」 8/9

やがてひときわ鋭い閃光が走って、同時に何かが地中に突き刺さるような轟音が響き、眼も耳もつぶれたかと思われました。
振り返ると広壮な門は消えていて、大きな穴の前に孔は立っていたのです。
すると穴の中から鳥のくちばし、曲がった長い爪の怪物が何かをつかんで現れ、立ちこめる黒い霧の中にのぼって行こうとしています。

つかまれているものが嬌娜(きょうだ)の衣服のように見えましたから、刀を抜き飛び上がって斬りつけると、その人が音を立てて落ちるのが見えました。
同時に剣に落雷して孔は泡を吹いて死んでしまいました。
雷がやんで嬌娜(きょうだ)は気が付きましたが、そばに孔が死んでいるのを見て
「孔さまは私のために死んだのに、私が生きているなんて」と泣き伏してしまいました。
皆で孔を中に運びいれ、阿松(あしょう)が頭を抱え、公子がかんざしで口を開けると、嬌娜は舌の先で丸薬を孔の喉に送り込みました。