Web 絵草紙
「羅城門の上層に登りて死人を見たる盗人の語」 3/4
 

 
あわてた老婆は手をすりあわせて命乞いをしますから、
「おのれは何者だ! 何をしているのだ!」
盗人が聞くと、老婆は
「わたしの仕えていたご主人が亡くなったのでございますが、葬式をしてくれる身寄りもおらぬので、ここに運んできて置きました。髪の毛が背丈よりも長いので、カツラにしようと思って抜いていましたのぢゃ。見逃してくだされ」
と言いました。