すると、間もなく双葉が生え、下人どもがあきれているうちに葉が茂って花が咲き、瓜が生りました。 瓜はさらに大きくなり、りっぱに熟しました。 下人どもは『この人は神様なのかもしれない』とおそれて見ていましたが、翁はその瓜を取って食べ、 「おぬしらのくれなかった瓜は、こうして作って食べるのぢゃ」
と、下人どもにも食べさせました。 瓜は多かったので往来の人を呼びとめてすすめると、皆喜んで食べます。 すっかり食べ終わると、翁は 「さて、帰ろうか」と、どことも知れず立ち去ってしまいました。