聊斎志異より 「尸変」 3/5

男はそっとズボンを引き込んで、ふとんの中でそれをはき、ふとんをはねのけて中庭にとびだしました。

 
ところで、聊斎志異のいくつかのお話によると、この時代この地方の人たちは夜は丸裸で寝ている人が多かったようです。
夜の大地震で、あわてて逃げ出した人たちが興奮して会話しているのですが、男女ともみんな裸なのに気が付かなかったという実話も載っています。

それはともかく、男は宿屋の主人を起こそうと思ったのですが、振り返ると死人がすぐうしろに迫っていますからそれも間に合わず、街道に飛び出すと死にものぐるいで駆け出しました。
しばらく走ると灯りのともる寺が見え、木魚の音も聞こえてきますから、病人には医者、死人には坊主というわけで、寺に飛び込んで扉をどんどんとたたきました。
ところが、そのたたきかたが尋常ではありませんから、中の坊さんは驚いてしまい、いよいよ戸締まりを固めるというわけで、はいることができません。