Web 絵草紙
「外術を以て瓜を盗み食はれたる語」 3/4

すると、間もなく双葉が生え、下人どもがあきれているうちに葉が茂って花が咲き、瓜が生りました。
瓜はさらに大きくなり、りっぱに熟しました。
下人どもは『この人は神様なのかもしれない』とおそれて見ていましたが、翁はその瓜を取って食べ、
「おぬしらのくれなかった瓜は、こうして作って食べるのぢゃ」

と、下人どもにも食べさせました。
瓜は多かったので往来の人を呼びとめてすすめると、皆喜んで食べます。
すっかり食べ終わると、翁は
「さて、帰ろうか」と、どことも知れず立ち去ってしまいました。